2026.04.10 ON AIR

リクエストにお応えしてバディ・ガイ

ON AIR LIST
1.This Is The End/Buddy Guy
2.You Sure Can’t Do/Buddy Guy
3.First Time I Met The Blues/Buddy Guy
4.I Got My Eyes On You/Buddy Guy

去年の11月に番組のHPにリスナーの方からメールをいただきました。クリームさんという方からです。
「永井さん、こんばんは たまたま 永井さんみつけました ブルースのラジオ番組 あんまりないので うれしいです ブルース聴きたかったら ラーメン屋さんで よく 聴きにいきました。リクエストはバディガイの曲を何かかけてくれますか? まだ現役で 最近新作アルバム出ましたよね よろしくお願いします」とのこと。

メール、ありがとうございます。去年の8月だったと思いますが”Ain’t Done With The Blues”(邦題が終わりなきブルースの旅)をリリースしたバディは現在89歳です。ブルーズマンとしては本当に長いキャリアをもつバディで、アルバムも相当数リリースしていますが、今回は私が個人的に好きな曲をON AIRさせてもらおうと思ってます。まずバディの初期の録音から聞いてみましょうか。
バディは1958年にアーティスティックというレーベルでレコード・デビューしたのですが、その頃の録音でいかにもバディ・ガイらしい曲です。歌もギターもまっすぐに突っ込んでいくすごく気持ちのいいプレイです。

1.This Is The End/Buddy Guy

ギターはやはり先輩のB.B.キングのモダン・ブルーズ・ギターの影響を受けたスクィーズ・スタイルのギターですが、実はソロとオブリを弾いているのはオーティス・ラッシュです。歌とギターのオブリガードが重なっているところがあるのでもう1人ギタリストがいることがわかります。その美雨1人がオーティス・ラッシュで聞こえてくるフレイズもいかにもラッシュです。
バディの歌は高めの声で押し押しで歌われるのでヒステリックだとか言われてましたが、まあこれがバディの歌の個性ですから。僕は気持ちいいくらいまっすぐなプレイで歌もギターもこの時代のバディは好きです。
バディはルイジアナの生まれ育ちですから当然10代の頃は偉大なギター・スリムに強い影響を受けたと思います。次の曲はそのギター・スリムの超有名ブルーズ”The Things That I Used To Do”のメロディをいただいて自分の歌詞をつけた曲。

2.You Sure Can’t Do/Buddy Guy

ギター・スタイルにもギター・スリムのテイストを出しています。

私が初めてバディ・ガイを聞いたのは1972年NHKのテレビで放映されたドキュメント映像だった。イギリスのTV局BBCが制作したシカゴに住む黒人たちの生活を捉えながらそれを取り巻く政治や社会そして文化を映像にしたものだった。その中にシカゴのクラブで歌うマディ・ウォーターズが現れ、その横でギターを弾いていたのがバディ・ガイ。ちなみにハーモニカはジュニア・ウエルズ。そのシーンはそれまでロックを聴いていた自分の音楽の概念を覆す熱いマグマのようなものを私の心に残した。そして雪が積もるシカゴの街のシーンの後ろで流れていたのがバディ・ガイのこの曲。

3.First Time I Met The Blues/Buddy Guy

これがまさに自分の中のバディ・ガイ。
このクールにブチギレているバディのプレイが好きだった。そしてこの曲のタイトル通り、これが私の「初めてブルーズに出会った時」でこの映像に出たバディやマディ、ジュニアの名前を紙に書いてレコードを探す日々が始まった。
50年代半ばに若きバディはコブラレコードの傘下にあったアーティスティック・レーベルで最初に聞いた2曲のシングルをリリースしたが、同じコブラにいたオーティス・ラッシュほどのヒットがなくその後チェスと契約。しかしチェスではマディやハウリン・ウルフのレコーディングセッションに呼ばれるだけで8年間在籍してリリースされたアルバムは”Left My Blues In San Francisco”一枚。つまりチェスにはバック・ミュージシャンとしての扱いしかされなかった。しかしその60年代、65年に参加したジュニア・ウエルズの名盤”Hoodoo Man Blues”での好サポートはいま聴いても素晴らしい。ちなみにこの時チェスと契約していたためクレジットはバディ・ガイの名前は表記できなくて「フレンドリー・チャップ」となっている。そしてチェスからバンガードレコードに移籍したのが1968年。ここでもこれと言ったヒットはなかったが”This Is Buddy Guy”というアルバムは彼のライヴを知りたくてよく聴いてました。

4.I Got My Eyes On You/Buddy Guy

うーん、かっこいい。彼のエキセントリックな歌声は好き嫌いは分かれるところで、実際ずっと聴いていると疲れて飽きてしまうところもありますがブルーズが持つインパクトは充分で魅力的。ギターもシャープでいい。
ライヴのせいかチューニングがゆるくて気持ち悪いところもあるが、それよりブルーズ衝動が優って本領発揮。
バディ・ガイは来日ライヴで2,3度一緒になったこともあり、決して嫌いなブルーズマンではないのだが、いつ頃からかライヴでダラダラとギター・ソロを弾いて歌をしっかり歌わなくなった。しかもギターの音もやけに歪んだラウドな音になり、一体何を弾いているのかわからなくなり、ブルーズというよりロックに彼自身が傾いてしまった。そのあたりからあまり聞かなくなってしまった。でも、アルバムとしてはいいものもあるのでまた近々特集します。クリームさんリクエストありがとう!来週はバディの相棒、ジュニア・ウエルズの特集です。お楽しみに!

