2019.04.05 ON AIR

LPレコードで聴くブルーズ名盤

70年から80年代にかけて最高のブルーズロック・サウンドを出していたFabulous Thunderbirds
Butt Rockin’ / The Fabulous Thunderbird(CHRYSALIS RECORDS PV-41319)
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ON AIR LIST
1.I Believe I’m In Love/The Fabulous Thunderbirds
2.I Hear You Knockin’/The Fabulous Thunderbirds
3.Cherry Pink and Apple Blossom White/The Fabulous Thunderbirds
4.Tip On In/The Fabulous Thunderbirds
5.Matilda/The Fabulous Thunderbirds

ブルーズにそんなに詳しくない人でもロックを好きな人ならスティーヴィー・レイボーンの名前は知っていると思います。
80年代にジミー・ヘンドリックス・スタイルとブルーズロック・スタイルをミックスしたギタースタイルで登場して、一躍人気の出たスティーヴィー・レイボーン。
その実の兄がジミー・ボーンと言いまして彼は弟とはまた違うギター・スタイルで僕はどちらかというとその兄のジミー・ボーンの方が好きなんですが、そのジミー・ボーンがハーモニカのキム・ウィルソンと1974年に作ったバンドが「ファビュラス・サンダーバーズ」です。
アルバム・デビューは1979年。僕は最初ロスアンゼルスの友達にいいブルーズロックのバンドがいると言われてカセットテープをもらったのがそのデビューアルバムでした。

これが実にいいブルーズロックバンドで、最初歌がいいなと思いました。ほとんどキムが歌っているんですが、白人にありがちな無理な発声もなくもまたか細い感じもなく、すごく自然に歌っていて、演奏よりもまず歌に弾かれました。
今日はその「ファビュラス・サンダーバーズ」の1981年の3枚目のアルバム”Butt Rockin'”をレコードで聴いてみようと思います。
このアルバムは去年僕の後輩のギタリストで上村秀右くんにプレゼントしてもらったもので、あまりにいいので今日ON AIRです。
アルバム・タイトルのButt Rockin’のButtとは・・
まずはアルバムの一曲目
1.I Believe I’m In Love/The Fabulous Thunderbirds

ファビュラスはテキサスのバンドなのでワイルドなテキサス・スタイルととなりのルイジアナのスワンプ、そしてニューオリンズの音楽テイストも入っているところが特色です。

次の曲は以前オリジナルのレイジー・レスターをON AIRしましたが、いわゆるルイジアナのスワンプ・ブルーズの有名曲です。レイドバックとステディなビートが合わさった実にいい味のブルーズなんですが、ファビュラスはその味を損なわないでスワンプ感もしっかりあります。
2.I Hear You Knockin’/The Fabulous Thunderbirds
ちょっとポップな感じもあり最高のダンス・ナンバー、パーティ・ソングです。残念なことにオリジナルのレイジー・レスターは去年の夏に亡くなりましたが、たぶんこの歌はずっと歌い継がれていくと思います。
ファビュラスは最初ルー・アン・バートンという女性シンガーがいたのですが、すぐにやめています。

ファビュラスは結成以来、地元テキサスのオースティンにあるブルーズクラブ「アントンズ」でハウスバンドを長らくやってました。そこで自分たちのレギュラー・ステージをやりつつ、ツアーで「アントンズ」回って来るいろんなミュージシャンのバックも務めていました。だから、バンドは相当鍛えられてタフで上手いバンドになったのだと思います。
次のインスト曲なんかもブルーズではないけれど、ステージでショーアップするために演奏していた曲ではないかと思います。
3.Cherry Pink and Apple Blossom White/The Fabulous Thunderbirds
いまの曲は日本では「チェリー・ピンク・チャチャ」とか「セレソ・ローサ」というタイトルで知られているようですが、元々フランスの曲なのですがヒットしたのはラテンのペレス・プラード楽団の1955年のインスト・バージョンがヒットして有名曲になりました。元々は歌詞があるそうです。
僕も小さい頃にそのペレス・プラード風のアレンジで日本のラテンバンドがやっていたのをなんとなく覚えています。あとは中学校の昼休みにBGMとしてこういう音楽が流れてました。

