2020.10.02 ON AIR

追悼:ピーター・グリーン vol.1

Blues Jam In Chicago vol.1&vol.2 (Epic ESCA 7827&8)

ON AIR LIST
1.Homework/Fleetwood Mac(vol.Peter Green) 
2.Sugar Mama [Take 2]/Fleetwood Mac(vol.Peter Green)
3.Everyday I Have The Blues/Fleetwood Mac(vo.Jeremy Spencer)
4.Like It This Way/Fleetwood Mac(vo.Danny Kirwan)

この前、この番組のブルーズ・スタンダード曲集のブルーズ・ロック編でフリート・ウッドマックの”Black Magic Woman”を取り上げたばかりですが、そのフリート・ウッドマックのギタリストだったピーター・グリーンが7月25日に73才で亡くなりました。少し時間が経ってしまいましたが、今日はピーター・グリーンの追悼特集です。
60年代、イギリスではブルーズに影響されたギタリストがエリック・クラプトン、ジミー・ペイジ、ジェフ・ベック、キース・リチャーズなどたくさんいました。
ブルーズに影響されたバンドもブルース・ブレイカーズ、ヤードバーズ、ストーンズ、アニマルズ、ゼムとたくさんありましたが、僕はピーター・グリーンのバンド「フリートウッド・マック」がいちばん「ブルーズの濃度」が高かったと思ってます。
ピーター・グリーンは70年代に入ってドラッグの影響で少し精神を病んでしまい音楽シーンからいなくなった時期もあり、最近も華々しい活躍はしていなかったのですが、彼の残した功績は大きくいまも彼の熱狂的なファンはたくさんいます。
ブルーズに影響を受けたロックミュージシャンにとってマディ・ウォーターズやハウリン・ウルフなどの歴史的録音をリリースしたシカゴの「チェス・レコード」はブルーズの聖地のひとつです。かくいう僕もシカゴへ行った折は2120サウス・ミシガン・アヴェニューにある「チェス・レコード」を訪ねました。僕が行った時は改装中で中を見せてもらうことはできませんでしが、ミーハーなので入口で写真を撮りました。ローリング・ストーンズは1964年の初めてのアメリカツアーの時に「チェスレコード」のスタジオを訪れて録音もしています。その時住所をそのままタイトルにした「2120サウス・ミシガン・アヴェニュー」という曲を録音しています。60年代ブルーズに影響を受けたイギリスのロックバンドにとって聖地チェスで録音するというのはひとつの夢だったと思います。ピーター・グリーンのフリート・ウッドマックは1969年にチェスのスタジオでの録音を残しました。今日はそのアルバム”Blues Jam In Chicago”を聴いてみようと思います。

一曲目シカゴのブルーズマン、オーティス・ラッシュの1962年にデュークレコードからたった一曲だけリリースされた曲です「学校へ行くなんて無駄な時間使ってアホみたいや、オマエに夢中で宿題なんかやってらへん。オマエのキス、手の感触、オマエのすることすべてがスイートなんよ。たまらんで」
彼女に夢中で宿題なんかできんいう歌です。
1.Homework/Fleetwood Mac(vol.Peter Green) 
HomeworkはJ.ガイルズ・バンドもカバーしてます。

次の曲なんかもそうですがピーター・グリーンは意外と、というと失礼ですが歌がいいです。ギターはギブソン・レスポールのムンムンとしたいい音がしています。ピーターは黒人ブルーズマンのフレディ・キングが好きだったのて、そのフレディも使っていたギター、レスポールを使っていたのだとおもいます。
オリジナルはハウリン・ウルフ。
2.Sugar Mama [Take 2]/Fleetwood Mac(vol.Peter Green) 
このアルバムはフリートウッド・マックのメンバーであるピーター・グリーンg,ダニー・カーワンg,ジェレミー・スペンサーg,ジョン・マクヴィb,ミック・フリートウッドdrとシカゴの黒人ブルーズマン、ピアノのオーティス・スパン、ハーモニカのウォルター・ホートン、サックスのJ.T.ブラウン、ウッドベースにウィリー・ディクソンなどとのセッションのコンセプトで作られています。
フリートウッド・マックのメンバーは自分たちが聴いていたレコードのブルーズマンたちが一緒なわけですから、現場では緊張と興奮でしょう。
次はフリートウッド・マックのスライドギターの名手ジェレミー・スペンサーが歌って弾いている曲ですが、もうこの曲の全体が醸し出しているブルーズのムードがすごくいいです。エルモア・ジェイムズと一緒に録音もライヴもやっていたサックスのJ.T.ブラウンが参加しています。もうこれはエルモア・フリークのジェレミーにとってはめちゃ嬉しかったに違いないです。彼のスライドギターがまたええ音してます。
3.Everyday I Have The Blues/Fleetwood Mac(vo.Jeremy Spencer)

もうジェレミーの歌声が時々エルモア・ジェイムズに聴こえますよね。
フリートウッド・マックにはギタリストが3人いるんですが、3人はちょっと珍しいです。でも、3人いても演奏のじゃまになっている感じはないんですよね。普通ギター3人いたらちょっと煩わしいです。よく、最後の全員セッションみたいのがコンサートでありますが、僕は弾くふりをして音出して弾いていないです。5人も6人もギターいるとホントにうるさいので僕はエア・ギターです。

次はもうひとりのギター、ダニー・カーワンが歌ってます。全体のイケイケのシャッフル・グルーヴの中でカーワンとピーター・グリーンのギターの絡みがこれまたすごいことになってます。
4.Like It This Way/Fleetwood Mac(vo.Danny Kirwan)
いいブルーズバンドなんですよフリートウッド・マック。僕は同じイギリスのクリームのブルーズへのアプローチよりこのバンドの方がオーセンティックなあぷろーちで好きです。
バンドとして結束力もあるしジョン・マクビーとミック・フリートのリズム隊のグルーヴもすごくいいんですよ。

フリートウッド・マックを結成して3年目、バンドがすごくいい方向に進んでいたことを感じさせるいいアルバムです。
今日はピーター・グリーンと彼のバンド「フリートウッド・マック」がシカゴの黒人ブルーズマンたちとセッションしたアルバム「Blues Jam In Chicago」を聴きました。このアルバムは二枚組で出されていたり、二枚別々に出されていたりいろんな形でリリースされているし、アルバムタイトルも「Blues Jam In Chess」というのもあります。番組のHPにアルバムが出てますので参考に探してみてください。
来週はフリートウッド・マックのオリジナルや例のあの名曲なんかも聴きます。お楽しみに!