2024.12.27 ON AIR

Thank You For Loving The Blues…2024

今年を振り返りながら・・・

ON AIR LIST
1.Anna Lee Blues/Robert Nighthawk
2.Cummins Prison Farm/Calvin Leavy
3.Bright Lights, Big City/Jimmy Reed
4.Mean Old World/T.Bone Walker

今年最後のON AIR。
辛いこととか嫌なこととか悲しいことの多い今年でした。戦争や紛争が今も続いていることや世界的な気候の変動と災害、日本やアメリカの選挙で垣間見られる利権や癒着そして権力への執着など人間の嫌な面を見ることが多かったような気がします。楽しかったのは大谷くんの活躍。ぼくの好きな大相撲でも大の里 や豊昇龍などが闘志あふれる取り組みを見せてくれたり、そしていよいよラグビーの季節がやってきました。ぼくもジャパンラグビーのリーグ戦を観戦にいくのですが楽しみにしています。
振り返ると今年は年が明けてすぐに能登半島の地震があり、なんか嫌な年の幕開けやなぁと思っていたところに1/28に小出斉くんが急逝した知らせがきました。少し体調を崩していると聞いていたのですが、ショックでした。ブルーズ・プレイヤー、そしてブルーズに関するライターとして長く活躍してきた小出くんですがぼくより7才年下でかってはぼくのブルー・ヘヴンというバンドで同じ釜のメシを食べた仲間です。その小出くんがバンドに参加してくれた頃、彼がよく歌ってたのがロバート・ナイトホークやジミー・ロジャースなどのダウンホーム・ブルーズでその辺のブルーズの面白さを最初に教えてくれたのは小出くんでした。
彼がよく歌っていた曲を。

1.Anna Lee Blues/Robert Nighthawk

小出くんが亡くなってブルーズ関係者が気落ちしているところに今度は5/30に日暮泰文さんが亡くなられました。この番組でも日暮さんの追悼番組をさせていただきました。日本のブルーズ・シーンを先頭に立って70年代から引率されてきた日暮さんの逝去は一つの時代が終わった感じさえします。
先々週ON AIRしたB.B.キングのコンピレーション・アルバムを手がけられたように日暮さんは最後まで精力的に自分のやるべき仕事をされた感じがします。ここ数年、執筆者としてもいろんなブルーズ関係の本を出版されて、どこか自分にとってブルーズとはなんだったのかという答えを探しているような感じがしていました。ぼくにとって日暮さんの思い出のブルーズは彼が立ち上げたP-Vineレコードが最初にリリースしたカルヴィン・リーヴィのこの衝撃的なブルーズです。

2.Cummins Prison Farm/Calvin Leavy

日暮さんと小出くんという日本のブルーズにとってはとても大切な二人がいなくなったのは計り知れない痛手です。これからも二人が書かれた本を何度も開いて読むことになると思います。改めてお二人のご冥福をお祈り致します。

今年もたくさんツアーをやり各地のライヴハウス、イベンターの皆さん、そして何より来てくださった皆さんに感謝します。ありがとうございました。特に9月から10月はツアー・ラッシュで10日間連続ツアーが二回あって、ツアーが終わってもしばらく身体が痛い状態が続きました。そういう長いツアーをやるのもあとどのくらいかなという年齢になってきました。僕は喉が強いので10日間くらい歌っても平気なんですが、身体は疲れが取れないままなのでキツくなってきました。まあ、あと少しツアー回れるうちに聞きにきてください。
それでツアーから車で戻ってきて夜中に東京の明かりが見えると別に東京に愛着はないのですが、やはり「ああ、やっと帰ってきた」と思います。次のブルーズは都会に憧れて出ていく彼女に歌った歌ですが、東京の明かりをみると時々この歌を思い出します。

