2022.07.01 ON AIR

風格を失わないソウル・コーラスグループ「テンプテーションズ」の結成60周年記念アルバム~Temptations 60

Temptations/Temptations 60 (Universal Records BOO30312-02)

ON AIR LIST
1.When We Were Kings/The Temptations
2.Is It Gonna Be Yes Or No/The Temptations
3.My Whole World Stopped Without You/The Temptations
4.Come On /The Temptations

少し前にやっとゲットしたテンプス(テンプテーションズはこう呼ばれる)の73年の来日記念アルバムをOn Airしました。
それは僕が生まれて初めて聞いたソウル・コーラスグループで、そのライヴが素晴らしかったことも話しましたが、先頃テンプスの結成60周年記念アルバム~Temptations 60がリリースされました。
60年という長い間には何度もメンバーチェンジがあり、亡くなったメンバーもいて、現在オリジナル・メンバーはオーティス・ウィリアムスだけです。そのオーティスが総合プロデューサーを務め曲によってナラダ・マイケル・ウォルデンやスモーキー・ロビンソンがプロデュースしている曲もあります。
まずはそのナラダ・マイケル・ウォルデンがプロデュース、そしてドラムとキーボードとして参加している曲。
昔を懐かしむような曲で曲のところどころにMy GirlやPapa Was A Rolling Stoneなど彼らのヒット曲の曲名は挟み込まれています。「私たちがキング(王様)だった頃。

1.When We Were Kings/The Temptations

1961年にデトロイトのモータウンレコードからデビューしたテンプテーションズは最初ヒット曲が出なくて苦労しましたが、64年に”The Way You Do The Things You Do”がヒットしてその後チャート一位に輝いた”My Girl”,そして”Ain’t Too Proud To Beg”,”Get Ready””Don’t Look Back”などヒット曲を連発します。コーラス・ワークは当時のグループの中では際立って上手く、それだけではなく振り付け、ダンスの素晴らしさ、着ているスーツのセンスの良さそしてオーティス・ウィリアムス、エディ・ケンドリックス、メルヴィン・フランクリン、ポール・ウィリアムズ、デヴィッド・ラフィンはみんなイケメンでメンバーになるためには背の高さも決められていたそうです。音楽性もエンターテナーとしても素晴らしく出来上がったグループでした。そのテンプスに数々のヒット曲を提供したのがスモーキー・ロビンソン
そのスモーキーが今回のアルバムに曲を提供してリードを取って歌っている曲があります。プロデュースもスモーキーです。
スモーキー独特のメロウな歌い回しが聞けます。

2.Is It Gonna Be Yes Or No/The Temptations

今回のアルバムにはいろんなタイプの曲が入っているのですが、次の曲をぼくは格別好きになりました。
曲もいいのですが暖かく繊細で重厚なコーラス、これぞテンプテーションズという感じの歌です。
「あなたがいなくて私の世界は止まってしまった」と別れてしまったことを後悔している歌です。

3.My Whole World Stopped Without You/The Temptations

一流のソウル・コーラスグループでしか表現できない素晴らしい歌だと思います。
テンプスのメンバーの歴史を少し話しますと、1968年にほとんどリードを取っていた人気のデヴィッド・ラフィンが脱退して、デニス・エドワードが加入してどうなるかと思ったけど71年には”Just My Imagination”が大ヒット。
その後、オリジナルメンバーのエディ・ケンドリックスとポール・ウィリアムズが脱退しましたが、デーモン・ハリスとリチャード・ストリートが加入して72年には”Papa Was A Rolling Stone”が全米一位になるという素晴らしさ。80年代に入るとデニス・エドワードが脱退したけれど代わりに加入したアリオリ・ウッドソンも素晴らしいリード・シンガーでした。
現在のメンバーはオーティス・ウィリアムズ、ロン・タイソン、テリー・ウィークス、ウィリー・グリーンというメンバー。
オリジナル・メンバーでリーダーのオーティス・ウィリアムズはメンバーが変わるたびに苦労したと思いますが、60年頑張りました。
最後はそのオーティスの語りから歌に入るのですが、テンプテーションズと名乗る前はオーティス・ウィリアムス&ザ・デイスタンスというグルー名だったそうです。1960年の結成当初の話から始まり、そのライヴを見ていたモータウンレコードの社長のベリー・ゴーディにレコード会社を作ったから入らないかと言われた話やスモーキーに会った話などをして今まで関わってくれたメンバーにも感謝の言葉を語っています
少しオーティスの語りが長いので歌から入ります。アルバムをゲットしてぜひオーティスの語りも聞いてください。
初期の曲を60周年を迎えて録音するに当たってオーティスには感慨深いものがあったと思います。これはその初期のザ・デイスタンスというグループの頃の歌だそうです。

4.Come On /The Temptations (3分33秒からIN)

このアルバムを聴いて素晴らしいと思ったのは、グループの歴史も長くメンバー・チェンジも何度か繰り返しているのにただの「懐かしのグループ」になっていないこと。アルバムリリースのテンポは昔のようにはいきませんが、今もアルバムをこうしてリリースしてオーティスが曲を作ったりアメリカ、ヨーロッパでツアーを行うなど生き生きとした現役のグループとして活動しています。
オーティスは83才くらいですか。前も話しましたが、73年に来日した時、コンサート会場の出口で雪の中テンプスを出待ちして、現れたオーティスにハグしてもらったのはぼくの大切な思い出です。いいアルバムですTemptations 60