次もさっきのI Hear You Knockin’のレイジー・レスターと同じレコード会社「エクセロ」所属のブルーズマン、スリム・ハーポの1967年の曲です。
ファビュラスの特徴のひとつですけど、ルイジアナのスワンプ・ミュージックの影響が強いです。他の白人のブルーズバンドと違うところですね。ストーンズとか他のバンドもよくスリム・ハーポの曲を取り上げていますが、ファビュラスほどサウンドとグルーヴがスワンプ・テイストにはなってないです。
語り入りのインストルメンタル曲
4.Tip On In/The Fabulous Thunderbirds

白人のブルーズ系バンドとかミュージシャンはたくさんいるのですが、白人と黒人の違い、また黒人と日本人との違いは歌です。ギターやハーモニカやドラム、ベースといった楽器に関してはブルーズの演奏上、同じようなレベルにあるいは独自の演奏というのはあるのですが歌に関しては自分のことも含めて難しいです。それで僕はやたらと黒人っぽくしょうとか、黒人みたいな声にしょうとかはしません。声は生まれもったものですからどうしようもないです。黒人とは身体の骨格も違うし日常生活も食生活もすべて違いますから。ただツアーを繰り返して長く歌っていると歌うときの自分の声が出来上がっていくんですね。それができあがるように練習とライヴを繰り返すしかないと思っています。たまにブルーズ歌ってもそれは無理です。このファビュラスもすとてつもない回数のライヴをこなしたと思うのですが、ヴォーカルのキム・ウィルソンの歌が自然にブルーズを歌っていてすごくいいです。わざとらしさもないし、がなったり、喉を締めるような感じもなくてナチュラルです。
次の曲でもキムの歌がいいです。曲は僕が大好きなルイジアナ、スワンプR&Bバンドの「クッキー&カップケイクス」の曲です。もうルイジアナという感じです。
5.Matilda/The Fabulous Thunderbirds

ファビュラスはめちゃくちゃ売れたバンドではないのですが、やはりたくさんのライヴで鍛えられたバンドでタイトで骨太、でも大味ではない素晴らしいバンドです。
1986年に「Tuff Enuff」という曲がヒットして日本にも来たのですが、残念ながら僕は見逃しました。
1990年にジミー・ボーンが脱退して、ファビュラスはほとんどハーモニカと歌のキム・ウィルソンのバンドになった感じですが、いまも活動を続けています。いまもいいバンドですが、僕はジミー・ボーンのギターが好きなのでちょっと残念です。ジミー・ボーンはブルーズギターの役割と歌のバックアップの仕方をよく知っていて、派手さは弟ほどないんですが素晴らしいギタリストです。

2019.03.29 ON AIR

LPレコードで聴くブルーズ名盤

若き日のボブ・ディランも参加している
「Three Kings And The Queen 」(Spivey/DOXY DOY679)

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ON AIR LIST
1.Sitting On Top Of The World/Big Joe Williams&Bob Dylan
2.Lake Charles Stomp/Roosevelt Sykes
3.Four Shots Of Gin/Lonnie Johnson
4.Brown Skin/Victoria Spivey
5.Wichita/Big Joe Williams & Bob Dylan
今日聴く「Three Kings And The Queen」というLPレコードは1964年にスピヴィ・レコードからリリースされたもので、いまだにCDにはなっていません。今日用意したのはその原盤ではなくて、ヨーロッパのドクシーというレーベルがそのまま復刻したものです。
元々のスピヴィ・レコードというのは女性ブルーズシンガーのヴィクトリア・スピヴィが主催していたレーベルで1985年くらいまで続いていたんですが、その間にマディ・ウォーターズ、オーティス・スパン、メンフィス・スリムなどを録音しています。
今日のアルバムの「Three Kings And The Queen」の3人の王様というのはピアノのルーズヴェルト・サイクス、そしてギターのロニー・ジョンソン、ビッグ・ジョー・ウィリアムスのことで、女王さまはヴィクトリア・スピヴィのことです。それだけでも大いに期待できるのですが、このアルバムのもうひとつの売り物は若き日のボブ・ディランがビッグ・ジョーのバックでハーモニカとバックコーラスをやっていることです。ディランはビック・ジョーが好きで、まあ追っかけとまではいかないまでもライヴに飛び入りとかもしていたみたいです。
では、まずそのディランがハーモニカとコーラスで参加している曲を聴いてみよう。
1.Sitting On Top Of The World/Big Joe Williams&Bob Dylan
ディランの声聴こえましたか。ハーモニカもいいですね。1962年の録音でこの時ディラン20歳です。ディランがレコード・デビューした年ですね。大好きだったビッグ・ジョーとの録音はすごく嬉しかったでしょうね。

