2020.10.09 ON AIR

追悼:ピーター・グリーン vol.2

A Hard Road / John Mayall&The Blues Breakers (Decca 984 222-5)

English Rose / Fleetwood Mac (Blue Horizon/epic ESCA 5421)

The Pious Bird Of Good Omen/Fleetwood Mac (Sony/Columbia)

ON AIR LIST
1.Stumble/John Mayall & The Blues Breakers
2.So Many Roads/John Mayall & The Blues Breakers 
3.Need Your Love So Bad/Fleetwood Mac
4.Black Magic Woman/Fleetwood Mac
5.Albatross/Fleetwood Mac 

この番組のブルーズ・スタンダード曲集のブルーズ・ロック編でフリート・ウッドマックの”Black Magic Woman”を取り上げたばかりですが、そのフリート・ウッドマックのギタリストだったピーター・グリーンが7月25日に73才で亡くなりました。今日はかれの追悼の2回目です。
60年代イギリスで起きたブルーズ・ロックのムーヴメントでブルーズをルーツにしたたくさんのロックバンドが登場し、たくさんの素晴らしいギタリストも現れましたが、僕はブルーズに関してはピーター・グリーンがいちばん好きでした。彼はブルーズ以外のオリジナル曲でも才能のあるソング・ライティングとギタープレイを残してます。
僕がいちばん最初にピーター・グリーンを聴いたのは亡くなった盟友の塩次伸二が持っていたジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズの”Hard Road”というアルバムでした。1970年頃です。それはかのエリック・クラプトンがブルース・ブレイカーズを辞めたあとにピーター・グリーンが入った時のアルバムで、塩次伸二は「クラプトンよりピーター・グリーンの方がいい」と言ってました。エリック・クラプトンはブルース・ブレイカーズ時代にフレディ・キングの”Hide Away”というインストの曲を録音して素晴らしいギター・プレイを残したのですが、ピーターはブレイカーズに入って同じフレディ・キングの”Stumble”というインストを録音しました。どこかクラプトンに対抗する気持ちがあったのでしょうか。
1.Stumble/John Mayall & The Blues Breakers
素晴らしい演奏でギターが上手いだけでなく彼のブルーズへの熱い気持ちが出ているプレイです。
同じアルバムに入っている次のスロー・ブルーズのギターソロも印象に残っています。オリジナルはオーティス・ラッシュ。このカバーで歌っているのはジョン・メイオールです。
B.B.キングが彼のギターを初めて聴いた時、「いままで聴いたいちばんスイートなギターの音色で、こりゃヤバいなと冷汗が出た」と言ってますが、スイートかつアグレッシヴなとても個性的な音色とギタープレイをどうぞ。
2.So Many Roads/John Mayall & The Blues Breakers 
この時ピーターは20才です。クラプトンがイギリスのロック・シーンで「クラプトンは神だ」みたいなことを言われていることへの反発はビーターにあったと思います。どっちも素晴らしいブルーズ・ギターを弾いていて、あとは好き嫌いですがクラプトンへの評価は過大だったようにぼくは思います。
ピーターはこの”Hard Road”というアルバム一枚でブルーズ・ブレイカーズを脱退します。そしてフリートウッド・マックの結成になります。1967年です。
次はリトル・ウィリー・ジョンの名曲をカバーしているのですが、この歌はすごく難しいのですがピーターはうまく歌おうとしないでさりげなく歌っているのがすごくいいです。イントロの音数の少ないギターも最後のフェイドアウトしていくギターもすごく心に沁みます。
3.Need Your Love So Bad/Fleetwood Mac

僕は一度だけ彼に会っています。1999年だったか、日比谷の野音で僕はロケッツの鮎川くんとセッションバンドで出演したんですが、その時訊きたいこともいろいろあったのですが、若い頃のドラッグの後遺症で精神状態が普通ではないのであまり会話が進みませんでした。ピーター・グリーンはもちろんブルーズをルーツにしてましたが、いいオリジナル曲もたくさん作りました。そのあたりのことも聞きたかったのですが・・・。
次の曲はサンタナでヒットしましたが、オリジナルはフリートウッド・マック
4.Black Magic Woman/Fleetwood Mac
次の曲はもう大好きな曲で短いインストの曲なんですが、イマジネーション広がる素晴らしい曲だと思います。
「あほう鳥」
5.Albatross/Fleetwood Mac 
フリートウッド・マックはブルーズもオリジナルもまだまだ可能性のあったバンドだったんですが、ギタリスト三人がドラッグで精神がすこしおかしくなって、変な宗教団体に入ってしまったり失踪したりで活動ができなくなりました。すごく残念です。ブルーズのオリジナル(Black Magic Woman)でヒットを出したイギリスのミュージシャンはピーター・グリーンだけだと思います。
ギター三人が脱退してからは、ベースのジョン・マクヴィとドラムのミック・フリートがまったくコンセプトの違う第二期のフリートウッド・マックを作り上げヒット曲をたくさん出しました。
ジョン・メイオール時代、フリートウッド・マック時代だけでなくピーター・グリーンは素晴らしいソロ・アルバムも残しているのですが、それはまたの機会に。
今日と前回は7月25日に73才で亡くなったイギリスの素晴らしいギタリストでソングライターだったピーター・グリーンの特集を聴いていただきました。