2016.01.08 ON AIR 追悼:Allen Toussaint vol.1

Walkin’ With Mr. Lee/Lee Allen

IT WILL STAND (THE SOUL OF NEW ORLEANS,VOL.2)

 

 

 

 

 

 

 

 

ON AIR TRACK LIST
1.Walkin’ With Mr. Lee/Lee Allen
2. Ooh-Poo-Pah-Doo/Jessie Hill
3.Mother In Low/Ernie K-Doe
4.Lipstick Traces (On A Cigarette)/Benny Spellman
5.Land Of 1000 Dances/Chris Kenner

使用アルバム
☆Walkin’ With Mr. Lee/Lee Allen(ACROBAT MUSIC AC-5132-2) 1曲目収録
☆IT WILL STAND(THE SOUL OF NEW ORLEANS,VOL.2) 2.3.4.5曲目収録

今回から三回に渡って、昨年11/10に急逝したシンガー、ピアニスト、プロデューサー、アレンジャー、ソングライターである偉大なアレン・トゥーサンを偲びたいと思います。ニューオリンズを音楽の基盤として活躍してきたアレン・トゥーサンはニューオリンズだけでなく、アメリカの黒人音楽~ポピュラー・ミュージックに大きな功績を遺しました。みなさんも彼が関わった曲をきっとどこかで一曲は聴いているはずです。
まずはトゥーサンの名前が知られ始めた最初の曲。彼がアレンジャーとして参加した1958年、サックス奏者のリー・アレンの大ヒット”Walkin’ with Mr. Lee”を聴いてみましょう。
サックス奏者、リー・アレンは超有名なファッツ・ドミノのバンドに長い間在籍し、録音にも参加してました。1980年にはブルーズの巨人ローウェル・フルソンと来日してそのファンキーなサックスを聴かせてくれました。その時の録音がライヴ・アルバム「ザ・ブルース・ショウ!ライヴ・アット・ピット・イン1980」として残っています。

いよいよトゥーサンがプロデューサー、アレンジャー、ソングライターとして頭角を現してくるのが1960年。ミニットレコードのプロデューサーとして初めて放ったヒット、R&Bチャートの5位まで上がったのがジェッシー・ヒルの”Ooh-Poo-Pah-Doo”。この曲の感想を関西弁でいうと「いなたい」です。「田舎臭いけどええなぁ」みたいな意味で、楽しい、面白い、つまりファンキーなんですね。Ooh-Poo-Pah-Dooという言葉自体もほとんど意味はなく、とりあえず「オレはすごいんやでぇ、かっこええやろ」と自慢してるような曲です。

次はポップチャート、R&Bチャート両方で1位を獲得した大ヒットアーニー・K・ドゥの”Mother In Low”
これはプロデュースだけでなくトゥーサンが曲も作ってます。タイトルのMother In Lowというのは義理の母/嫁さんのおかんのことです。
「オレにとって最悪の人間っていうのは嫁はんのおかんや。義理おかんにはいつも悩まされる。彼女さえいなかったら嫁さんとオレは幸せなんやけどなぁ」とまあ、アメリカにもおるんですねややこしい義理おかんが。

この頃からトゥーサンの作るR&Bがニューオリンズの音楽の代表のようになっていきます。ニューオリンズらしさを残しつつも新しく、斬新な曲やアレンジに海を渡ったビートルズのポール・マッカートニーなども注目し始めます。つまり「ニューオリンズにアレン・トゥーサンあり」と。次の曲はそのビートルズのリンゴ・スターがソロアルバム「バッド・ボーイ」でカバーしているのを僕はオリジナルより先に聴きました。
「君の可愛い茶色の瞳、ウェーブしている髪、家に帰りたくないよ、だって君はもう家にいないんだから。君にすごく惚れてるんだ、行かないでくれよ。タバコに残った口紅のあと・・いろんな想い出を僕はまだ引きずっている」まあ、未練タラタラの歌です。とても魅惑的な歌声のベニー・スペルマンが歌うLipstick Traces (On A Cigarette)

彼が携わる曲の作曲者のクレジットにナオミ・ネヴィルという女性の名前がよく出てくるんですが、最初はこれが誰なんだろうと思っていたら、実はアレン・トゥーサンのペン・ネームでした。この名前は彼のお母さんの旧姓です。
では、今日の最後の「イナタイ」ダンスナンバーです。「ダンス天国」というタイトルで知ってる方も多いと思いますが、ほとんどの方はウィルソン・ピケットのカバーで知っていると思います。今日は本家本元オリジナルのクリス・ケナーで”Land Of 1000 Dances”
よく親父ギャグで「アレン父さん」と言ってるんですが、本当にニューオリンズにとっては長い間音楽シーンのお父さんのような存在で音楽をつくり、いろんなミュージシャンをデビューしてきた大切な人でした。次回もアレン・トゥーサンが作ったまだまだあるヒット曲を聴きます。