3.Bright Lights, Big City/Jimmy Reed

日本のブルーズ・シーンはもう日本語で自分流に訳して歌うか、日本語のオリジナル・ブルーズと称する歌を歌う人たちが大半になり最初にカヴァーする人が少なくなりました。まあ、音楽の表現は自由なのでどんな風に歌っても自由なのですが、それにブルーズを感じるかどうか、その人たちにとって何がブルースなのかは気になるところです。亡くなられた日暮さんも小出くんもそのあたりは危惧していたと思います。後続の若い人たちに言ってあげたいこともありますが、説教みたいに捉えられるのは嫌なのでほとんど言いません。とにかく僕はあまり長いとは言えないだろう残りの時間を自分の思うブルーズを歌うだけです。
今年は先ごろON AIRした山岸潤史とのアコースティックなデュオアルバムを作ったこともあるのですが、最近は個人的にはダウンホームなブルーズに興味が向かっているのと同時に戦前の弾き語りブルーズをよく聞くようになってきました。昔から聴いてはいるんですがそういう古いブルーズの味わいがよりわかるようになってきた感じです。
今年最後のON AIR曲はT.ボーン・ウォーカーが1943年にヒットさせたブルーズの名曲
「一人で生きていくには辛い世の中だ。愛した女は他の男を愛している。辛い気持ちを知られたくないから笑って、悲しみから逃れるために酒を飲むんや。いつの日か俺も6フィート土の下の墓の中や。耐えられない奴隷になった気持ちや」
人生の深いところを端的な歌詞にして歌った素晴らしいブルーズです

4.Mean Old World/T.Bone Walker

今年もこの番組を聞いてくださってありがとうございます。バックアップしてくださっている青南商事さんにいつも感謝です。それからキー局のアップルウェーブ始めネット各局のスタッフの皆さん、そして何より聞いてくださっているみなさん、ありがとうございます。
もし、機会があればたくさんの方にこの番組のことを知らせてください。そして番組のHPに掲載している文章は僕が自ら書いたもので自分のブルーズに関する大きなアーカイヴスの一つです。この番組に自分がブルーズと生きてきたこと、ブルーズから得たことをこれからも発信していきます。でもまあ気楽に聞いてください。
では良いお年を。HeyHey The Blues Is Alright!

 

2024.12.20 ON AIR

クリスマス・ソングで大ヒット曲を2曲持つブルーズマン、チャールズ・ブラウンのクリスマス・アルバム

Sings Christmas Songs/Charles Brown

ON AIR LIST
1.Please Come Home For Christmas/Charles Brown
2.Merry Christmas Baby/Charles Brown
3.Christmas Blues/Charles Brown
4.Christmas In Heaven /Charles Brown

今年もクリスマスの季節になりました。この時期はウキウキする人もいるでしょうし、年末の忙しさでそんな暇もないという人も多いでしょうが、私は小さい頃からこのクリスマス・シーズンや年末は寂しい季節という印象です。子供の頃に私の家ではクリスマスやからと言ってプレゼントや特別なこともなく、ケーキを兄と分け合って食べていたくらいです。大人になってからも女性とロマンティックなクリスマスを過ごした記憶もなく、ライヴをたくさんやっていた思い出くらいです。
でもクリスマス・ソングは好きでいまもいろんなミュージシャンのクリスマス・アルバムを見つけると買ってコレクションしています。それで毎年この番組ではこの季節になるといろんなミュージシャンのクリスマス・ソングの特集をON AIRしているのですが、今年はとうとうブルーズのクリスマス・ソングの代表、チャールズ・ブラウンのクリスマス・ソング・アルバムをLPレコードでゲットしましたので今日はまるまるCharles Brown Sings Christmas Songsです。
なんとなくこのアルバムをいつも探していたので中古レコード店で見つけたときはかなり嬉しかったです。
このアルバムは1961年にリリースされているのですが、恐らくアルバム制作へのきっかけとなったのが、その前年60年に”Please Come Home For Christmas”がヒットしたからだと思います。しかもチャールズ・ブラウンには47年に”Merry Christmas Baby”というブルーズの枠を越えたクリスマスソングの大ヒットもあり「この際クリスマス・アルバムを作ってみようや。売れるんちゃうか」ということになったのでしょう・・・知らんけど。
ブルーズ界でクリスマスの大ヒット曲を持っている人はこのチャールズ・ブラウンぐらいで、しかも2曲もです。
まずはその久々のヒットとなったこの曲”Please Come Home For Christmas”(クリスマスには家に帰ってきてくれ)です。
「鐘の音が鳴り響いて喜びを告げるクリスマスやのになんでこんなブルーズやねん。クリスマスのお祝いをしてくれる彼女はおらんし友達もおらん。聖歌隊がサイレント・ナイトを歌い、キャンドルライトのそばにクリスマス・キャロル。クリスマスには帰ってきてくれへんか。もしそれが無理やったら新年の夜あたりにでも」と懇願してます。1960年リリース 。

