祝50周年P-Vine Records! 第5回
入手困難だったオーティス・ラッシュの音源を日本盤でLP化したP-Vineレコード
Groaning’ The Blues/Otis Rush (P-Vine Special PLP-9012)

ON AIR LIST
1.I Can’t Quit You Baby/Otis Rush
2.Sit Down Baby/Otis Rush
3.Violent Love/Otis Rush
4.All Your Love/Otis Rush
5.Double Trouble/Otis Rush
日本が世界に誇るレコード・レーベルP-Vine レコードの創立50周年をお祝いするシリーズ「祝50周年P-Vine Records!」の第5回目です。
今回のタイトルが「入手困難だったオーティス・ラッシュの音源を日本盤でLP化したP-Vineレコード」
自分が70年代初めにブルーズにずっぽりハマってしまいレコード店巡りが常習化し始めた頃、いつも探していたのがコブラのラッシュだった。そのアルバムが素晴らしいと知ったのはどういう経緯だったかもうすっかり忘れてしまったが、レコード店を巡っているときはいつも心の中で「コブラのラッシュ、コブラのラッシュ」と呪文みたいに唱えていた。コブラというのはレーべル名でラッシュはもちろんオーティス・ラッシュ。アルバム・タイトルは”This One’s A Good ‘Un”でラッシュの写真の周りが赤い色で縁取りされているものだった。リリースしていたのはイギリスの「ブルー・ホライズン」というレーベルで、それが当時オーティス・ラッシュをまとめて聞ける唯一のアルバムだった。なかなか手に入れることができず、それをやっと手にいれたのは探し始めて2年後くらいだった。しかし残念なことに70年代終わり頃とあるブルーズ・バーに貸していたら盗まれてしまった。しかし、そのコブラ・レコードの音源をアウトテイクも含めて二枚のLPにしてP-Vineレコードが1980年にリリースした。嬉しかったなぁ。自分だけでなく多くのブルース・ファンが喜んだアルバムでした。今日はそのコブラ音源、1980年P-Vineレコードリリース”Groanin’ The Blues”を聞きましょう。
まずはオーティス・ラッシュの代表的な曲から。
1956年立ち上がったシカゴのインディーズ・レーベル「コブラ・レコード」が初リリースしたシングル。ビルボード・R&Bチャートのなんと6位まで上がったヒット。自分の家庭まで壊してしまった不倫をしてそれでもその不倫相手と別れられないと苦しい胸中を歌った曲。
1.I Can’t Quit You Baby/Otis Rush
まあ、「自分で不倫しといて何が胸が苦しいやねん」とツッコミたくなる方も多いでしょうが、これがまた人間の性というやつで。
この曲はロックのレッド・ツェッペリンのデビュー・アルバムに収録された他カバーがたくさんあります。曲を作ったのはシカゴ・ブルーズのベーシストでありソングライターでありプロデューサーでもあるウィリー・ディクソン。
ラッシュの魅力というのはふくらみと翳りのある歌声とシャープなギター。日本で人気があった原因はラッシュのブルーズにそういう翳りあったからだと思います。暗い感じがして嫌いという人もいますが、70年代前半日本のブルーズ・ファンのラッシュへの期待は大きかったです。しかし、リアル・タイムのブルーズマンとしては決定打の曲がなくていつも引き合いに出されるのが50年代のこのコブラの音源でした。
次はリズムの歯切れのいいダンス・ナンバー。
2.Sit Down Baby/Otis Rush
サビがついてホーンが入ってサウンドもしっかり構築され、ビートはステディなシャッフルビート・・1956年時点のモダンさを感じさせるシカゴ・ブルーズだったと思います。
次の曲では更にそのモダン化をポップに推し進めた曲。プロデュースのウィリー・ディクソンが進めました。それはラッシュがよりポップな曲も歌える歌唱力のある歌手だとわかったからだろうと思います。ブルース・ファンの中にはギター・ソロもないし、曲もポップなこの曲を嫌いな人もいるのですが、僕は結構好きです。もし、このタイプの曲でヒットが出ていればラッシュは違う道を歩んでいったかも知れません。
3.Violent Love/Otis Rush
次はエリック・クラプトンが若き日、ジョン・メイオール・ブルーズブレイカーズ時代にカバーし有名になった曲で私も高校生の頃にそれを聞いて衝撃を受けたのですが、ラッシュのこのオリジナルを聞いて更に衝撃を受けました。1958年録音。
4.All Your Love/Otis Rush
途中でリズムがシャッフルに変わりマイナーからメジャーに行く、そこを尽かさず切り込んでいくギター・ソロの素晴らしさ。歌もいいしほぼ完璧に出来上がったブルーズだと思います。
このコブラ・レコードでのレコーディング・セッションは1956年から58年の2年間にリリースしたシングル。メンバーはべースとプロデュースのウィリー・ディクソン、ドラムはアル・ダンカンとオディ・ペインのどちらか、ギターにはアイク・ターナー、ピアノはリトル・ブラザー・モンゴメリーと当時のシカゴ・ブルーズの精鋭たちが集まってます。
シカゴと言えばチェス・レコードが最も有名なレーベルでしたが、チェスはマディ・ウォーターズ始めハウリン・ウルフ、サニーボーイ・ウィリアムスンなどすでに売れているブルーズマンで堅実なビジネスをするだけ、若手のブルーズマンたちの売り出しに積極的ではなかったようです。それに反発したウィリー・ディクソンがこういう小さなレーベルで若手のブーズマンの録音を始めたわけです。
次はラッシュ自身が作ったブルーズ。「恋もうまくいかず、夜も眠れない。仕事もない。みんなは頑張ればできるというけど、そして金持ちになっている奴らもいるけど俺には着ていく服さえないんだ」
トレモロを入れたギター・サウンドで印象に残るオブリガードを弾いているのはアイク・ターナー
5.Double Trouble/Otis Rush
まさにブルーズです。歌がいかにもオーティス・ラッシュらしいです。
今日は1980年に日本のP-VineレコードがLPレコードでリリースした”Groanin’ The Blues”を聴いてもらいましたが、現在はCDでも”I Can’t Quit You Baby”というアルバム・タイトルでリリースされています。