2016.11.18 ON AIR

60年代イギリスに上陸した黒人ブルーズマンとイギリスのミュージシャンたち

Sonnyboy Williamson & The Yardbirds (Century 29ED6023)

Sonnyboy Williamson & The Yardbirds (Century 29ED6023)

The Best Of Yardbirdsd(TEICHIKU TECX-20702)

The Best Of Yardbirdsd(TEICHIKU TECX-20702)

ON AIR LIST
1.Mr. Downchild/The Yardbirds & Sonny Boy Williamson
2.Out On The Water Coast/The Yardbirds & Sonny Boy Williamson
3.I Ain’t Got You/The Yardbirds
4.I Wish You Would/The Yardbirds
5.Stroll On/The Yardbirds

前回1962年にT.ボーン・ウォーカー、ジョン・リー・フッカーなどが初めてヨーロッパにツアーした時にドイツのハンブルグで 録音した「アメリカン・フォーク・ブルーズフェスティバル」を聴きました。彼らはヨーロッパの人たちに暖かく迎えられ、自国のアメリカより人種の差別がないことに喜び後にヨーロッパに移住する者も出てくる。
イギリスでは彼らの公演がきっかけのひとつとなってブルーズが盛んになり、ローリング・ストーンズ、アニマルズなどブルーズを演奏するバンドが増えていった。
そして翌年1963年にはメンフィス・スリム、オーティス・スパン、マディ・ウォーターズ、ソニー・ボーイ・ウリアムソン、ウィリー・ディクソン、ビッグ・ジョー・ウィリアムスらがヨーロッパツアー。その時サニーボーイ・ウィリアムスンと当時イギリスで人気が出てきていたヤードバーズがセッションをしました。その時のライヴ盤から聴いてみようと思います。ヤードバーズはまだデビュー前です。
アルバムのタイトルは「The Yardbirds with Sonny Boy Williamson」
1.Mr. Downchild/The Yardbirds with Sonny Boy Williamson
ヤード・バーズはイギリスの有名な3人のギタリスト、エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジが在籍したバンドとして有名ですが。いま聴いてもらったのは、エリック・クラプトン。もうひとりギターがいるんですが、これは初期のメンバーのクリス・ドレアでしょうか。アルバムにクレジットがないのでわかりませんが。
クラプトンはこのアルバムではほとんどソロもなくサニーボーイのバックに徹していますが、サニーボーイと一緒に演奏したこういう経験はクラプトンにとってすごく刺激になったと思います。
ヤードバーズは確かに歴代エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジと素晴らしいギタリストがいましたが、バンドの方向性がはっきりしなくて、ブルーズもオリジナルのテイストを失くしてしまうようなアレンジだったり、オリジナルも変にポップだったり・・と、まあクラプトンが脱退したのも”For Your Love”という曲があまりにポップでやめることになったわけですが・・。

ストーンズ、アニマルズ、ゼム、スペンサー・デイヴィス・グループなど60年代初中期にはイギリスに黒人音楽に影響を受けたバンドがたくさんいましたが、僕はヤードバーズはそれほど好きになれなかった。それはヴォーカルのキーフ・レリフの歌声があまり好きやなかったんですね。やはり僕は無意識にその頃からヴォーカルがそのバンドを好きになるかどうかの決め手になってたんですね。
サニーボーイはイギリスで若いミュージシャンやお客さんに暖かく迎えられて本当に嬉しかったようで、イギリスに住みたいと心から思っていたようです。
もう一曲サニーボーイとヤードバーズ
2.Out On The Water Coast/The Yardbirds with Sonny Boy Williamson
次はジミー・リードとビリーボーイ・アーノルドのカバーですが、これが1964年ヤードバーズのデビュー曲ですから最初はしっかりブルーズを志向してたんですよね。選曲もロックしているブルーズを選んだセンスはすごくいいですし、クラプトンのギターもいいです。
3.I Ain’t Got You/The Yardbirds
クラプトンはヤードバーズを脱退してからジョン・メイオール・ブルーズブレイカーズに入って素晴らしいブルーズ・ギターを録音に残して、そのあとクリーム、ブラインド・フェイス、デラニー&ボニーそしてデレク&ドミノスと移っていくのですが、やはりブルーズに根ざしたアメリカの南部の音楽に惹かれていったのがわかります。
次もビリーボーイ・アーノルドの曲です。
4.I Wish You Would/The Yardbirds

次のはご存知の方はシーナ&ロケッツの「レモンティー」の元曲ですね。ヤードバーズには別名で”Train Kept a Rollin”で録音もされているんですが・・・元々は50年代のロカビリーバンドのジョニーバーネットトリオというのががヒットさせた曲です。
ジミー・ペイジとジェフ・ベックがツインギターでいた時の曲でギターが前面に出てきていて、当時の最新のロックという感じがします。
5.Stroll On/The Yardbirds

63年12月にCraw Daddy Club で800人の聴衆を集めて録音したのがこのライヴ盤。イギリスでブルーズが燃え盛っていくその最初の頃の録音。エリック・クラプトン18才です。音はあまりよくないんですが、みんながブルーズに夢中になっているイギリスのいい時代ですね。このあとアメリカの黒人ブルーズマンたちがどんどんイギリス、ヨーロッパに行くようになってそれがさらに拍車をかけ、素晴らしいブリティッシュロックが生まれる土壌になりました。
今日はヤードバーズとサニーボーイのライヴ盤そしてヤードバーズを聴きました。また、ブリティッシュ・ブルーズの特集もやりたいと思ってます。では。