1.Please Come Home For Christmas/Charles Brown

まあ私のような古い日本人はクリスマスソングが好きでも別にパーティやろやなんちゅうことにはなりません。昔、バブルの頃に若い男どもが一年も前から高いホテルを彼女のためにクリスマスに予約して・・いう話がよくありましたが、あんなんまだやってるヤツおるんでしょうか。そもそもクリスマスってキリストが生まれたのをお祝いするキリスト教の宗教行事ですからね。そんな聖なる夜に高いホテルで性なることをするってどうやねんいう話です。年寄りの愚痴みたいに聞こえるでしょうけどね。
ではチャールズ・ブラウンのもう一曲のクリスマス、大ヒットソング
「メリークリスマス、ベイビー、クリスマスの日に彼女はよくしてくれるねん。ダイヤモンドくれるし俺は天国にいる気分や。ラジオからもええ音楽が流れてくるしええ気分や。ヤドリギの木の下に立ってる間にお前とキスしたいなぁ。夜中の3時に煙突からサンタさんがやってきた見たこともない素敵なプレゼントを置いていってくれる。メリークリスマス。今朝はまだ酒飲んでないからクリスマスツリーのようにしっかり立ってるで」

2.Merry Christmas Baby/Charles Brown

「今朝はまだ酒飲んでないからクリスマスツリーのようにしっかり立ってるで」っていうところがブルーズ。ということはこいつはいつも朝から酒飲んでるのか・・・と。いいですね、この歌詞。
いま思い出したんですが、年末のカウントダウン・コンサートいうのもまだやってるんでしょうか。私も毎年のようにカウントダウン・コンサートに呼ばれてでていたんですが、あれ本当にイヤでした。特に年が変わる前からみんなで10,9,8,7・・ってカウントするやないですか、あれがね何が嬉しいのか楽しいのかわからないんです。アメリカみたいに隣にいる女の子にキスできるわけでもなく、みんなで秒読みするのがなんか子供っぽくて「しょーもな」と思ってました。
曲に戻りましょか。次の曲はチャールズ・ブラウンのピアノ始め参加メンバーがいかに腕の立つミュージシャンだったかよくわかる曲です。いわゆるジャズ系のミュージシャンたちですが、バックの演奏も聴いてください。

3.Christmas Blues/Charles Brown

メンバー全員が腕の立つミュージシャンです。
少しチャールズ・ブラウンの話をしますと、”Please Come Home For Christmas”と”Merry Christmas Baby”というクリスマス・ブルーズが有名なんですが、実は”Driftin’ Blues”が46年R&Bチャート2位、51年にはR&Bチャート1位になった”Black Night”というブルーズ史上に残る名作を作ったピアニスト&シンガーでブルーズ界のナット・キング・コールとも呼ばれる人です。聞いてもらっているように柔らかい歌い口でソフトなムードでありながら都会の孤独を歌ったブルーズがウエストコーストの都会に住む黒人たちにウケました。
かのレイ・チャールズはチャールズ・ブラウンのコピーからデビューしたようにピアノ・ブルーズマンの多くがチャールズ・ブラウンに憧れました。クリスマス・ソングのヒットで売れただけのポッと出のミュージシャンとは違います。