次はいかつい顔のピアノのルーズヴェルト・サイクスで語りとピアノ・ソロでドラムとのデュオです。
ルーズヴェルト・サイクスはブルーズ・ピアノの名手で1929年からレコーディングし始めて70年代の後半まで録音があるから約半世紀レコーディングがあった強者です。
いまだにカバーされている”44 Blues”,”Driving Wheel”Mail Box Blues”とか有名曲も残しています。アーカンソー州に生まれて、セントルイス、シカゴ、それからニューオリンズへと移り住んだサイクスのこの曲はそのニューオリンズの湖の名前がついた曲です。
2.Lake Charles Stomp/Roosevelt Sykes
見事にうねるピアノさばきで素晴らしいグルーヴ感です。ピアノも歌も明るい感じの曲調が多くて聴いていても楽しくなります。アルバムもたくさん出てますのでチェックしてください。ルーズヴェルト・サイクスでした。

次はB.B.キングはじめ多くのギタリストに影響を与えたギター名人のロニー・ジョンソン。この人も1925年から亡くなる70年まで録音がたくさん残っている人で自分のソロだけでなく、ジャズギタリストのエディ・ラングとの共演はじめ歌手のバックで弾いているものをいれるとかなりの録音数になります。
とにかく的確で正確でリズムもばっちり、表現が豊かなギターで名人芸です。映像を見るとかなり楽勝な感じでゆったり弾いているのがむかつきます(笑)
3.Four Shots Of Gin/Lonnie Johnson
あまり気張らないちょっと鼻にかかった歌声もレイドバックしていていいですね、それにしてもギターのグルーヴ感が素晴らしい。

次はこのアルバムのレーベル主宰者でもあるヴィクトリア・スピヴィの歌です。ヴィクトリア・スピヴィは1926年にデビューしてその曲”Black Snake Blues”が大ヒットして30年代終わりくらいまでは盛んに録音していたのですが、1961年にニューヨークでこのアルバムのプロデューサーでもあるレン・クンスタットとスピヴィ・レーベルを設立して自分のも含めてたくさんブルーズを録音しました。
では、ビクトリアがウクレレを弾いて歌っている素朴な歌を聴いてください。
4.Brown Skin/Victoria Spivey
ウクレレで歌われるブルーズは珍しいです。

せっかくボブ・ディランがハーモニカで入っているので、もう一曲ビッグ・ジョーとの曲を聴きましょうか。
こうして振り返ってみるとディランが数年前にブルーズ・アルバムを出したのですが、彼もローリング・ストーンズと同じように最初に好きなったブルーズという音楽をずっと好きでいるんですね。ディランはロバート・ジョンソンのアルバムを初めて聴いたときの衝撃をいろんなインタビューで語ってますが、「ロバート・ジョンソン」聴いて自分でも曲を作ろうと思ったという言葉は忘れられません。だから、このビッグ・ジョー・ウィリアムスと一緒に演奏したことも彼の音楽にたくさんの影響を与えたと思います。
すごくディランがハーモニカでがんばってますよ。聴いてください。
5.Wichita/Big Joe Williams & Bob Dylan

今日は1964年にリリースされた名盤「Three Kings And The Queen」をLPレコードで聴きました。

2019.03.22 ON AIR

LPレコードで聴くブルーズ名盤シリーズ

ブルーズの名盤中の名盤
Here’s The Man/Bobby Bland (DUKE/MCA DLPS 75)
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ON AIR LIST
1.Turn On Your Love Light/Bobby Bland (side1-3)
2.You’re The One(that I Adore)/Bobby Bland (side1-2)
3.36-22-36/Bobby Bland (side1-1)
4.Stormy Monday Blues/Bobby Bland (side2-5)
5.Blues In The Night/Bobby Bland (side1-6)

