ホトケのレコード中古盤放浪記
その五
昔買えなかったアルバムを中古盤で見つけ買ったら見本盤(Not For Sale)だった
“エヴェレスト・ブルースの真髄シリーズ第二弾” ビッグ・ビル・ブルーンジー

ON AIR LIST
1.Baby Please Don’t Go/Big Bill Broonzy
2.In The Evening/Big Bill Broonzy
3.See See Rider/Big Bill Broonzy
4.Ridin’ On Down/Big Bill Broonzy
中古盤を探している時に昔リリースされていた日本盤のブルーズ・アルバムに出会うことがある。見覚えのある懐かしいジャケットだけど当時はその手のブルーズには興味がなかったか、欲しかったけれど金がなかったか・・・買わなかったアルバムです。ブルーズという音楽の情報が少なかった70年代初期はそういう日本盤に書かれているライナーノーツの情報がその後アルバムをゲットするのに役に立ちました。中村とうよう、日暮泰文、桜井ユタカ、福田一郎、鈴木啓志といった方々がよく日本盤ブルース・アルバムのライナーを書かれていた。時々間違った情報もあったし、その書き手の個人的な思いや嗜好が自分と合わないと思うこともあった。でも、それも自分なりにブルーズという音楽を受け入れていくための土台作りに役立ったといまになって思う。
それで今日は今年になって中古盤でゲットした1969年日本コロムビアがリリースした”エヴェレスト・ブルースの真髄シリーズ第二弾”ビッグ・ビル・ブルーンジーのアルバムを聴いてみます。50年前の日本のリリースです。ライナー解説は中村とうようさんが書いています。
まず一曲。よく知られているビッグ・ジョー・ウィリアムスの有名曲ですがこのビッグ・ビルもいい感じです。ブルーズ・スタンダードとなっているこの曲「ベイビー、行かないでくれ」
1.Baby Please Don’t Go/Big Bill Broonzy
お聞きの通りギターのリズムが抜群によくアコースティック・ギターの名手でもあるビッグ・ビルは1929年の初録音から30年代40年代と録音の途絶えなかったブルーズマンで、ヨーロッパへも50年代にいち早く演奏に行き人気がありました。このアルバムの何曲かは1956年にヨーロッパへ行った際のミラノでの録音ではないかと中村とうようさんは書かれている。
次の曲はビッグ・ビルが何度か録音しています。当時はこういう弾き語りの録音はスタジオではなく普通の部屋かホテルの一室に録音機材を持ち込んですることも多くて、このアルバムも普通の部屋に簡単な録音機材を持ち込んで行われたのではないかと思います。
次の曲は曲が始まる前にブルーンジーが咳をしている音が入ってます。咳が入ってる録音なんて滅多にないですが・・笑えます。歌は思いっきりブルーズです
「夕暮れになって太陽が沈む頃、愛する人がそばにいないなんて寂しくないか。昨日の夜、オレはひとりでずっと眠っていた。俺が本当に愛する女は他でところで寝ていた。ああ太陽は沈んでいく」
2.In The Evening/Big Bill Broonzy
とにかくリズムがいいのとどこか洗練されているんですよね。
次はビッグ・ビルのギターの上手さが前面に出たインストルメンタルの曲です。ギターが上手いので他のブルーズマンのバックを頼まれることも多くてサニーボーイ・ウィリアムスン1やリル・グリーンなどいろんなブルーズマンのバックで印象に残る録音をたくさん残してます。
3.See See Rider/Big Bill Broonzy
これだけ弾けたら楽しいやろなと思います。このギターの演奏だけで踊れます。下手なバンドやったらいらんよね。
このアルバムは日本コロムビアの「ブルースの真髄シリーズ」という企画のシリーズもので第一弾がライトニン・ホプキンス、二弾がこのビッグ・ビル、そのあとオーティス・スパン、ビッグ・ジョー・ウィリアムス、ジョン・リー・フッカーなど全部で10枚リリースされました。1969年から70年という日本のブルーズ黎明期に必ずしもベストな録音ではないにしろ解説付きで重要なブルーズマンがシリーズでリリースされていたことはブルーズを知り始めた私にはありがたいものでした。次は語りのような歌のような弾き語りならではの曲調ですが、ビッグ・ビルのグルーヴ感が素晴らしい余裕のギター・プレイが聞けます。
4.Ridin’ On Down/Big Bill Broonzy
ビッグ・ビル・ブルーンジーは50年代に後輩のマディ・ウォーターズたちが盛り上がったシカゴ・エレクトリック・ブルーズのブームつまり新しいブルーズの流れから外れてしまったわけですが、ヨーロッパではフォーク・ブルーズとして最初にブルーズの人気を高めた立派な人でした。
実はこのアルバム買って開けてみてわかったのですが、私がゲットしたこのアルバムは見本盤でレコードの真ん中のいわゆるレーベルが真っ白でいわゆる白盤というやつで「見本盤」とハンコが押してあります。輸入盤だと”Not For Sale”書いてあります。誰か見本盤としてレコード会社から受け取った人が売ってしまったのでしょう。本来見本盤とかサンプル盤と言われるものは売買しないものですが、珍しさや中には音がいいと言われるものもあって少し高い値段がつく場合もあります。
こういう見本盤を偶然買ってしまうと誰が売ったのかなぁと前の持ち主のことを思ったりします。
今日のホトケのレコード中古盤放浪記 その五 今日は1969年に日本コロムビアからリリースされたビッグ・ビル・ブルーンジーのアルバムを聴きました。