LP中古盤放浪記その11
リトル・ミルトンの名作を中古カット盤でゲット!
If Walls Could Talk/Little Milton

ON AIR LIST
1.If Walls Could Talk/Little Milton
2.Baby I Love You/Little Milton
3.Poor Man/Little Milton
4.Blues Get Off My Shoulder/Little Milton
5.I Play Dirty/Little Milton
ちょっと久しぶりのLP中古盤放浪記でその11
私が中古盤でゲットしたこのアルバムは「カット盤」と呼ばれているもので、アルバム・ジャケットの左上にナイフが何かで入れた切り込みが入っています。こういうジャケットに切り込みやパンチホールと呼ばれる小さな穴、またはジャケットの端がカットされているものが中古盤にあり一般的に「カット盤」と呼ばれています。流通の問屋などが売れなくなったアルバムにわざとキズを入れて安い中古盤として再販する方法ですが、中身の音には何も関係ないし安いので私は平気で買います。
さて、今日の中古盤はブルーズ&ソウル・シンガーのリトル・ミルトンのチェス・レコードから1970年にリリースされたものです。1970年という時代の黒人音楽はニューソウルと呼ばれる音楽が流行り始めた頃でロバータ・フラックやダニー・ハサウェイ、マーヴィン・ゲイやスティーヴィー・ワンダーが第一線に踊り出てくる時代でした。ブルーズは・・・というと50年代から60年代に隆盛を誇ったシカゴ・ブルーズも、メンフィスそしてテキサス、ミシシッピーのブルーズも勢いが全体的に落ちてしまった頃です。そんな中でブルーズもソウルも歌うブルーズ&ソウル・シンガーのリトル・ミルトンは過去のブルーズマンとしてではなく現在形のミュージシャンとして生き残って行きました。
まず、アルバム・タイトル曲を。”If Walls Could Talk” そのまま訳すと「もし壁が喋ることができたら」ですが、もし、部屋の壁が喋ることができたら泣きたくなるようなことがいっぱい聞こえてしまうんだろうな」という歌詞で始まります。つまり部屋の中で不倫していたり、秘密にしていることを部屋の壁が喋ったらめちゃヤバいことがまずいことがたくさんある。だから壁が喋れなくてよかっただろうと言ってる歌です。
1.If Walls Could Talk/Little Milton
ブルーズに昔からあるダンサブルなリズム・パターンを使った曲ですが、サウンドが1970年なので当時の新しい感じが入ってます。
次の曲は60年代に素晴らしい曲を残したシンガー&ソングライターのジミー・ホリデーが作った私の好きなR&Bのいい曲です。
2.Baby I Love You/Little Milton
こういう曲を歌うとブルーズを期待している人たちは「こんなの歌うの?」ってなるんですが、ブルーズもR&Bもソウルもファンクも同じ黒人音楽で黒人の人たちは同じように聞いているし、ラジオの黒人ステーションからは同じように流れてくるわけです。まあ、今はヒップホッブとかラップしか聞かない若い黒人の人たちもいるでしょうが・・・
リトル・ミルトンは確かにブルーズから始まっているのですが、時代はブルーズからR&Bと呼ばれたものがすでにソウル・ミュージックに移り変わった時代なので当然ソウルの影響は受けるわけです。そして、リトル・ミルトンにはそれを歌える十分な資質があったということです。例えばライトニン・ホプキンズに今みたいな歌を歌えと言っても無理ですが。
次のファンク・テイストのブルーズなんかめちゃカッコいいです。特にベース。1970年のブルーズ&ソウルはこういうビートという典型みたいな曲です。こういう時代の流れに乗って行けた音楽的な力量があったわけです。歌の力は素晴らしいです。
3.Poor Man/Little Milton
リトル・ミルトンは若い頃メンフィスで活動を始めているのですが、その頃最も影響を受けたのが名ブルーズ・シンガーのボビー・ブランドです。時々、歌を聴いていると「ブランドか」と思うことがあるほどです。次の曲もそのボビー・ブランドからの影響を感じます。
現在第一線級のブルーズマンとなったロバート・クレイも録音している曲でオリジナルはボビー・パーカー。そういえばロバート・クレイもボビー・ブランド好きです。
「心がどんどん冷たくなっていく。ブルーズに触れることで心が重くもなっていく。ブルーズよ、俺の肩から降りてくれないか」リトル・ミルトンのディープなブルーズ表現が聴ける見事な歌唱です。
4.Blues Get Off My Shoulder/Little Milton
やっぱりボビー・ブランドの影響を感じますね。リトル・ミルトンはギターも弾きますが、ギターは少し先輩のB.B.キングの影響を受けたギタースタイルです。このアルバムは50年代からブルーズの大きなレコード会社であったチェス・レコードの系列レーベルのチェッカーから1970年にリリースされたものですが、その頃もうチェス・レコード自体が経営状態がよくなくて傾いていたのであまり強いプロモーションもされなかったのでは・・と思います。この”If Walls Could Talk”はチェスでの4枚目のアルバムでこれを最後にミルトンはスタックス・レコードに移籍します。そこではもっと明確なブルーズ&ソウルの路線になりいい時代を迎えます。
ではもう一曲
5.Your Precious Love/Little Milton
最初に言いましたが中古盤でジャケットに切り込みや小さな穴が開いているレコードは「カット盤」と呼ばれて、まあキズもの扱いで安いのですが、中身のレコード本体には関係なく全く同じですからオススメです。とにかく安い!
リトル・ミルトンは2004年に亡くなってしまったのですが、一度だけ1983年に来日してくれました。ぼくは渋谷のライヴインというライヴハウスで聞きましたが、もう圧巻の堂々たるステージでブルーズ&ソウルの真骨頂を聞かせてくれました。
またいい中古アルバムをゲットしたら紹介します。