ブルースのクリスマス・ソングというのはたくさんあるんですが、やっぱり多いのはクリスマスの日に彼女がいないとか、クリスマスには戻ってきてくれよとかいう情けない内容です。次の曲はB.B.Kingのバージョンで何回かON AIRしましたが、今日はチャールズ・ブラウンで。
「君とここに一緒にいて天国にいるようなクリスマスだよ。もし、君がいなくなったら僕はどうしたらいいかわからない。クリスマスに天国にいる、君といると1年中クリスマスだよ。君がキスしてくれて、天使たちが聖夜の間歌いつづけてくれるのを聴く。雪が降って来て、やどり木があってもういい感じだね。君とここに一緒にいて天国にいるようなクリスマスだよ」

4.Christmas In Heaven /Charles Brown

ブルーズマンとして60年代にクリスマス・アルバムをリリースしたのはチャールズ・ブラウンくらいだと思います。B.B.キングは90年代になってからクリスマス・アルバムを初めてリリースしたとき「クリスマス・アルバムのリリースは私の念願だった」と書いていました。そこには私たち日本人にはわからない深い思いがあるのだと思います。

2024.12.13 ON AIR

故日暮泰文氏が生前最後にB.B.キングへの想いを込めたコンピレーション盤

Great Blues Works And Hits/B.B.King

ON AIR LIST
1.Sweet Sixteen (Parts 1 & 2)/B.B.King
2.On My Word Of Honor/B.B.King
3.Shotgun Blues (Original Version)/B.B.King
4.Boogie Rock/B.B.King

今年の6月に”Great Blues Works And Hits/B.B.King”というアナログLPレコードがP-Vineレコードからリリースされた。今日聴くのはそのアルバムのCD版。
このアルバムは日本におけるブルーズシーンを70年代から引率し、ブルース関連の書籍の出版と多くの著作、CDやレコードによる音源や映像のリリースまた黒人ブルーズマンの日本への招聘など多岐にわたって日本にブルーズを広めた日暮泰文さんの最後の仕事となった。五月に亡くなられた日暮さんはブルーズの中でもB.B.キングについて格別の思いと愛着があったのではないかと前々から感じていた。それはB.B.のアルバムをリリースするということだけでなく日暮さんが書かれる文章の中にB.B.への熱い思いがあることを感じたことがあるからだ。

1曲目は日暮さんがどうしてもPart.1と2両方を収録したいと譲らなかったという名作Sweet Sixteen (Parts 1 & 2)。普通はPart.1しか収録しないことが多いのですが。両方で6分15秒という長尺ですが、B.B.の歌の凄さを感じる素晴らしい出来でPart.1と2両方を収録して正解だったと思います。ではB.B.キングのブルーズ・シンギングの真髄を堪能してください。

1.Sweet Sixteen (Parts 1 & 2)/B.B.King

B.B.キングはモダン・ブルーズのトップ・ブルーズマンとして歴史に残るブルーズを残した人ですが、ギタリストとしては「モダン・ブルーズギターの父」と呼ばれたT.ボーン・ウォーカーの奏法をさらに新しい時代に進化させたギタリストです。つまり現在ブルーズを弾くギタリストのほとんどが意識するしないに関わらず彼の編み出した奏法を弾いているという偉大なギタリストでもあります。しかし、その前に彼が多くの人からの賞賛を得たのは彼の歌の素晴らしさにあります。このアルバムにはそれがはっきりわかる一曲が入ってます。