LPレコードで聴くブルーズ名盤シリーズ、今日はボビー・ブランドの名作「Here’s The Man」です。
ボビー・ブランドはB.B.キングと双璧のモダン・ブルーズ史上外せないシンガーで、時にボビー・ブルー・ブランドと呼ばれることもあります。
ブランドはこの番組では何度も取り上げていますが楽器を弾かない、歌だけで勝負のいわゆるスタンダップ・シンガーです。
このアルバムは1962年テキサス、ヒューストンの「デューク・レコード」からリリースされたボビー・ブランドの2枚目アルバムです
僕もブルーズにハマってすぐギター・サウンドではなく、しっかりアレンジされた重厚なオーケストラのサウンドのブルーズにちょっと戸惑いました。ギター・サウンドのロックからブルーズに入った人は最初そのサウンドの肌触りに慣れていないので、僕と同じように少し馴染めないかも知れませんが、ブランドのディープな歌声に取り憑かれるとちょっと離れられなくなります。
まずは躍動するグルーヴ感が素晴らしいゴスペル・テイストの曲です。ドラムはのちにJames Brownのドラマーになるジャボ・スタークス。そのジャボのドラムとブランドの歌だけになるあたりの高揚感がたまりません。
「君は突然僕の心を破って引き裂いた。暗闇に僕を残して、僕への愛は死んだと言った。ベイビーどうかお願いだ。その灯りを付けて僕を照らしてくれ、灯りをつけて照らしておくれ」
1.Turn On Your Love Light/Bobby Bland

50年代メンフィスでしのぎを削ってお互いがライバルだったB.B.キングとボビー・ブランドは、女性客に「オマエの方が人気があった」と言い合ってますが、まあふたりともブイブイ言わせていた時期で、ステージに上がってきた女性客に額の汗を拭いてもらっているブランドの写真もあります。一見ごっつい顔のブランドですが、黒人女性にはすごい人気だったらしいです。でも、次の歌なんか歌詞の内容が「君は僕が愛するたったひとりの女だ」なんてことをすごく響くいい声で歌うので、女性はメロメロになるのでしょうか、どうでしょう。
2.You’re The One(that I Adore)/Bobby Bland
今日聴いているボビー・ブランドの「Here’s The Man」というレコードですが、僕が持っているのは原盤、オリジナル・プレスではなくてデュークレコードをMCAレコードが買い取ったあとにリリースしたものでジャケットが違います。オリジナルのジャケットはマイクを持って汗をだくだくで歌うブランドの横顔でしたが、僕のはステージでスポットライトの中に佇んでいるブランドです。そして、いちばん違うのがA面の一曲目の36-22-36という曲のイントロにライヴMCみたいのがオリジナルには入っているのに、今日聴いてもらっているレコードではそのMCがカットされ演奏から入ってます。どうしてこんな編集を後からしたのか疑問です。
では、そのMCが入っていない一曲目を聴いてください。
この数字は彼女のスリーサイズですが、36インチだから胸とお尻が約92センチ ウエストが56センチ・・まあボン・キュ・ボンですわ
3.36-22-36/Bobby Bland

このアルバムでどうしても聴いてもらいたいのが次の「ストーミー・マンデー・ブルーズ」
ブルーズを知っている方ならご存知のブルーズの定番曲ですが、元々はT.ボーン・ウォーカーがオリジナルでそのT.ボーンのもすごくいいのですが、それをカバーしたこのボビー・ブランド・バージョンは是非聴いてもらいたい1曲です。これはホーン・セクションが入ってなくて、コンボでの録音。ギターはブルーズギターの名手、ウェイン・ベネットが弾いています。そのギターソロも珠玉のソロです。
月曜日からずっと働きに出かけてイヤなことばかり、でも金曜日と土曜には遊びに行って、・・・という普通の黒人たちの生活を描いたブルーズです。
ボビー・ブランドの深いいい声がもうとろけるようにいいです。
4.Stormy Monday Blues/Bobby Bland
ブルーズという音楽がもつ美しさを見事に表したストーミー・マンデーだと思います。ブルーズの歴史に残る名演のひとつです。