2026.04.03 ON AIR

中古盤放浪記vol.14

1968年シカゴの黒人ブルーズクラブのムードに浸れるマジック・サム渾身のライヴ

ON AIR LIST
1.Tore Down/Magic Sam
2.I Just Can’t Please You/Magic Sam
3.Scratch My Back/Shakey Jake
4.Backstroke/Magic Sam
5.Just Like A Fish/Magic Sam

久しぶりの中古盤放浪記です
このアルバムは以前持っていたはずなんだが、最近レコード棚から見つからないと思っていたら先日中古レコードで安く見つけたので買いました。が・・ひょっとすると前に買ったアルバムがまたレコード棚のどこかにあったりして・・・悪夢のダブりレコードかもしれませんが。
マジック・サムという名前だけでなんかワクワクする私ですが、マジック・サムはいつも100%出し切るようなライヴをしたブルーズマンだったと思います。今日聴く”Magic Touch”とタイトルされたアルバムは1968年にシカゴの”シルヴィオズ”と言うクラブでのライヴ録音なんですが、ここでもサムは実にパワフルな演奏を繰り広げています。アルバムの名義はマジック・サムと叔父のハーモニカ・プレイヤー、シェイキー・ジェイクふたりの名前になってます。ふたりは60年代に一緒にライヴをやることが多かったようでマジック・サムは音楽的な影響も受けています。
まずはシカゴの同年代で友達だったというフレディ・キングの有名曲のカバーから。

1.Tore Down/Magic Sam

このアルバム・ジャケットには1968年のライヴと記載されてますが、リリースされたのは15年後の1983年。録音したのがアメリカやイギリスのレコード会社ではなくベルギーのブルーズの録音マニアのジョージ・アディンスという個人です。多分シカゴまで行って簡単な録音機材で録ったんでしょうね。ブルーズがすごく好きで好きで自分の思い出みたいに録音しておいたんだと思います。次はソウルフルなマジック・サムの歌が聴けます。

2.I Just Can’t Please You/Magic Sam

次はルイジアナのスリム・ハーポの曲をシェイキー・ジェイクがカバーしている語り入ったインスト曲ですが、サムはかなり原曲に忠実にギターを弾いて原曲通りトレモロもかけてますね。こういうファンキーな曲がシェイキー・ジェイクもサムも好きだったのがわかります。語りは「ああ。痒い、痒い、背中を掻いてくれへんかベイビー。君やったらどこを掻けばええかわかってるやろ。ああええ感じや・・」これはエロい意味です。

3.Scratch My Back/Shakey Jake

このバンドはギターとヴォーカルにマジック・サム、ハーモニカとヴォーカルにシェイキー・ジェイク、ベースにマック・トンプソン、ドラムにオディ・ペインのコンボ編成です。60年代はこのメンバーでのライヴも多くて演奏がタイトでよくこなれていてすごくいいです。またこのあとデルマーク・レコードからリリーされたサムの有名アルバム”West Side Soul”も”Black Magic”もベースにマック・トンプソン、ドラムにオディ・ペインでの録音でしたから、これはほぼバンドと言ってもいいと思います。
次はサムのギターをフィーチャーしたインストでオリジナルはアルバート・コリンズ。原曲のコリンズにも劣らないテンションの高い演奏で魅力的です。

4.Backstroke/Magic Sam

サムは過去のブルーズや自分の感覚だけで演奏するのではなくてレコードやラジオなんかでいろんな音楽を身につけていたと思います。音楽的な範囲はかなり広かったと思うのですが、特に名シンガー、ジュニア・パーカーからも多くを学び取ったと思います。マジック・サムは有名なブルーズのスタンダード”Sweet Home Chicago”を歌っていますが、あれもジュニア・パーカーの”Sweet Home Chicago”をお手本にしたと思います。
ジュニア・パーカーやボビー・ブランドなど歌の上手いブルーズマンが好みだったと思います。よく伸びる少し高めの発声もジュニア・パーカーからの影響でしょう。そのジュニア・パーカーの曲をカバーしてるので聞いてみましょう。

5.Just Like A Fish/Magic Sam

今回は久しぶりの中古盤放浪記シリーズでした。またいいアルバム見つけたら紹介します。中古盤も最近値段が上がっているのですが・・・このライヴ”Magic Touch”おすすめです。