2022.02.04. ON AIR

映画「ベルーシ」公開に寄せて久しぶりにブルーズ・ブラザースを聴く

The Blues Brothers Original Soundtrack (Atlantic 16017-2)

ON AIR LIST
1.Somebody Roan Me A Dime/Fenton Robinson
2..She Caught The Katy /The Blues Brothers
3.Peter Gunn Theme/The Blues Brothers
4.Boom Boom /John Lee Hooker
5.Shake A Tail Feather / Ray Charles

昨年12/17からジョン・ベルーシの伝記ドキュメンタリー映画「ベルーシ」が公開されました。ぼくはまだ見ていないんですが、映画は彼の幼少期からコメディアンを目指しそして個性的な俳優へとのぼり詰めていき最後ドラッグの過剰摂取で亡くなるまでを描いています。
僕は1978年の映画「アニマル・ハウス」で初めてベルーシを観て映画があまりに面白かったので記憶に残り、その後アメリカへ行った時にテレビで放映されていたコメディ番組「サタディ・ナイト・ライヴ」に彼が出演していて、そのハチャメチャぶりに大好きになった。その「サタディ・ナイト・ライヴ」の番組の中から生まれたキャラクターが「ブルース・ブラザーズ」でこれが映画化されて全世界ヒットになったわけです。それで映画のプロモーションで来日したときにジョン・ベルーシとダン・エイクロイドの二人がぼくのライヴ会場にやってきて一緒にセッションもしました。話も少しできたのですが、ダン・エイクロイドが元々ブルーズとかソウルとか黒人音楽好きで音楽をよく知っていました。映画の中でルイ・ジョーダンの”Let The Good Times Roll”がエルウッド(ベルーシ)のアパートでながれるシーンがあり、そこでレコードが映るんですが、それがデッカレコードの原盤だったのに気づいたので「あれ、デッカの原盤ですよね」と言ったらダンが「あれ、俺のレコードなんだ。よく原盤って気づいたね」と喜んでました。あとビートルズやストーンズのようなロックから黒人音楽に入った流れも僕と同じでシカゴ・ブルーズの話もしてましたし、次は南部を舞台にブルーズ・ブラザーズ2を作るとベルーシはその時言ってたのですが、よく年に亡くなってしまいました。

映画の最初のシーン、ベルーシが演ずるエルウッドが刑務所で寝ているところを看守に起こされるんですが、あまりみんな気づいてないのですがそのバックで流れているのがフェントン・ロビンソンの”Somebody Roan Me A Dime”
フェントン・ロビンソンはブルーズフリークの間では知られてますが、映画を観にくる一般の人たちにはまあ知られていないので映画の冒頭に「こんなブルーズ流すか・・」と笑いました。1967年にフェントンが録音した曲で「誰か金貸してくれへんか。彼女と別れる前の昔の自分に電話したいんだ。その電話代を10セント貸してくれへんか」という彼女と別れたことを後悔している歌
これはサントラには入ってません。

1.Somebody Roan Me A Dime/Fenton Robinson

ブルースブラザーズの映画を観ていて最初からこのマニアックな選曲に驚いたのですが、次の曲もマニアックな曲で1968年にタジ・マハールが「ナッチェル・ブルース」というアルバムに録音した曲です。映画のサントラからどうぞ。

2.She Caught The Katy/The Blues Brothers

ブルーズ・ブラザーズの二人が車に乗っているシーンが何度かあるのですが、そこで流れた曲が次のインスト曲の「ピーター・ガン」
「ピーター・ガン」は50年代の終わりから60年代にかけて放映されたアメリカの探偵物のテレビ番組で、そのテーマ・ソングです。この番組は60年代初めに日本でも少し放映されてたようですが僕は10才くらいで覚えてないのですが、曲は覚えてました。多分当時の日本のテレビの音楽番組で日本のミュージシャンにカバーされていたのだと思います。作曲したのは「ムーン・リバー」で有名な作曲家のヘンリー・マンシーニです。

3.Peter Gunn Theme(シーム)/The Blues Brothers


映画「ブルーズ・ブラザーズ」が公開されたのが1980年でした。それからDVDを何度も観ていますが、何度観ても楽しい映画です。その試写会の時に思わず「Yeah!」と声が出てしまったのがジョン・リー・フッカーがマックスウェル・ストリートで演奏するシーンでした。ジョン・リーの歌う姿にも感激しましたが、手にたばこを挟みながらハーモニカを吹くウォルター・ホートンが映った時に思わず「Yeah!」と声が出ました。ウォルター・ホートンはリトル・ウォルターほど有名なハーモニカ・プレイヤーではないのですが、素晴らしいセンスのあるプレイヤーです。
そのジョン・リー・フッカーが映画で歌っていたのが次の”Boom Boom”ですが、この曲はサウンドトラックには入ってません。
1962年Vee Jayレコードからリリースされたジョン・リーの大ヒットでイギリスの「アニマルズ」はじめ多くのロックバンドにもカバーされました。
原曲のジョン・リーです

4.Boom Boom /John Lee Hooker


映画ではジョン・リーの足元が映るシーンがありました。これはジョン・リーの録音によく足音が入っているのでそれでわざと足元を映したのですが、そういう映像のちょっとしたショットや選曲と出演ミュージシャンの選び方を観てこれはエンターテナーでありながらマニアックな映画だとわかりました。つまりブルーズや黒人音楽の美味しいところをよくわかっている映画で、それを痛快なエンターテナーとして作ったところが素晴らしいです。すごくよく出来た映画だと思います。
レイ・チャールズが楽器店の親父として登場したシーンも笑えるもので、そこでレイが歌ったこの選曲にもびっくりしました。

5.Shake A Tail Feather / Ray Charles


今の曲のオリジナルは「ファイヴ・ドュー・トーンズ」というグループが1963年にリリースしたものでなかなかマニアックなものです。でもさすがレイ・チャールズは新しい息をこの曲に吹き込んでいます。この曲でみんながストリートで踊るシーンも楽しかったですね。

ソウル・フード店の女将役のアレサ・フランクリン、教会の牧師役のジェイムズ・ブラウンはじめアメリカの人間国宝のようなキャブ・キャロウェイ、アレサの旦那役でマット・マーフィ、そしてバンド仲間の役でベースのドナルド・ダック・ダン、ギターのスティーヴ・クロッパー、ドラムのウィリー・ホールなどの出演も良かったですね。
主役のジョン・ベルーシが亡くなったのは1982年でまだ33才でした。とても才能のある俳優だったので残念でした。
今回の映画「ベルーシ」ちょっと観にいくのが遅れてますが、面白そうです。是非皆さんも映画館へ・・Hey HeynThe Blues Is Alright