このアルバムをリリースした1962年あたり、ボビー・ブランドは全盛期なのですが彼の成功の後ろにはアレンジャーでありトランペッターでもあったジョー・スコットのバックアップがありました。
楽器を何も弾かないで歌だけ歌うブランドの場合、やはりバックバンドを自分の歌に合うように仕切ってくれるバンマスが必要です。ジョー・スコットはブランドに合ったアレンジをしただけでなく、歌い方もブランドに指示したらしいです。最近はこういうホーンが入ったゴージャスなバンドを持つブルーズシンガーはほとんどいませんが、50年代から60年代、こういうバンド形態はブルーズマンにとってひとつのステイタスでした。この時代ブランドはオーケストラを引き連れて同胞の黒人のクラブをツアーする大スターでありました。
最後に1941年に公開された映画「Blues In The Night」の主題歌でレイ・チャールズはじめたくさんの人にカバーされています。
5.Blues In The Night/Bobby Bland

今日聴いたBobby Blandの”Here’s The Man”はCD化もされていますので是非ゲットして聴いてください。でも、できればレコードで聴いてもらいたいです。僕はレコードの音の方が好きです。

2019.03.15 ON AIR

LPレコードで聴くブルーズ名盤

ソウルの偉人オーティス・レディングの名作中の名作
OTIS BLUE/Otis Redding Sings Soul (Atlantic/Warner P-6043A)
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ON AIR LIST
1.Respect / Otis Redding
2.Ole Man Trouble/ Otis Redding
3.Shake / Otis Redding
4.Satisfaction / Otis Redding
5.I’ve Been Loving You Too Long/Otis Redding
LPレコードで聴くブルーズ名盤シリーズですが、今日はブルーズではなくソウルの名盤オーティス・レディングの「OTIS BLUE」を聴きます。アルバムタイトルが示すようにオーティスのソウルにはブルーズのテイストが色濃く入り込んでいます。
リリースされたのは1965年。オーティスの三枚目のアルバム。
LPのジャケットが金髪の白人女性の顔のアップなんですが、なぜこんなジャケットにしたのかまったくわかりません。白人女性にすればアルバムが売れるという目論見でもあったのでしょうか。

僕はブルーズやR&Bやソウル・ミュージックが好きになる前、まだロックを聴いていた頃に初めて聴いたソウル・シンガーがこのオーティス・レディングでした。なぜかというと1968年にオーティスは26歳という若さで飛行機事故でなくなり。その後にリリースされた”The Dock Of The Bay”がチャート1位になりラジオでよくかかっていたからです。それでなんかすごい歌手が死んだということでオーティスの他の曲もON AIRされて、それでいまから聴く”Respect”も知りました。
アレサ・フラクリンのバージョンで聴いている人も多いと思いますが、オリジナルはオーティス・レディング。
1.Respect / Otis Redding

いまの曲は1965年シングルでリリースされてチャート1位になった曲ですが、そのB面が次のOle Man Trouble。
オーティスは曲が書けるソウルシンガーで、このシングルの両方ともオーティスのオリジナルです。
ホーンセクションを含めた重厚なアレンジで、バックのMG’sの演奏もシャープでヘヴィで素晴らしい。
「自分はトラブル続きの男だから他の誰かを見つけて、オレから離れてくれ、見てのようにオレはには運もない。オレはこんな風に何年も生きてきた。オレといるとトラブルになるから」
2.Ole Man Trouble/ Otis Redding
R&Bチャート4位まで上がったOle Man Trouble。バックのMG’sの重さを感じさせるグルーヴがやはりオーティスの歌にぴったりです。

オーティスがリスペクトしていたシンガーはサム・クックでした。そのサム・クックが前年の64年に射殺されてなくってしまったのですが、トリビュート的な意味もあったのでしょうか、このアルバムでは”Change Gonna Come”,”Shake”,”Wonderful World”と三曲サムの曲をカバーしています。中でも僕は次のShakeが好きですが、バックのドラムのアル・ジャクソンのビートがもうドカドカで凄いし、ホーン・セクションと一体となってつくられたサウンドの中をオーティスが自由に飛び回っているフリーな感じもいいです。
3.Shake / Otis Redding

