2021.06.11 ON AIR

マリア・マルダーのニューアルバム”Let’s Get Happy Together”がいい!

Let’s Get Happy Together/Maria Muldaur with Tuba Skinny (Stony Plaln)

ON AIR LIST
1.Let’s Get Happy Together/Maria Muldaur with Tuba Skinny
2.He Ain’t Got Rhythm /Maria Muldaur with Tuba Skinny
3.Big City Blues/Maria Muldaur with Tuba Skinny
4.Delta Bound/Maria Muldaur with Tuba Skinny
5.Some Sweet Day/Maria Muldaur with Tuba Skinny

マリア・マルダーという名前を聞いて懐かしく思い出される方もいると思います。1973年の初ソロ・アルバム「マリア・マルダー」とその翌年の「ドーナツ・ショップのウエイトレス/Waitress In a Dounut Shop」でマリア・マルダーは人気になり、「真夜中のオアシス/Midnight at the Oasis」という曲もヒットしました。
マリア・マルダーは55年のキャリアがあり、今まで42枚のアルバムを出して6回グラミーにノミネートされているアメリカを代表するシンガーです。
キャリアの始まりは60年代中頃に「Jim Kweskin & The Jug Band」にヴォーカルとフイドルで参加したのがプロとしての始まりです。67年にバンドが解散してそのバンドにいたギターのジェフ・マルダーと結婚して「ジェフ&マリア・マルダー」として活動を始めました。そのあと離婚するんですがその時の名前を今も芸名として使っているわけです。今回のアルバムはぼくも全く知らなかった「チューバ・スキニー」というバンドとのコラボ・アルバムですが、このバンドはアメリカの古いトラッド・ジャズを演奏しているバンドでルーツ・ミュージック好きのマリアから是非とコラボを依頼したそうです。
まず、アルバム・タイトル曲”Let’s Get Happy Together”
1.Let’s Get Happy Together/Maria Muldaur with Tuba Skinny
曲名通り「私たちは失ったものもあるけど楽しくやりましようよ」という歌で原曲は、ルイ・アームストロングの奥さんリル・ハーディン・アームストロングが1938年に録音した曲です。
リル・ハーディン・アームストロングはピアニストで歌も歌い作曲もしてバンド・リーダーでもあったという才能のあった女性です。

このアルバム”Let’s Get Happy Together”、トラッドジャズあまり知らないのでなじみのある曲がほとんどないのですが、次の曲はビリー・ホリディが歌っているので知ってます。
「彼がどんなに頭のいい男でも業績のある男でも成功して世間からの評判がいい男でもリズムがなかったらつまらん男よ。家で1人で本を読んでるようなさみしい男よ」多分楽しくない男という意味だと思います。ファンキーじゃないというか・・。
2.He Ain’t Got Rhythm /Maria Muldaur with Tuba Skinny
最初のクラリネットの音がなんともいいですね。
僕はマリアがデビューした頃よく聴いていたのですが、70年代終わり頃からずっとご無沙汰していて90年代にぼくがニューオリンズへ行き始めた頃に「ルイジアナ・ラブ・コール」というニューオリンズで録音したいいアルバムを彼女がリリースした頃からまた彼女を聴きはじめました。それからはリリースされるアルバムもほとんど聴いているのですが、マリアはずっとこういうトラッド・ジャズとか、ジャグ・ミュージックとかルーツ・ミュージックが好きで変わらないところがいいです。

今回アルバムで気に入ったのが1929年にアネット・ハンショウという女性シンガーが歌った次の歌。
「今日は感謝祭の夜なのでみんなどこかへ行ってしまう。私の気持ちなんて誰にもわからない。みんな通り過ぎていく。なぜなの・・」大都会(Big City)に1人で住む女性の寂しい気持ちを歌った曲です。
3.Big City Blues/Maria Muldaur with Tuba Skinny
初めて聴いたのですが、懐かしい、切ない感じがするいい曲ですね。

このアルバムでマリア・マルダーとコラボしたチューバ・スキニーについて。
ニューオリンズのバンドです。トラッド・ジャズという1920年代30年代の古いジャズを演奏するバンドでストリートでも演奏してます。ストリートの方が多いのかな?完全なプロではなく多分他の仕事をしているメンバーがほとんどだと思います。
使われている楽器がコルネット、クラリネット、サックス、トロンボーン、チューバ、バンジョー、ギター、フィドル、アコーディオン、ハーモニカ、ウォッシュボードなどでバンド結成されて10年ほど経っています。ライヴ映像を見るとコルネットの女性が演奏の合図を出しているのでこのシェイ・コーンという方がバンマスだと思います。
このアルバムをリリースした記念のライヴ映像がYou Tubeに上がっているので是非見てください。
こちら→https://www.youtube.com/watch?v=Bm0yUQf5Gms&t=7s
あとチューバ・スキニーだけの映像もYou Tube に上がっています。面白いのはストリートで演奏している時にメンバーの1人が遅れてきて途中から楽器をセッティングしてすぐ演奏に加わる・・そんな様子も見れます。
次の曲はオリジナルは1932年に有名なジャズの巨匠デューク・エリントンが彼のオーケストラで女性ヴォーカルのアイビー・アンダーソンを迎えて録音した曲です。
4.Delta Bound/Maria Muldaur with Tuba Skinny

こういうトラッド・ジャズという音楽を僕も詳しくはないのですが、ファンキーで音の肌触りが優しい感じで肩の力が抜けていいです。
このアルバムを最近よく聴いていて、チューバ・スキニーの映像もYou Tubeで時々見ているのですが、なんかメンバーがたくさんいる時もあればメンバーが代わっている時もあって、街のストリートで演奏している様子なんかのんびりしていてすごくいいです。必死にプロでやっていくという感じもなくセミ・プロというか・・でも出しているサウンドは素晴らしいです。
それからマリア・マルダーは好きな音楽がずっと変わらず歌っているのがいいですね。年を重ねて少し声が低くなりましたが、それもまた味になっていていいです。
では最後にもう一曲
5.Some Sweet Day/Maria Muldaur with Tuba Skinny

今回のアルバムは日本のBSMFレコードからリリースされています。
マリア・マルダーが偶然チューバ・スキニーのアルバムを聴いて感動してマリアからコラボを申し出たそうです。若い人たちがこういうトラッド・ジャズをしっかりやっていることがマリアは嬉しかったんでしょうね。マリアも77歳になりますが、まだまだ歌えるしアルバムも出してまた日本にも来て欲しいです。
アルバム情報は番組HPをどうぞ。Let’s Get Happy Together/Maria Muldaur with Tuba Skinnyでした。