2.On My Word Of Honor/B.B.King

もうため息ものです。B.B.キングのブルーズマンとしての本質はやはりこの歌のうまさ。この揺るがない歌があってのあの素晴らしいギター・プレイが引き立つわけです。

次は珍しいテイクでオリジナルはテキサス・ブルーズの巨人、ライトニン・ホプキンス。私もそうですが「B.B.がライトニンの曲をカバーしてたんだ」と思う人がいるとかなりいると思います。もう少しモダンなロウエル・フルソンとかルイ・ジョーダンのカバーはなるほどと思うのですが、カントリー・ブルーズマン、ライトニンのカバーは意外でした。そして、このテイクにはホーン・セクション入りもあるのですが、ここホーンなしのコンボ・スタイルです。これがまた日暮さんのこだわりでよりリアルなB.B.を感じさせてくれます
ブルーズ・バンドやっている人はこの一曲を聴くだけでもこのアルバムを買う価値があると思います。ブルーズバンドの教科書のような演奏とアンサンブルを聴くことができます。ドラムを中心としたステディなビートと全体でグイグイ押して行くようなバンド・アンサンブル。

3.Shotgun Blues (Original Version)/B.B.King

次はインストルメンタルの曲ですが、ジャンプ・ブルーズ調の曲で初期のゲイトマウス・ブラウンを思い出させるようなイナタさとワイルドさを持った面白い曲です。このアルバムの面白さでもあるのですが、いろんなB.B.のテイストが味わえます。このインスト曲もその一つです。

4.Boogie Rock/B.B.King

今年は日暮さんが亡くなられ、プレイヤーそしてライターとしても素晴らしい仕事を残した小出斉くんが亡くなり、ブルーズのことを文に書ける人が本当にいなくなりました。残念です。日暮さんも小出くんもブルーズの著作、本をいろいろ残していますので皆さん探して読んで見てください。

 

2023.12.06.ON AIR

50年来のブルーズの盟友、山岸潤史と私が作ったデュオ・ブルーズ・アルバム

….still in love with the Blues / 永井ホトケ隆&山岸潤史(P-Vine PODC-007)

ON AIR LIST
1.Ramblin’ On My Mind/永井ホトケ隆&山岸潤史
2.Nobody Knows You When You’re Down And Out / 永井ホトケ隆&山岸潤史
3.The Right Time / 永井ホトケ隆&山岸潤史and上田正樹andYoshie.N
4.I’m Still In Love With You/ 永井ホトケ隆&山岸潤史

今回は10/16にリリースされた私と山岸潤史の初デュオ・ブルーズ・アルバム”….still in love with the Blues”を手前味噌になりますが聴いてください。
1972年にすでに私がやっていたウエストロード・ブルーズバンドに山岸が加入してからの付き合いですから約半世紀。50年。長いようで短かった50年。しかし互いに70才の古希を過ぎてからこんなアルバムを作るとは思わなかった。きっかけは一昨年あたりから二人でデュオのライヴをやり始めて、それがなかなか楽しくて・・・どちらからともなくアルバムを作るかという話になった。ぼく自身はブルーズという音楽も私自身の歌のこともよく知ってくれている山岸は一緒にプレイするギタリストとしては本当にやりやすく、楽しい相手です。互いに変わったところといえば、年を重ねたのでゆったりしたダウンホームなブルーズを少しやりたい気持ちになってきたことかな。
まずアルバムの一曲目
オリジナルは1936年にロバート・ジョンソンが録音したブルーズです。

1.Ramblin’ On My Mind/永井ホトケ隆&山岸潤史

録音エンジニアはいつもぼくのバンド「blues.the-butcher-590213」の録音やミックスなどをやってくれている内田直之くんにお願いした。録音は内田くんが廃校になった小学校の教室に作ったスタジオで行われ、二日間で終わった。選曲も50年の間にふたりが聞き続けてきたブルーズで互いに何をすればよくわかっている曲がほとんど。
次の曲”Nobody Knows You When You’re Down And Out “は1929年に女性ブルーズシンガーのベッシー・スミスが初録音しいまやブルーズのスタンダードになっている曲