このアルバムがリリースされた1965年は、ロックではイギリスのビートルズが「ヘルプ」と「ラバーズソウル」をリリースした年で、ローリング・ストーンズがヒットした”Satisfaction”を収録したアルバム”Out Of Our Heads”をリリースした年です。黒人音楽と白人音楽が交流しはじめた頃でもあり、黒人が白人の曲を歌い、白人が黒人の曲を歌うのもふつうになっていきます。そういう時代の中、ギターのスティーヴ・クロッパーの提案でストーンズの”Satisfaction”をオーティスが歌うことになります。
ここでのオーティスの歌は原曲を更にパワフルにしてドライヴ感を増したものになりました。ミックやストーンズの連中はこの”Satisfaction”をどう思ったのでしょうかね。
4.Satisfaction / Otis Redding (side1-4)
やっぱりアル・ジャクソンのドラムの気持ちのいいビートに耳がいきます。

オーティスはソウル・ミュージックをあまり知らない人に聴かせても好きになり、ソウルつまり彼の魂を感じるという人が多くいます。テクニック的に歌の上手いシンガーとか何オクターブも声が出るシンガーは他にいると思うのですが、歌とはそもそもそういうものではなく自分の心を聴き手に伝えることだということをオーティスを聴いていると感じます。上手く歌ってやろうとかテクニックを聴かせてやろうではなくて、自分のソウル、魂をさらけ出すことが大事だと教えてくれます
次の珠玉のバラード。僕の知合いの何人かが英語がわからないけど、聴いているうちに泣いしまったという歌です。そこはもうオーティスのソウル・トゥ・ソウルです。
5.I’ve Been Loving You Too Long/Otis Redding

オーティス・レディングは他にもいいアルバムがありますが、今日ON AIRした「オーティス・ブルー」は機会があればゆっくり聴いてみてください。
ソウル・ミュージックという言葉はすごくいい言葉だと思います。魂の音楽・・・それをいつも感じさせてくれるオーティス・レディング

2019.03.08 ON AIR

LPレコードで聴くブルーズ名盤
Hoodoo Man Blues/Junior Wells’ Chicago Blues Band
(Delmark Records DS-9612)

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ON AIR LIST
1.Snatch It Back And Hold It/Junior Wells’ Chicago Blues Band
2.Ships On The Ocean/Junior Wells’ Chicago Blues Band
3.Good Morning School Girl/Junior Wells’ Chicago Blues Band
4.Yonder Wall /Junior Wells’ Chicago Blues Band
5.Hoodoo Man Blues/Junior Wells’ Chicago Blues Band

LPレコードで聴くブルーズ名盤シリーズ。今日は1965年リリースのジュニア・ウエルズの「Hoodoo Man Blues」というアルバムです。
レコード会社は「デルマーク・レコード」
メンバーはハーモニカとヴォーカルがジュニア・ウエルズ、ギターがバディ・ガイ、ベースがジャック・マイヤーズ、ドラムがビリー・ウォーレンの4人なんですが、この4人がシカゴのウエストサイドのクラブで出しているブルーズ・サウンドをそのままパックしたようなリアル・ブルーズの名盤です。ジャケット写真もかっこいいです。
まずはside.1の一曲目。ジュニア・ウエルズらしいファンキーなダンス・ナンバー
1.Snatch It Back And Hold It/Junior Wells’ Chicago Blues Band

