2024.05.17 ON AIR

60年代ニューヨークのディープ・ソウル・シンガー、フレディ・スコット

The Very Best Of Freddie Scott(BSMF-7714)

ON AIR LIST
1.Hey Girl/Freddie Scott
2.Are You Lonely For Me/Freddie Scott
3.(You) Got What I Need /Freddie Scott
4.Cry To Me/Freddie Scott

アメリカの東北でニューヨークの北、ボストンに近いロードアイランド州のプロヴィデンスという街でフレディ・スコットは1933年に生まれています。子供の頃はおばあちゃんのゴスペル・グループに入って歌っていました。ロード・アイランド大学に入って薬学の勉強をしていたのですが、卒業後にシンガーとして56年にデビュー。でも、鳴かず飛ばずでしたがソングライターとしても活動をしていたようです。それがデビューから6年後1962年にジェリー・ゴフィン、キャロル・キング作「Hey Girl」という曲がヒット。ポップチャート、R&Bチャート共に10位まで上がりました。この時フレディ・スコット29歳です。まずその”Hey Girl”を聞いてみましょう。別れ間際の彼女に君に行ってしまわれたら俺はどうして生きていけいいいんだと言っている歌ですが、ともすると単調になりがちな曲調ですがフレディ・スコットの歌の後半に向かっていくソウルフルな歌唱力が素晴らしいです。

1.Hey Girl/Freddie Scott

今日のON AIRのタイトルが「60年代ニューヨークのディープ・ソウル・シンガー、フレディ・スコット」なんですが、ディープ・ソウルという言い方は南部のソウルを指すこととが多いのですが、60年代に今日のフレディ・スコットやガーネット・ミムズ、ハワード・テイト、リンダ・ジョーンズなどニューヨークあたりで活躍していたゴスペルに根ざしたシンガーのことをニューヨークのディープ・ソウル・シンガーと呼びます。
フレディ・スコットは今のHey Girlのヒットが出てから次のヒットがなかなか出ませんでした。いわゆる一発屋で終わるのかと思われましたが、4年後66年にAre You Lonely For Meが大ヒット、R&Bチャートの1位になります。「寂しくないかオレに会えなくて。オレはおまえに会えなくて寂しいよ。最後の金を使って故郷のジャクソンヴィルへ帰るよ。待っててくれよ。お前のいる故郷へ帰るよ」この曲でも彼の歌唱力の素晴らしさがよくわかります。

2.Are You Lonely For Me/Freddie Scott

この曲はR&Bチャートで一位、ポップ・チャートでも39位まで上がりましたが、広く白人層まで名前が知れ渡ったシンガーにはなりませんでしたが、ブラック・ミューシックのエンターテイメントの世界では歌の上手い歌手として認識されました。

フレディ・スコットはソングライターでもあり、アレサ・フランクリンのお姉さんであるアーマ・フランクリンのプロデューサーをやったり、デモ・テープ・シンガーもやってました。最初に聞いてもらった”Hey Girl”もチャック・ジャクソンのために書かれた曲をデモ・テープでフレディが歌ったところ「フレディの歌、ええやん」ということになりフレディが正式に録音されました。
次は少しアップテンポの曲で硬派なディープ・ソウルを聞かせてくれます。

3.(You) Got What I Need /Freddie Scott

では、最後に僕の大好きな曲で1962年に同じディープ・ソウル・シンガー、ソロモン・バークによってヒットとなった”Cry To Me” 「君の恋人が君を一人にして誰からも電話もない時泣きたい気持ちにならないか。ぼくはここにいるよ、おいでぼくの胸で泣きなよ。一人っきりでグラスのワインを飲むことほど悲しいことはない。一人きりで歩くことはない。ぼくの手を掴んでぼくと一緒に歩かないか・・泣きたい時はぼくの前で泣いていいんだよ。」

4.Cry To Me/Freddie Scott

最後のヒットが1970年にリリースされたボブ・ディランの名曲”I Shall Be Released”のカバーでした。そこからあまり名前を聞かなくなってしまったのですが彼は地道に活動していました。
2000年に入ってからもライヴ活動を続けてオールディーズのミュージシャンが集うコンサートなどにも出演したりアルバムもリリースしていましたが、ヒットには至りませんでした。
そして、フレディ・スコットは2007年にニューヨークで74歳でその生涯を閉じました。
今日聞いてもらったフレディ・スコットのアルバム”The Very Best Of Freddie Scott”は1/26に日本のBSMFレコードからリリースされています。日本ではあまり知名度はありませんでしたが、ゴスペル・ベースの実力のあるシンガーでどんな歌にもソウルを吹き込んだ歌手、フレディ・スコットでした。