2024.12.27 ON AIR

Thank You For Loving The Blues…2024

今年を振り返りながら・・・

ON AIR LIST
1.Anna Lee Blues/Robert Nighthawk
2.Cummins Prison Farm/Calvin Leavy
3.Bright Lights, Big City/Jimmy Reed
4.Mean Old World/T.Bone Walker

今年最後のON AIR。
辛いこととか嫌なこととか悲しいことの多い今年でした。戦争や紛争が今も続いていることや世界的な気候の変動と災害、日本やアメリカの選挙で垣間見られる利権や癒着そして権力への執着など人間の嫌な面を見ることが多かったような気がします。楽しかったのは大谷くんの活躍。ぼくの好きな大相撲でも大の里 や豊昇龍などが闘志あふれる取り組みを見せてくれたり、そしていよいよラグビーの季節がやってきました。ぼくもジャパンラグビーのリーグ戦を観戦にいくのですが楽しみにしています。
振り返ると今年は年が明けてすぐに能登半島の地震があり、なんか嫌な年の幕開けやなぁと思っていたところに1/28に小出斉くんが急逝した知らせがきました。少し体調を崩していると聞いていたのですが、ショックでした。ブルーズ・プレイヤー、そしてブルーズに関するライターとして長く活躍してきた小出くんですがぼくより7才年下でかってはぼくのブルー・ヘヴンというバンドで同じ釜のメシを食べた仲間です。その小出くんがバンドに参加してくれた頃、彼がよく歌ってたのがロバート・ナイトホークやジミー・ロジャースなどのダウンホーム・ブルーズでその辺のブルーズの面白さを最初に教えてくれたのは小出くんでした。
彼がよく歌っていた曲を。

1.Anna Lee Blues/Robert Nighthawk

小出くんが亡くなってブルーズ関係者が気落ちしているところに今度は5/30に日暮泰文さんが亡くなられました。この番組でも日暮さんの追悼番組をさせていただきました。日本のブルーズ・シーンを先頭に立って70年代から引率されてきた日暮さんの逝去は一つの時代が終わった感じさえします。
先々週ON AIRしたB.B.キングのコンピレーション・アルバムを手がけられたように日暮さんは最後まで精力的に自分のやるべき仕事をされた感じがします。ここ数年、執筆者としてもいろんなブルーズ関係の本を出版されて、どこか自分にとってブルーズとはなんだったのかという答えを探しているような感じがしていました。ぼくにとって日暮さんの思い出のブルーズは彼が立ち上げたP-Vineレコードが最初にリリースしたカルヴィン・リーヴィのこの衝撃的なブルーズです。

2.Cummins Prison Farm/Calvin Leavy

日暮さんと小出くんという日本のブルーズにとってはとても大切な二人がいなくなったのは計り知れない痛手です。これからも二人が書かれた本を何度も開いて読むことになると思います。改めてお二人のご冥福をお祈り致します。

今年もたくさんツアーをやり各地のライヴハウス、イベンターの皆さん、そして何より来てくださった皆さんに感謝します。ありがとうございました。特に9月から10月はツアー・ラッシュで10日間連続ツアーが二回あって、ツアーが終わってもしばらく身体が痛い状態が続きました。そういう長いツアーをやるのもあとどのくらいかなという年齢になってきました。僕は喉が強いので10日間くらい歌っても平気なんですが、身体は疲れが取れないままなのでキツくなってきました。まあ、あと少しツアー回れるうちに聞きにきてください。
それでツアーから車で戻ってきて夜中に東京の明かりが見えると別に東京に愛着はないのですが、やはり「ああ、やっと帰ってきた」と思います。次のブルーズは都会に憧れて出ていく彼女に歌った歌ですが、東京の明かりをみると時々この歌を思い出します。

3.Bright Lights, Big City/Jimmy Reed

日本のブルーズ・シーンはもう日本語で自分流に訳して歌うか、日本語のオリジナル・ブルーズと称する歌を歌う人たちが大半になり最初にカヴァーする人が少なくなりました。まあ、音楽の表現は自由なのでどんな風に歌っても自由なのですが、それにブルーズを感じるかどうか、その人たちにとって何がブルースなのかは気になるところです。亡くなられた日暮さんも小出くんもそのあたりは危惧していたと思います。後続の若い人たちに言ってあげたいこともありますが、説教みたいに捉えられるのは嫌なのでほとんど言いません。とにかく僕はあまり長いとは言えないだろう残りの時間を自分の思うブルーズを歌うだけです。
今年は先ごろON AIRした山岸潤史とのアコースティックなデュオアルバムを作ったこともあるのですが、最近は個人的にはダウンホームなブルーズに興味が向かっているのと同時に戦前の弾き語りブルーズをよく聞くようになってきました。昔から聴いてはいるんですがそういう古いブルーズの味わいがよりわかるようになってきた感じです。
今年最後のON AIR曲はT.ボーン・ウォーカーが1943年にヒットさせたブルーズの名曲
「一人で生きていくには辛い世の中だ。愛した女は他の男を愛している。辛い気持ちを知られたくないから笑って、悲しみから逃れるために酒を飲むんや。いつの日か俺も6フィート土の下の墓の中や。耐えられない奴隷になった気持ちや」
人生の深いところを端的な歌詞にして歌った素晴らしいブルーズです

4.Mean Old World/T.Bone Walker

今年もこの番組を聞いてくださってありがとうございます。バックアップしてくださっている青南商事さんにいつも感謝です。それからキー局のアップルウェーブ始めネット各局のスタッフの皆さん、そして何より聞いてくださっているみなさん、ありがとうございます。
もし、機会があればたくさんの方にこの番組のことを知らせてください。そして番組のHPに掲載している文章は僕が自ら書いたもので自分のブルーズに関する大きなアーカイヴスの一つです。この番組に自分がブルーズと生きてきたこと、ブルーズから得たことをこれからも発信していきます。でもまあ気楽に聞いてください。
では良いお年を。HeyHey The Blues Is Alright!