ジュニア・ウエルズそしてバディ・ガイたちはこの録音当時30歳前後。1965年ですから50年代初期に盛り上がったマディ・ウォーターズ、ハウリン・ウルフたちの時代から10年以上は過ぎているわけです。
マディの時代ほどシカゴブルーズは盛り上がってはいなくて、主流はB.B.キング、フレディ・キングのようなアーバン、モダン・ブルーズに移っていく狭間にジュニアやバディそしてマジック・サム、オーティス・ラッシュたちは、少し取り残された感じになってしまった。
「オレの乗っている船は紙(Paper)でできている。それに乗っておれはひとりで七つの海を航海している。オマエにしてやることは何もない。なにもないんだ」と恐らく苦しい日々の生活を船の航海に例えて歌った次の曲はトラッドなシカゴ・ブルーズとモダン・ブルーズがミックスされ、しかもそこにシカゴのストリートの匂いが付け加えられたこれぞブルーズという曲です。
2.Ships On The Ocean/Junior Wells’ Chicago Blues Band
レコーディングのチャンスも少なくなっている60年代半ばのブルーズ・シーンでこういうドロっとした、アウトローなブルーズをクラブで彼らは毎晩演奏してたのでしょう。
全体のサウンド、グルーヴ、雰囲気がマディの時代のような一流の感じではなく、どこか二流っぽい、でも素晴らしくブルーズなテイストが感じられるこのアルバム。

次はサニーボーイ・ウィリアムスン1(ジョン・リー・ウィリアムス)がオリジナルのブルーズの有名曲です。曲名「Good Morning School Girl」「おはよう女学生」にいつもひっかかるんですが、このスクール・ガールというのはいまで言うJK(女子高生)のことでしょうか。内容がですね「おはよう可愛い女子高生、いっしょに家に帰ってもええかな。パパとママに学校の友達やって紹介してくれよ。ほかの子やダメなんや、君やないと。めちゃ好きなんよ」まあ、これナンパの歌ですよね。これをですね、当時30歳になっているジュニア・ウエルズが歌うのはどうなんでしょう。いまね、援助交際とかセクハラとかうるさい時代に絶対問題になるでしょう。原曲には「オマエにダイヤ買ってやるから、彼女になってくれ」という歌詞もあるんですが、絶対マズいでしょ、いまやったら。でも、この曲ヤード・バーズ、テンイヤーズ・アフターはじめすごくたくさんのミュージシャンにカバーされているブルーズ・スタンダードです。

3.Good Morning School Girl/Junior Wells’ Chicago Blues Band
シカゴではリトル・ウォルターがハーモニカの音をアンプを通してだすアンプリファイドが主流になっていく中、ジュニアはアンプを使わないでヴォーカル・マイクに生の音のまま吹くというサニーボーイ・ウィリアムスン1のやり方で吹くことも多かったです。僕がアメリカでジュニアを見た最後、彼が亡くなる二年前くらいの時もアンプは使ってなかったです。アンプを使わないハーモニカの音の方が僕は好きです。
同時代のウォルター・ホートン、ジェイムズ・コットン、キャリー・ベルとはまた違うジュニア独特のハーモニカ・プレイがあり、改めてジュニアのハーモニカがいいなぁと思います。

次の曲はエルモア・ジェイムズ、ジュニア・パーカー、フレディ・キングなど本当にたくさんのカバーがあります
4.Yonder Wall /Junior Wells’ Chicago Blues Band

1998年にジュニア・ウエルズは亡くなったのですが、ざっと振り返ると34年にブルーズのメッカでもあったメンフィスに生まれ、10代のはじめにシカゴに移ってルイス・マイヤーズやフレッド・ビロウとバンドをつくり、52年にマディ・ウォーターズのバンドに誘われて加入、53年にレコーディング・デビューして”Little By Little”,”Messin’ With The Kid”といったファンキーなブルーズをシカゴ・ブルーズに吹き込んだ。そして、58年頃からコンビを組んだわけではないけれど、バディ・ガイとともに演奏することが多くなり互いの録音にも参加して、初来日もふたりでやってきました。これといった大きなヒット曲はなかったけれどシカゴのブルーズクラブをそのまま持ち込んだようなライヴはやっぱり、リアル・ブルーズで素晴らしかったです。僕が最後に観たときもファンキーなブルーズと独特のドロッとしたスローブルーズでブレないブルーズを聴かせてもらいました。
最後にアルバム・タイトル曲を聴いてください。

5.Hoodoo Man Blues/Junior Wells’ Chicago Blues Band

今日のLPレコードで聴くブルーズ名盤は1965年デルマーク・レコードがリリースしたジュニア・ウエルズの「Hoodoo Man Blues」を聴きました。CDでもリリースされているので是非ゲットしてじっくり聴いてみてください。