2025.08.01 ON AIR

祝50周年P-Vine Records! 第5回

入手困難だったオーティス・ラッシュの音源を日本盤でLP化したP-Vineレコード

Groaning’ The Blues/Otis Rush (P-Vine Special PLP-9012)

ON AIR LIST
1.I Can’t Quit You Baby/Otis Rush
2.Sit Down Baby/Otis Rush
3.Violent Love/Otis Rush
4.All Your Love/Otis Rush
5.Double Trouble/Otis Rush

日本が世界に誇るレコード・レーベルP-Vine レコードの創立50周年をお祝いするシリーズ「祝50周年P-Vine Records!」の第5回目です。
今回のタイトルが「入手困難だったオーティス・ラッシュの音源を日本盤でLP化したP-Vineレコード」
自分が70年代初めにブルーズにずっぽりハマってしまいレコード店巡りが常習化し始めた頃、いつも探していたのがコブラのラッシュだった。そのアルバムが素晴らしいと知ったのはどういう経緯だったかもうすっかり忘れてしまったが、レコード店を巡っているときはいつも心の中で「コブラのラッシュ、コブラのラッシュ」と呪文みたいに唱えていた。コブラというのはレーべル名でラッシュはもちろんオーティス・ラッシュ。アルバム・タイトルは”This One’s A Good ‘Un”でラッシュの写真の周りが赤い色で縁取りされているものだった。リリースしていたのはイギリスの「ブルー・ホライズン」というレーベルで、それが当時オーティス・ラッシュをまとめて聞ける唯一のアルバムだった。なかなか手に入れることができず、それをやっと手にいれたのは探し始めて2年後くらいだった。しかし残念なことに70年代終わり頃とあるブルーズ・バーに貸していたら盗まれてしまった。しかし、そのコブラ・レコードの音源をアウトテイクも含めて二枚のLPにしてP-Vineレコードが1980年にリリースした。嬉しかったなぁ。自分だけでなく多くのブルース・ファンが喜んだアルバムでした。今日はそのコブラ音源、1980年P-Vineレコードリリース”Groanin’ The Blues”を聞きましょう。
まずはオーティス・ラッシュの代表的な曲から。
1956年立ち上がったシカゴのインディーズ・レーベル「コブラ・レコード」が初リリースしたシングル。ビルボード・R&Bチャートのなんと6位まで上がったヒット。自分の家庭まで壊してしまった不倫をしてそれでもその不倫相手と別れられないと苦しい胸中を歌った曲。

1.I Can’t Quit You Baby/Otis Rush

まあ、「自分で不倫しといて何が胸が苦しいやねん」とツッコミたくなる方も多いでしょうが、これがまた人間の性というやつで。
この曲はロックのレッド・ツェッペリンのデビュー・アルバムに収録された他カバーがたくさんあります。曲を作ったのはシカゴ・ブルーズのベーシストでありソングライターでありプロデューサーでもあるウィリー・ディクソン。
ラッシュの魅力というのはふくらみと翳りのある歌声とシャープなギター。日本で人気があった原因はラッシュのブルーズにそういう翳りあったからだと思います。暗い感じがして嫌いという人もいますが、70年代前半日本のブルーズ・ファンのラッシュへの期待は大きかったです。しかし、リアル・タイムのブルーズマンとしては決定打の曲がなくていつも引き合いに出されるのが50年代のこのコブラの音源でした。
次はリズムの歯切れのいいダンス・ナンバー。

2.Sit Down Baby/Otis Rush

サビがついてホーンが入ってサウンドもしっかり構築され、ビートはステディなシャッフルビート・・1956年時点のモダンさを感じさせるシカゴ・ブルーズだったと思います。
次の曲では更にそのモダン化をポップに推し進めた曲。プロデュースのウィリー・ディクソンが進めました。それはラッシュがよりポップな曲も歌える歌唱力のある歌手だとわかったからだろうと思います。ブルース・ファンの中にはギター・ソロもないし、曲もポップなこの曲を嫌いな人もいるのですが、僕は結構好きです。もし、このタイプの曲でヒットが出ていればラッシュは違う道を歩んでいったかも知れません。

3.Violent Love/Otis Rush

次はエリック・クラプトンが若き日、ジョン・メイオール・ブルーズブレイカーズ時代にカバーし有名になった曲で私も高校生の頃にそれを聞いて衝撃を受けたのですが、ラッシュのこのオリジナルを聞いて更に衝撃を受けました。1958年録音。

