2021.05.21 ON AIR

Down Home Blues/Miami Atlanta&The South Eastern States(Wienerworld WNRCD5112)

ON AIR LIST
1.Why Did You Go / Ray Charles
2.I Keep On Drinkin’/Curly Weaver
3.Slappiin’ The Boogie / John Lee
4.No Good Woman Blues / Rudy Greene
5.After Hours/Earl Hooker

今日はこの前ON AIRしたDown Home Bluesシリーズのマイアミ・アトランタ・南東部編です。CD三枚組で83曲入ってます。しかもまたあまり知らないブルーズマンがたくさん収録されてます。
ところで皆さんはアメリカのマイアミというと何を思い出します?
僕はオレンジやグレープフルーツなど果物の産地とお金持ちがたくさん住んでるリゾート地というイメージですかね。マイアミはアメリカの南東部の最南端の州フロリダのまた南にある街で海を渡ればバハマ、キューバはすぐ近く。なんとなく陽気なファンキーな街のイメージを勝手に持っています。現在はIC,コンピューターなどの工業都市としても活気のあるらしい。
このアルバムに収録されているブルーズが録音された40年代から50年代あたりは果物の生産が盛んなところということで黒人労働者も集まり自然と音楽シーンも盛り上がっていたようです。

このDown Home Bluesシリーズはどれも僕も知らないブルーズマンがたくさん収録されているのですが、とりあえずまず知ってる人ということでレイ・チャールズ。まだレイが売れる前の1951年マイアミで録音されたレイ・チャールズの初期の作品です。レイはウエストコーストで本格的にプロの世界に入ったのですが、ルイジアナでの録音があったり、ロウエル・フルソンのツアーに参加したりと盲目というハンディを背負ってましたがその才能は評価され始めてました。
歌の内容は「彼女が行ってしまったのでずっと泣き続けてる。たった一人の彼女だったのになぜオレを残して行ってしまったんだ」と、別れた女に未練たっぷりのブルーズで最後には「さよならベイビー、寂しい長い夜だ」と言いながら「オレのこと気になるならオレは家にいるからね」と、女の方にしたら「知らんがなそんなん」でしょうね。
1.Why Did You Go / Ray Charles
やっぱり歌がエモーショナルで素晴らしいです。
この後、レイはニューヨークへ行きアトランティック・レコードと契約して”I’ve Got A Woman”,”Hallelujah I Love Her So”,”What’d I Say”などの大ヒットを連発して世界的なミュージシャンになります。

こういうあまり知らないミュージシャンばかり入っているコンピレーション盤を買う時のきっかけのひとつが知ってる曲が入ってるというポイント。しかし、同名異曲ということも多々あるのですが・・次の曲今回は当たりでした。
以前リトル・ブラザー・モンゴメリーというブルーズマンのバージョンでON AIRしたことのある”I Keep On Drinkin”という僕の好きな曲が収録されているのを見つけました。しかし、歌っているカーリー・ウィーバーというブルーズマンは全く知らない。ウィーバーはギターを弾きながら歌っているのですが、一緒にやっているもう一人のギタリスト、ブラインド・ウィリー・マクテルは有名ブルーズマン。そのブラインド・ウィリー・マクテルも自分のソロでこの曲を録音しています。
「辛い日々に女ともうまく行かず、憂鬱から逃れるために呑み続けてしまう。でも、いつの日かオレの裏口にもお日様が当たるだろうよ」
2.I Keep On Drinkin’/Curly Weaver

このアルバムの曲と演奏者のクレジットを見ていたらジョン・リーという名前を見つけ、「おお、あの偉大なブギの王様ジョン・リー・フッカーか」と思いきやフッカーはなく、ただジョン・リーだった。ブルーズには同名異人というのも結構ある。このジョン・リーの弾き語りブギがなかなかいい。リズムがグルーヴしていて途中のソロを少し入れる技もなかなかのもの。
歌はダウンホームでおおらかな感じ。
3.Slappiin’ The Boogie / John Lee
ついついフッカーと言いそうになりますが、ジョン・リーです。

次はピアノのブギの曲です。歌っているルディ・グリーンというブルーズマンも全く知らない。とにかくバックのピアノが素晴らしくルディ・グリーン本人が弾いているのかと思ったら本人は歌とギター。ピアノは有名なセシル・ギャントだった。セシル・ギャントは1944年に”I Wonder”という曲を大ヒットさせたピアニスト・ブルーズマンで主にウエストコーストで40年代から50年代に活躍した。スローのメロウな曲からブギまでとにかく素晴らしいピアニストだ。セシル・ギャントのピアノも素晴らしいですがグリーンのジャンプ風の歌もなかなかのものです。
1946年録音
4.No Good Woman Blues /Rudy Greene
ピアノのグルーヴ感が半端ないです。
今のルディ・グリーンはルイジアナの生まれでフロリダにちょっと住んでいた頃に録音した曲でした。
ギターはTボーン・ウォーカーの影響を受けてますね。
ライナー・ノーツを読むと40年間ぐらいの音楽人生の中で12枚のシングルを出したけどこれと言ったヒットには結びつかず1976年にフロリダで50歳で亡くなっています。

最後にちょっと面白いテイクです。この番組でアール・フッカーは何度もON AIRしたことありますが、今日聞くのはドラムと二人だけでやっているアウトテイクみたいなものですが、ブルーズのインストではいろんな人がやっているAfter Hours
5.After Hours/Earl Hooker
はっきりいうとドラムいらないですね。ドラムの人に悪いですけど。アール・フッカー一人の方が良かったかな。

このDown Home Blues/Miami Atlanta&The South Eastern StatesはCD三枚組で83曲ですから当分の間楽しめそうです。