2022.05.13 ON AIR

祝!ジョン・バティースト・グラミー5部門獲得!

WE ARE / Jon Batiste (Verve UCCV-1190)
ソウルフル・ワールド・オリジナル・サウンドトラック
(Walt Disney Records/PIXAR UWCD-1096)
CHRONOLOGY OF A DREAM/Live At The Village Vanguard (Verve Records 0006025982906405)

ON AIR LIST
1.Freedom / Jon Batiste
2.Cry / Jon Batiste
3.I Need You / Jon Batiste
4.It’s Alright /Jon Batiste
5.Higher /Jon Batiste

今年は久しぶりにグラミー賞を誰が獲得するのか熱が入りました。主要四部門の二つは大人気のシルク・ソニックが獲得し、最優秀アメリカーナ・アルバムでも大好きなロス・ロボスが獲得、残念ながら応援していたニューオリンズのマルディグラ・インディアンのビッグ・チーフ、モンク・ブドローは獲得を逃しましたが、この番組でも強く推していた同じニューオリンズ出身のジョン・バティーストが、5部門でグラミーを獲得しました。その5部門はアルバム・オブ・ザ・イヤー『ウィー・アー』、最優秀ミュージック・ビデオ「Freedom」、最優秀アメリカン・ルーツ・パフォーマンス「Cry」、最優秀アメリカン・ルーツ・ソング「Cry」、最優秀サウンドトラック・アルバム作曲賞映画、テレビ、その他映像部門『ソウルフル・ワールド
素晴らしいです。
今回驚いたのは日本の音楽関係者特に音楽ライターの人たちがあまりジョン・バディーストに興味を持っていなかったことです。アメリカでは有名テレビ番組のハウスバンドのバンドマスターだったり、音楽デイレクターもやり、もちろん自分のライヴもアルバム制作もコンスタントにやり、今までもたくさん賞にも輝き、ブラック・ライヴズ・マターの運動が始まった時には自ら先頭に立ってデモ行進したり、いろんな意味でアメリカでは現在最も注目されているミュージシャンです。
今日はグラミー獲得のお祝いとしてそしてもっと彼を知ってもらうためにジョンをON AIRします。
まずは「アルバム・オブ・ザ・イヤー」を獲得した「WE ARE」から、この曲は最優秀ミュージック・ビデオ賞も獲得しました。

1.Freedom / Jon Batiste

グラミーの授賞式のスピーチで彼はこう言ってます。「僕は子どもの頃から音楽が大好きで、神に感謝しながらプレイし続けてきた。エンタテインメントというよりは、僕にとってはスピリチュアルなものなんだ。僕の祖父や甥っ子、父、プロデューサーのライアン・リン、、、たくさんの人たちでこのアルバムは作り上げられた。このカテゴリーにノミネートされた全てのアーティストを僕は愛しているし、誇りに思う。この賞は真のアーティストのためのものだと思う。これを続けていこう、そして僕たちが僕たち自身であることを大切にしよう。」
最後の「僕たちが僕たち自身であることを大切にしよう」というのは人種差別や性差別への反対、そして暴力への反対を打ち出して音楽活動と社会運動をやってきたジョンの強いメッセージだと思います。

2.Cry / Jon Batiste

次はこれもミュージック・ビデオをYouTubeで是非見て欲しいのですが、絵が飾ってある画廊のようなところでジョンが絵を見ていると可愛い女性が入ってきてその彼女をナンパするみたいな他愛のないビデオですが、曲がR&Bさらにはブルーズがルーツにある軽快なダンスナンバーでストレートに楽しめます。ちなみにそのビデオに出てくる女性がとてもキュートです。

3.I Need You / Jon Batiste

ジョンはいま35才です。ニューオリンズの音楽一族に生まれ11才の頃からお父さんと一族がメンバーの「バティースト・ブラザーズ」に参加してドラムをやっていたそうです。そのあと母親に勧められてピアノを始め、多分その頃から才能が開花していったんだと思いますが、クラシックを勉強してジュリアード音楽院に入ります。デビューがジャズ畑からだったことから日本ではなかなか名前がポピュラーにならなかったのだと思います。ジャズやクラシックだけでなく子供の頃から聞いていたニューオリンズのR&B、ブルーズ、ジャズのようなルーツ・ミュージックも取り込みヒップホップやラップといった今の音楽にいろんな要素を融合させるセンスと技を持ちました。

4.It’s Alright /Jon Batiste

サウンド的にはジョンなりのオリジナリティを打ち出していますが、曲そのものはほぼ原曲通りで歌がソウルフルでいいですね。オリジナルのカーティス・メイフィールドへのリスペクトが感じられます。
ジョン・バティーストの音楽を聴いていつも思うのは過去の音楽への尊敬と過去の曲のいいテイストをいろんなところに散りばめるセンスとテクニックの素晴らしさです。テクニックがなければできないことをたくさんやっているのですが、そのテクニックの使い方がいやらしくないところがいいです。あと彼はクラシックやジャズも学んでいるんですが、やや難しいことも誰もがわかるように表現する包容力を感じます。
彼のジャズ・サイドを最後に聞いてください。2018年11月にニューヨークの老舗ジャズクラブ「ヴィレッジ・ヴァンガード」でライヴ録音されたアルバム「クラノロジー・オブ・ドリーム」から

5.Higher /Jon Batiste

是非来日もして欲しいですし、日本のリスナーの人たちにもっと広く彼の音楽が知れ渡ることを期待しています。
おめでとうジョン・バティースト!Congratulations on five Grammy awards,Mr.Jon Batiste!