2025.09.05 ON AIR

祝50周年P-Vine Records! 第10回

35年という短い人生だったがメンフィスの人たちを楽しませたワンマン・バンド・ブルーズマン、ジョー・ヒル・ルイス

The Be-Bop Boy/Joe Hill Louis

ON AIR LIST
1.Boogie In The Park/Joe Hill Louis
2.Tiger Man/Joe Hill Louis
3.Hydramatic Woman/Joe Hill Louis
4.We All Gotta Go Somtime/Joe Hill Louis
5.I’m A Poor Man/Joe Hill Louis

シリーズでON AIRしている世界に誇る日本のP-Vineレコード設立50周年記念お祝いシリーズ
今回は10回目。
1986年にP-Vine からリリースされて嬉しかったアルバム。ジョー・ヒル・ルイスの”The Be-Bop Boy”。これは亡き小出斉くんがコンピレーションしたもので音源は1950年から53年の間にジョー・ヒル・ルイスがメンフィスの有名なサン・レコードに録音したもの。サン・レコードはエルヴィス・プレスリーが最初に録音したレコード会社として有名ですが、ブルーズのハウリン・ウルフ、ジェイムズ・コットン、ジュニア・パーカー、リトル・ミルトンなど黒人ブルーズマンの録音をたくさん残した会社でもあります。
ジョー・ヒル・ルイスはいわゆる「ワンマン・バンド」で演奏していたブルーズマンですが、ワンマン・バンドとは一人でギター弾いて、ハーモニカを吹いて、バスドラムとハイハットを踏んで歌を歌うという曲芸みたいなスタイルで演奏した人ですが、これが実はすごい人気になりました。普通の弾き語りのブルーズマンは歌とギターですが、そこにハーモニカでアンサンブルに彩りを加え、さらにビートを強くするためにドラムのバスドラとハイハットを両足で踏むというスタイルを考え出しました。ジョー・ヒル・ルイスは、メンフィスのハンディ・パークといういろんなブルーズマンが演奏している公園でよく演奏していたようでそれでより目立つようにそしてみんなが踊りやすいように考えたのでしょう。そんな中彼の代表曲のひとつ「公園でブギ」なんていう曲が生まれたのかもしれません。
「オレのベイビーを見つけて公園でブギ。公園でブギや。ずっとブギや。日が暮れるまでブギしたい。昔、オレとベイビーは喧嘩ばかりやったけど今は仲良くやってる。太陽の下で二人でブギや」

1.Boogie In The Park/Joe Hill Louis

彼はB.B.キングもDJをやっていたWDIAというラジオ局でDJをやっていたことがあり、その時のニックネームがこのアルバムのタイトルにもなっているThe Be-Bop Boyでした。アルバム・ジャケットとかいろいろ彼の写真を見るといつもニコニコしていてファンキーな感じの人ですが、実際B.B.キングや昔メンフィスにいたミュージシャンの思い出話になると必ずこのジョー・ヒル・ルイスの名前が楽しい思い出として出てきます。
次の曲はエルヴィス・プレスリーがカバーしているので驚きました。エルヴィスもジョー・ヒル・ルイスが活動していたメンフィスの出身ですし、最初にレコードは同じサン・レコードからリリースされてますからね。ひよっとしたらエルヴィスもハンディ・パークでジョー・ヒル・ルイスを見たかもしれません。「俺はジャングルのキング、タイガー。みんなはタイガーマンって呼ぶんや。もし、俺の道を横切ったらお前はお前の命はその手に中にある」まあ、俺の道を横切ったらどうなっても知らないぞということでしょう。

2.Tiger Man/Joe Hill Louis

次の曲を聴いていたら何かに似てるなぁと思ったんですが、アイク・ターナーの大ヒットRocket88に似てます。ライナーで小出くんもそれを指摘してますがこの曲の別名が「オートマティック・ウーマン」というそうで、めっちゃキレイなイケてる女性を高性能の車に見立てた曲です。これはバンド・スタイルでめちゃ印象に残るハーモニカはウォルター・ホートンです。ホートンのハーモニカはじめ全体のリズムが良くて歌詞も含めてノリノリのダンス・ナンバーです。

3.Hydramatic Woman/Joe Hill Louis

次の曲はマディ・ウォーターズのFeel So Goodにメロディと曲の構成が似てますが、どっちが先かはちょっとわかりません。ジョー・ヒル・ルイスは売れてからピアノとドラムをつけるようになって録音してますが、ひとりでやっている時と基本的にあまり変わりません。南部のビートがサザン・ビートと呼ばれていたのですが、それが彼の体の中に入っているのでギターもハーモニカも南部のダウンホーム感と荒々しさを持ってます。

4.We All Gotta Go Somtime/Joe Hill Louis

1950年くらいから57年に破傷風で亡くなるまでの7,8年の短い活動期間でしたが、ジョー・ヒル・ルイスはメンフィスの人たちに愛されたブルーズマンでした。今調べて見たらエルヴィス・プレスリーはジョー・ヒル・ルイスがメンフィスの黒人街で人気になった頃にデビューしてますから、おそらく会ったことはあったのでしょう。エルヴィスはブルーズが大好きでしたから。そうやって遠い昔に想いを馳せるとなんか音楽はロマンティックでいいですね。
次の曲はこれまたメンフィスで同時期に人気だったハウリン・ウルフかと思うほど曲調も歌も演奏も似ている曲。わざと真似したような気がします。小出くんのライナーによるとジョー・ヒル・ルイスはメンフィスのWDIAというラジオ曲で番組を持っていて、片やウルフしはKWEMで番組を持っていて二人は張り合っていたそうです。なのでウルフとよく似た曲を録音してウルフを刺激したのかもしれません。
歌の内容が「俺は貧しくて行くところもない。寂しさと厄介ごとばかり、お袋はいないし親父は俺を捨てやがった。行くところがないんだ」

5.I’m A Poor Man/Joe Hill Louis

明るくファンキーなジョー・ヒル・ルイスですが本音は今の歌なのかもしれません。
今日のP-Vineレコードの50周年を祝うシリーズの第10回目は1986年に亡き小出斉くんがコンピレーションしたジョー・ヒル・ルイスのアルバム”The Be Bop Boy”をききました。ブルーズの源流のひとつがわかるいいアルバムで、なんか嫌なことを吹き飛ばすような勢いがあって元気出ます。アルバム・ジャケットも最高です。ぜひ、ホームページでみてください。