2022.07.08ON AIR

メンフィス・ソウル・クイーン、アン・ピーブルズの92年のライヴ・アルバムがリリース!

Ann Peebles & Hi Rhythm Section Live In Memphis(Memphis International Records MIR 2038)

ON AIR LIST
1.Part Time Love /Ann Peebles
2.Didn’t We Do It / Ann Peebles
3.I Feel Like Breaking Up Somebody’s Home Tonight / Ann Peebles
4.I Can’t Stand The Rain / Ann Peebles

この番組で何回かON AIRしている女性ソウル・シンガー、アン・ピーブルズの地元メンフィスのホテルで1992年に行われたライヴ録音”Live In Memphis”がリリースされました。
アン・ピーブルズは70年代に「メンフィスのソウル・クイーン」と呼ばれた人気シンガー。
所属していたメンフィスの「ハイ・レコード」もアル・グリーン、O.V.ライト、シル・ジョンソン、オーティス・クレイなどの素晴らしいアルバムをリリースしていた全盛期でした。アンは「ハイ・レコードのプロデューサー、ウィリー・ミッチェルは父親のようであり、ハイのスタジオ・ミュージシャン達は兄弟のようだった。要するに家族のようなレコード会社だった」と語っている。つまり大切にされていたのでしょう。そして、今回のアルバムのバックを務めているミュージシャンも兄弟のようと語ったそのハイ・レコードの「ハイ・リズム・セクション」と呼ばれた素晴らしいメンバー(ドラムーハワード・グライムス、ベースーリロイ・ホッジズ、キーボードーチャールズ・ホッジズ、ギターートーマス・ビンガム)です。
アンの旦那さんのドン・ブライアントも同じハイ・レコードのシンガーでありソングライターでもあります。79年には2人にシル・ジョンソンを加えたで来日公演が行われてこともありました。
このアルバムが録音された1992年は久しぶりに”Full Time Love”というスタジオ録音のアルバムをリリースした年でもあり久しぶりに活発に活動していたのかもしれません。
まずはアンを代表する一曲 元々は1963年にソウル・シンガーのリトル・ジョニー・テイラーがヒットさせた曲。
「平気で朝帰りしてくる男にもううんざり、こいつと別れたら私はパートタイム・ラブを探すわ」という歌。自分が精一杯愛しているのにそれに応えてくれない男に嫌気がさして、もう次は時々愛する男でいいわという感じか。

1.Part Time Love /Ann Peebles ピーブルズ

このアルバムを通して聴いてみて改めてバックのハイ・リズム・セクションの素晴らしさを感じました。余計なことを全くしない、余計な装飾の音とかこれ見よがしなプレイが全くなく淡々とグルーヴだけで押してくるストレートな演奏が本当にいいです。
アンのあまり歌い上げない次のバラードの曲でも彼らの丁寧な歌に寄り添った演奏が聴けます。

2.Didn’t We Do It / Ann Peebles

80年代に入りハイ・レコードが倒産してしまってからアルバムのリリースも減り活動も少なくなっていきました。80年代に一時引退状態になっていたのですが、まあドン・ブライアントとの家庭生活もあり静かな生活を楽しんでいたのかもしれません。

アレサ・フランクリンやパティ・ラベルのようにゴスペル・テイストの強い歌手ではなく、ブルーズのテイストのある歌声でストレートに歌うタイプで僕は70年代はアルバムを全て聞いていました。
次の曲は僕もカバーしましたが、おそらく不倫していて会いたい相手に会えない雨の日に「だれかの家庭を壊したい気分」と歌うブルーズです。

3.I Feel Like Breaking Up Somebody’s Home Tonight / Ann Peebles

「だれかの家庭を壊したい気分」って・・・怖いです。危険な恋をしてる方、気をつけてください・・・って何に気をつけんねん・・ですが。
もう一曲。ジョン・レノンが「最高の曲」と絶賛した1973年リリース”I Can’t Stand The Rain”はソウル・ミュージックの名曲として長く愛されている曲です。アンと旦那のドン・ブライアントが2人で作った曲です。
ある夜、アンとドン・ブライアントと仲間たちで誰かのコンサート行こうとして家を出ようとしたところで激しい雨が降ってきて、その時雨が嫌いなアンが「私は雨に我慢できないの」I Can’t Stand The Rainと言った言葉にドンがヒントを得て歌詞を書いて、その夜のうちに曲が出来上がり、翌日録音したという曲。

4.I Can’t Stand The Rain / Ann Peebles

すごく印象に残る曲で、ティナ・ターナー、ロッド・スチュワート、カサンドラ・ウィルソンなどカバーがたくさんありますが、やはりオリジナルのアンがぼくは好きです。
アン・ピーブルズは今も健在なのですが2012年に心臓の病気がでてからはライヴ活動はしていないようです。こういうライヴ盤を聴いているともう一度ライヴを聞きたくなるのですが、ライヴが出来ないのならアルバムを出して欲しいですね。本当に唯一無比のシンガーです。