4.All Your Love/Otis Rush

途中でリズムがシャッフルに変わりマイナーからメジャーに行く、そこを尽かさず切り込んでいくギター・ソロの素晴らしさ。歌もいいしほぼ完璧に出来上がったブルーズだと思います。
このコブラ・レコードでのレコーディング・セッションは1956年から58年の2年間にリリースしたシングル。メンバーはべースとプロデュースのウィリー・ディクソン、ドラムはアル・ダンカンとオディ・ペインのどちらか、ギターにはアイク・ターナー、ピアノはリトル・ブラザー・モンゴメリーと当時のシカゴ・ブルーズの精鋭たちが集まってます。
シカゴと言えばチェス・レコードが最も有名なレーベルでしたが、チェスはマディ・ウォーターズ始めハウリン・ウルフ、サニーボーイ・ウィリアムスンなどすでに売れているブルーズマンで堅実なビジネスをするだけ、若手のブルーズマンたちの売り出しに積極的ではなかったようです。それに反発したウィリー・ディクソンがこういう小さなレーベルで若手のブーズマンの録音を始めたわけです。
次はラッシュ自身が作ったブルーズ。「恋もうまくいかず、夜も眠れない。仕事もない。みんなは頑張ればできるというけど、そして金持ちになっている奴らもいるけど俺には着ていく服さえないんだ」
トレモロを入れたギター・サウンドで印象に残るオブリガードを弾いているのはアイク・ターナー

5.Double Trouble/Otis Rush

まさにブルーズです。歌がいかにもオーティス・ラッシュらしいです。
今日は1980年に日本のP-VineレコードがLPレコードでリリースした”Groanin’ The Blues”を聴いてもらいましたが、現在はCDでも”I Can’t Quit You Baby”というアルバム・タイトルでリリースされています。

 

2025.07.25 ON AIR

ブルーズ暑中お見舞

ON AIR LIST
1.Ice Man/Albert Collins
2.Give Me Back My Wig/Hound Dog Taylor
3.Cotton Boogie/The James Cotton Band
4.Hot/Robert Cry Band
5.Back Door Man/Howlin’ Wolf

暑い日が続きますが、今日は当番組からブルーズ暑中見舞いです。
暑中見舞いというと水羊羹とか素麺とかアイスとか送られたりすると思いますが、昔うちの親父は「暑い日には熱いお茶を飲め」と言ってました。暑いからと言って冷たいものばかり飲んだり食べたりしているとお腹を壊すから熱いお茶も飲めと言ってたのですが、親父本人は冷たいビールを旨そうに飲んでました。
それで毎年言ってるのですが「涼しいブルーズ」はないか・・と、つまりビーチボーイズのようなサーフ・ロック、カルロス・ジョビンやアストラッド・ジルベルトのボサノヴァのような涼を感じるブルーズ。結論からいうと基本的には涼しいブルーズはありません。ただ、フォーク・ブルーズのミシシッピ・ジョン・ハートやソニー・テリー&ブラウニー・マギーやカントリー・ブルースのレッド・ベリーに涼しさを感じることはあります。
なので「暑い日には熱いお茶を飲め」という自分の父親の言葉通り、今日はブルーズの中でも特に熱いと感じるブルーズを暑中見舞いとしてお送りします。
まずはアルバート・コリンズ。コリンズは1965年にザ・クール・サウンド・オブ・アルバート・コリンズというアルバムを出してまして、ジャケット写真は涼しげな氷の入ったレモンが添えられたコップのカクテルのようなものでした。そのアルバムにはFrosty(凍ったとか霜のついてる冷たさ)とかFrostbite(凍傷)というタイトルの曲も入っていていかにも涼しげな、いやめっちゃ冷たい感じのイメージがジャケットと曲名からあったんですが、演奏は冷たいどころかめちゃ熱いです。ではタイトルも「アイスマン」

1.Ice Man/Albert Collins

「俺は君のアイスマン。君を冷やすためにここにいるんやないんよ。俺はテキサスのレオナを出て一番クールな場所(かっこいい場所)を熱くするために来たんだ」という歌詞ですが、クールというのはかっこいいという意味もありますから、かっこいい場所で俺のかっこいいギターで君をホットにしてやるという意味やと思います。

次はもう名前聞いただけで暑いハウンド・ドッグ・テイラー。曲名がGive Me Back My Wigですから「俺のウイッグを返してくれ」
確かにハウンドドッグ・テイラーもカツラかぶっている写真がありますが、あれ、アメリカのミュージシャン特にブルーズマンってなんやモロにウイッグってわかるかぶり方してるいうか、頭のサイズに合ってないいうか、その辺大雑把なんですよね。ライトニン・ホプキンスなんかカツラズレてるやんいう写真あります。
日本は今はもうウイッグも普通になりましたが、アメリカはウイッグの歴史が古い割りに大雑把です。
歌詞は「俺のウィッグを返してくれよ。お前の頭、坊主にしてまうぞ。ほんま仕事がないねん。お前に買ってやるウィッグはほんまないねん。」
ってこれウイッグを彼女と共有してるんですかね。