2.Nobody Knows You When You’re Down And Out / 永井ホトケ隆&山岸潤史

自分と山岸が録音するのを知って急遽参加してくれたのが旧友のキー坊(上田正樹)と彼のR&Bバンドのコーラスを担当している素晴らしい女性シンガーのYoshie.N
キー坊とも彼がサウス・トゥ・サウスからの50年の付き合いになった。同じような黒人音楽に影響を受けて歌をはじめた同年代のシンガーとして尊敬できるシンガーは自分にとって上田正樹。その彼が参加してくれたのは本当に嬉しかった。ぼくも彼も好きなレイ・チャールズのこのブルーズをまず録音しました。

3.The Right Time / 永井ホトケ隆&山岸潤史and上田正樹andYoshie.N

Yoshieちゃんがパワーのある歌を聴かせてくれました。

最後はアルバム・タイトルに使った曲で「まだ君のことが好きなんや」という歌。ぼくらは50年経ってもまだブルーズが好きでいつもニューオリンズと東京でブルーズのことをメールし合っています。いや、昔よりブルーズが好きになっていると思います。一生好きでいられて今もわからないことがたくさんあるブルーズという音楽は素晴らしいと思います。

4.I’m Still In Love With You/ 永井ホトケ隆&山岸潤史

実はまだ収録していない曲が残っていましてそれらを加えて来年はLPレコードにしてみようと思っています。キー坊とヨシエちゃんとコーラスしたいい歌もあります。ご期待ください。
アルバムはタワー・レコード、アマゾン、リリース元のP-Vineレコードのオフィシャル・ショップでゲットできます。また私のライヴ会場でも販売しています。

 

2024.11.29 ON AIR

スタンダップ・ブルーズ・シンガー大特集

スタンダップ・ブルーズ・シンガーの大本命、ボビー・ブルー・ブランド その3

ON AIR LIST
1.It’s Not The Spotlight / Bobby Blue Bland
2.This Time I’m Gone For Good / Bobby Blue Bland
3.What A Difference A Day Makes / Bobby Blue Bland
4.3’Clock In The Morning/Bobby Bland & B.B.King
5.That’s The Way Love Is/Bobby Bland & B.B.King

先週、先々週に引き続きボビー・ブルー・ブランド。
ホビー・ブランドは1973年に長年在籍したデューク・レコードが大手のABCレコードに売却されたことでABCの所属となりました。73年頃黒人音楽はマービン・ゲイ、ロバータ・フラック、スティーヴィー・ワンダー、ダニー・ハサウェイなどが新しいソウル・ミュージックを作っていった時代でブルーズ系のミュージシャンにとってショー・ビジネスを生き抜くには辛い時代でした。それでもブランドが新しいレーベルで録音を続けられたのはやはり歌手としての実力を認められていたからでしょう。コアなブルーズ・ファンからはこの時代の録音は少しブルーズから遠ざかったコンセプトだったために無視されていますが、それでもやはり稀代の名シンガー、ボビー・ブルー・ブランドですから聞きどころはたくさんあります。
まず1973年移籍後の初アルバム”His California Album”から一曲。作詞作曲はキャロル・キングの元夫でもあるジェリー・ゴフィンと、キーボーディストのバリー・ゴールドバーグの共作でジェリー・ゴフィンの73年のアルバム『It Ain’t Exactly Entertainment』に収録されています。またロッド・スチュワートのカバーで知っている方も多いと思います。

1.It’s Not The Spotlight / Bobby Blue Bland

ぼくは75年にロッド・スチュワートが「アトランティック・クロッシング」というアルバムでカバーしているのを聞いたのが最初です。浅川マキさんが自分の日本語詞にして歌われたバージョンもよく知られています。
たぶんプロデュース側からの選曲でブランドは歌ったのだと思いますかせ、時代の音楽ではなくなったブルーズという厳しい音楽シーンの中で生き延びていくためには提案されたこういう歌も歌わなければならなかったのでしょう。
しかし、それだけでは終わらないブランド。次の曲はデューク時代にも録音していたブルーズで「とうとう彼女と別れる決心がついた」という曲です。R&Bチャートの5位まで上がりました。さすがボビー・ブルー・ブランド。

