2023.06.09 ON AIR

アイヴァン・ネヴィルのニューアルバム”Touch My Soul”を聴く

Ivan Neville / Touch My Soul

ON AIR LIST
1.Greatest Place On Earth/Ivan Neville
2.Dance Music Love/Ivan Neville
3.Hey All Together/Ivan Neville
4.This Must Be The Place/Ivan Neville
5.Beautiful Tears/Ivan Neville

ご存知の方も多いでしようが、アイヴァン・ネヴィルはニューオリンズのソウル・ファンク・バンド「ネヴィル・ブラザーズ」の名ヴォーカリスト、アーロン・ネヴィルの息子。
そしてファンク・バンド「ミーターズ」のキーボード・プレイヤー、アート・ネヴィルは彼の叔父さんに当たります。
しかし、彼が育ってきたニューオリンズの音楽というよりキース・リチャーズのバンド「エクスペンシヴ・ワイノーズ」への参加はじめロック・テイストの濃いミュージシャンという印象を持っている人も多いでしょう。デビュー・アルバムも確かロック的な音だったと思います。ストーンズへのゲスト参加もあったし、ロビー・ロバートソンなどロック・ミュージシャンと交流が多い人ですが、彼の中にはやはりニューオリンズの音楽がしっかりと蓄積されています。というよりあんなに地域性の強い音楽の街で育ってその音楽性がなくなるわけもなのですが・・・。
そして、ここ数年とてもいい感じで彼が吸収した音楽が実を結んできました。
今日聞いてもらうアイヴァンの新譜”Touch My Soul”では彼の様々な音楽性がうまく表現されているように思います。
まずはアルバムの前に先行発売されたニューオリンズ・テイストたっぷりの曲を。
「地球上で最高の場所」と名付けられた曲名はもちろんニューオリンズのこと。ニューオリンズのストリート・パレードを見ている思いがする楽しい曲です。

1.Greatest Place On Earth/Ivan Neville

ドラムにデヴェン・トゥルースクレア、ベースにトニー・ホール、ギターにイアン・ネヴィルとアイヴァンが組んでいるファンク・バンド「ダンプスタファンク」のメンバーが今回のアルバムの中心になっています。
次の曲にはちょっと70年代ソウル・ファンクを思い出しました。曲名は”Dance Music Love”なんですが、「踊って、歌って、愛し合おう。一緒にハーモニーを奏で、与えられてきたものを与えかえそう。一番大切なものは金では買えないよ」としっかりメッセージが入ってただのダンス・ミュージックではありません。

2.Dance Music Love/Ivan Neville

途中のギター・ソロはエリック・クラプトンンのバンドでも活躍している私も好きなレフティのギタリスト、ドイル・ブラムホールです。

このアルバムの一曲目の”Hey,All Together”には「こどもの頃は憎しみも知らず、楽しいことだけが待っていた。状況は良くなっていくものだと信じてた。でも、時が経つにつれて”みんなで一緒に”と言うのを忘れてしまった。さあ、みんな一緒に」というメッセージが込められています
お父さんのアーロン、ボニー・レイット、マイケル・マクドナルドなどがコーラスで参加しています。そして地元の友人でもあるトロボーン・ショーティがトロンボーンで参加。

3.Hey All Together/Ivan Neville

しかし、アーロン・ネヴィルの息子なのでまだ若いと思っていたらアイヴァンももう64歳!おっさんというよりもう孫でもいるおじいさんでもおかしくない年。それはまあ僕も年を取ったということですが。次の曲は83年のトーキング・ヘッズの曲のカバーだそうです。僕はトーキング・ヘッズをMTVでよく見ていたぐらいであまり知らないのですが、なんかこれもニューオリンズ・テイストがありホーンセクションが気持ちいい曲。そういうテイストにアレンジしたんですね、原曲知らんけど、多分。

4.This Must Be The Place/Ivan Neville

ニューオリンズはレジェンドのアレン・トゥーサンやドクター・ジョン、アール・キングなどが次々とこの世を去りどうなっていくのだろうと思いますが、今日のアィヴァン・ネヴィルやグラミーをたくさん獲得したジョン・バティースト、そしてこのアルバムにも参加しているトロボーン・ショーティなどが新しい音楽の中にしっかりと伝統の音楽っを継承しているように思います。
このアイヴァン・ネヴィルのニューアルバム”Touch My Soul”はナチュラルにそしてファンキーに表現されたいいアルバムだと思います。
最後はアイヴァンのピアノ・ソロで「美しい涙」

5.Beautiful Tears/Ivan Neville