2.Give Me Back My Wig/Hound Dog Taylor

いい感じに暑苦しい曲ですが、最後に「俺にウイッグ返したらお前の好きにしたらええから」ってそんなにウイッグ大事なんですかね。
次はジェイムズ・コットンです。まあ歌もハーモニカも熱いブルーズマンですが、聞いてもらうのはライヴのインスト曲で歌がなくても熱いです。リズムもめちゃ早いブギでグルーヴがバシッと決まっているので気持ちいいですが汗だくで演奏してるのが目に浮かびます。

3.Cotton Boogie/The James Cotton Band

次は比較的新しい録音でロバート・クレイ。クレイもデビューして45年経っていまやブルーズ界の大物ですが、聞いてもらうのは2020年五年前にリリースしたアルバム”That’s What Heard”から曲名も熱いです”Hot”。

4.Hot/Robert Cry Band

クレイの歌もギターもバックもめちゃ熱いです。でも、クレイの芸風が熱いけど彼が本来持っているスマートさがあるのでさっきのコットンほどの暑苦しさは感じません。まあ、性格、人格はやっぱ音楽に出ます。
このアルバム”That’s What Heard”はドラムのスティーブ・ジョーダンがプロデュースしてゴスペル曲を今風にうまくアレンジしたり、クレイの歌唱力を生かしたボビー・ブランドのカバーを入れたりオリジナルもあったりいろんなカインドが入っているけど統一感のあるいいアルバムです。

最後にもう一曲。歌が熱いブルーズマンといえばこの人、ハウリン・ウルフ
「俺はバックドア・マン(裏口から入ってくる間男)。みんなが寝た真夜中に他人の嫁さんの家に忍び入って、朝ニワトリが鳴く頃に出ていく。町の男たちは知らないけど女たちはみんなわかってる」間男の歌。間男言うてももう若い人たちわからないかもしれないですが、辞書を紐解くと「結婚して夫がいる女性が、夫以外の男と肉体関係を持つこと。またはその相手の男のこと」とあります。だからこの男はこっそり裏口のドアから夜中に入って朝方に出ていくと歌っております。こんなこと丁寧に説明してどないすんねんですが。

5.Back Door Man/Howlin’ Wolf

今回はブルーズ暑中見舞いでした。私はここ数年夏は極力ライヴを減らしてます。天気予報で猛烈な暑さから最近危険な暑さという言い方が多くなってますが、まあ外に出るないうことです。外に出るな言われてもね。まあ、みんな気をつけてください。ほならHey Hey The Blues Is Alright

2025.07.18 ON AIR

祝50周年P-Vine Records!!! ボックスセットが意外と得意なP-Vineの初めてのボックスがこれだった

第4回目シカゴ・ブルースの25年/Chicago Blues A Quarter Century

ON AIR LIST
1.Fish Tail/Johnny Shines
2.Five Long Years/Eddie Boyd
3.Pearly B/Robert Jr.Lockwood
4.I Can’t Quit You Baby/Otis Rush
5.Too Many Cooks/Jesse Fortune

日本が世界に誇るブルーズ・レーベル”P-Vine Records”が創立50周年を迎えることになり、この番組では最近私が気に入っている、でもそんなに知られていない”P-Vine Records”のアルバムを紹介しています。今回4回目はP-Vineが81年にリリースしたLP4枚組ボックス・セット「シカゴ・ブルースの25年/Chicago Blues A Quarter Century」を聴いてみます。このLP4枚組ボックス・セットは89年にCD3枚組で再発されました。P-Vine Recordsは今までCDやLPでマディ・ウォーターズ、オーティス・ラッシュ、チャック・ベリー、エルモア・ジェイムズ、B.B.キングそしてO.V.ライトなどクオリティの高いボックスセットをリリースしてきました。この「シカゴ・ブルースの25年」が最初のボックスセットでした。1940年代半ばから60年代終わりくらいまでのシカゴ・ブルーズの音源を網羅したものですが、チェスやヴィー・ジェイの超大物のマディ・ウォーターズやハウリン・ウルフ、ジミー・リードではなく、小さなレーベルJ.O.BやCobraやアーティスティックといったレーベルの音源をコンピレーションしています。では最初にロバート・ジョンソン直系、日本にもきてくれたジョニー・シャインズ。