2.This Time I’m Gone For Good / Bobby Blue Bland

いいですね。ブランドの最高のディープ・ブルーズ・ヴォーカルです。

次は81年のアルバム”Try Me I’m Real ” このアルバムを買ったのは次の曲が収録されていたからです。
途中の名人芸のギター・ソロはシカゴ・ブルーズでも活躍し、その後ウエストコーストでソロ・アルバムも出していたフレディ・ロビンソン。
日本語のタイトルが「恋は異なもの」とつけられたこの名曲はもともとダイナ・ワシントンの大ヒット曲。ブランドの濃口ソース・ヴォイスでどうぞ。

3.What A Difference A Day Makes / Bobby Blue Bland

ボビー・ブルー・ブランドは84年までの約10年間にABCから10枚ほどのアルバムを出しました。やはりある程度のクオリティはあり歌に関しては聞きどころも多いのですが、このアルバムという決定打は出ませんでした。そんな中で記憶に残る一枚が1974年にリリースされたB.B.キングとのデュエット・ブルーズ・ライヴ・アルバムです。
ボビー・ブランドはかってのメンフィスでの仲間であり、ブルーズの盟友B.B.キングと二人が名義になったライヴアルバムをリリース。初めて一緒に歌う( Together For The First Time)と題された二枚組のアルバム。スタジオにお客さんを入れたスタジオライヴです。
B.B.はすでに”The Trill Is Gone”でグラミーを獲得しており、白人のロックの殿堂フィルモアでもライヴを敢行しており白人層まで含めた知名度という点ではB.B.の方が有名な存在です。しかし、黒人サーキットではB.B.を凌ぐ超大物のボビー・ブランドという立ち位置。リラックスしながらもここぞという時にはお互いに引かない場面があったりなかなか面白いアルバムです。バックはB.B.のバンドにブランドの右腕とも言えるメル・ブランドなども入っており大人数ですがうまくコントロールされています。
二人で語りをしたり笑いあったりしながら自分たちのヒット曲やブルーズのスタンダード・ナンバーを次々歌い繋いでいくメドレーなどなかなか楽しいアルバムです。

まずMCの後にすぐB.B.キングのヒット曲”3’Clock Blues”が始まります。最初はブランドから歌い始め呼応するようにB.B.がギターを弾き、2番はB.B.が歌い、3番は掛け合うように二人で歌うというコテコテなライヴです。

4.3’Clock In The Morning/Bobby Bland & B.B.King

世界を飛び回るB.B.キングとブルーズが生まれた同胞黒人のクラブを回り続けるボビー・ブランド。今思えばこの大きな柱である二人がいたからこそブルーズという音楽は80,90年代そして21世紀へと続いていく力になったのだと思います。
スタンダップ・シンガーであるボビー・ブランドの歌うブルーズのバックでB.B.のギターが聞こえてくるのはブルーズファンにとって贅沢な感じがします。
このライヴが評判になってTV番組の「ソウル・トレイン」にも二人で出演し、2年後の76年に再びライヴ・アルバム”Together Again…..Live”を二人でリリースします。ブランドにとってはシンガーとして高いクオリティを保ったアルバムは出し続けたものの、この70年代に決定打となるアルバムが出なかった時代にこのB.B.とのアルバムが話題になり良かったと思います。
最後の曲は1962年にR&Bチャート1位、ポップチャートでも33位まで上がったボビー・ブランドのヒット曲にB.B.が絡んで歌っています。バックがさっきのB.B.キング・サウンドからボビー・ブランド・サウンドに変わっているところも面白いというかすごいです。

5.That’s The Way Love Is/Bobby Bland & B.B.King

このアルバム”Bobby Blue Bland&B.B.King Together For The First Time”はR&Bチャートで2位まで上がりました。さて来週もう一回、スタンダップ・ブルーズ・シンガー・シリーズの大本命このボビー・ブランドの第二の全盛期80年代マラコレコード時代に突入します。
ではまた来週。