1.Fish Tail/Johnny Shines

やはりロバート・ジョンソンを思い出させるスライド・ギターによるブルーズです。そのロバート・ジョンソンの影響が強すぎるところが彼の名前がいまいち上がらなかった理由の一つなのですが、歌、ギターとも実力は十二分にあるんですがね・・・難しいですね。日本に来た時も一緒にきたエイシズとロバートJr.ロックウッドの演奏が素晴らしすぎてそっちにばっか話が盛り上がってちょっと可哀想でした。
シカゴ・ブルーズというとギター・ブルーズの前にはピアノがメインのブルーズマンが多く録音を残し、偉大なビッグ・メイシオを筆頭にジョニー・ジョーンズ、オーティス・スパンなど彼に影響を受けたブルーズ・ピアニストが素晴らしい録音を残しました。その中の一人エディ・ボイドの有名曲を聴きましょう。「一人の女のために5年間製鉄所で働き続け、結局ひどい目にあって別れた。次に結婚する女は金を持ってきてくれる女にしょう」と生々しいブルーズですが、1952年R&Bチャートの1位に輝いたブルーズです。

2.Five Long Years/Eddie Boyd

愛した女のために仕事が終わると金を持って女の元へ帰る生活を5年間続けたのに多分女が他の男のところへ行ってしまったんでしょう。まあ恨み節ですね。でも、次は金を持ってきてくれる女にしょうと歌うところがええですよね。救われるというか・・。
次はさっき言いましたシカゴ・ブルーズというよりブルーズ全般にわたってギター名人の一人、ロバート・Jr.ロックウッド。ロックウッドも最初に聞いたジョニー・シャインズと同じようにロバート・ジョンソンの影響を受けた人ですが、ロックウッドはそこにシティ・ブルーズやモダン・ブルーズのギターのテイストを入れ込んでシャインズより垢抜けた自分のスタイルを確立した人です。1951年の録音 曲名がPearly B 、Pearlyは「真珠のような」という意味でBは彼女の名前ですからパール/真珠のように輝く綺麗な彼女ということでしょう。その彼女に帰ってきてくれと歌ってます。本当に逃げられた歌ばっかです。

3.Pearly B/Robert Jr.Lockwood

今日聞いてもらっている「シカゴ・ブルースの25年」このコンピレーション・ボックスセットには40年代半ばから60年代終わりくらいまでのシカゴのブルーズがほぼ時系列で収録されているので、非常に丁寧な解説とともに聞いているとシカゴ・ブルーズというジャンルのブルーズがどういうものかよくわかるようになっています。次は今のロックウッド世代の次の世代。もうロバート・ジョンソンの影響などがほとんどなく、B.B.キングなどに影響を受けたモダン・シカゴ・ブルーズの時代に突入します。1956年録音、当時22歳のパワフルで溌剌とした歌が聴けます。オーティス・ラッシュ。

4.I Can’t Quit You Baby/Otis Rush

「お前と別れられない。お前は俺の幸せな家庭を潰した。お前の愛を隠したくはないんだ。でも俺の呻いている声が聞こえるだろう」そんな勝手な不倫、知らんがなと言いたいですね。
次は60年代の更に新しい感覚のシカゴ・ブルーズが登場しました。R&Bのテイストでとてもダンサブルなこの曲はドラム、ウィリー・スミス、ベースにジャック・マイヤーズ、ギターにバディ・ガイ、ピアノにラファイエット・リーク、ハーモニカにウォルター・ホートンという当時のシカゴの実力派若手で録音されました。ヒップな曲です。ジェシー・フォーチュン。

5.Too Many Cooks/Jesse Fortune

おもろい曲です。
今日聞いてもらったP-Vine Recordsのボックスセット「シカゴ・ブルースの25年/Chicago Blues A Quarter Century」は今も時々中古レコード店で見かけます。ブルーズという音楽を知りたいという人は丁寧なライナーノーツも入ったこのボックスセットお勧めします。ブルーズの歴史的な流れやシカゴ・ブルーズの特徴を知ることができます。
今日は50周年目を迎えた日本の素晴らしいブルーズレーベルP-Vine Recordsの特集の4回目でした。では次回をお楽しみに。
P-Vine Records https://p-vine.jp

2025.07.11 ON AIR

祝50周年P-Vine Records!!!

第三回目日本にも多くのファンを作ったオーティス・クレイの若き日の歌声

ON AIR LIST
1.Got To Find A Way/Otis Clay
2.I Testify/Otis Clay
3.That’s How It Is/Otis Clay
4.I Don’t Know What I Do/Otis Clay
5.I’m Satisfied/Otis Clay

世界に誇る日本のP-Vine レコードが今年で50年を迎えることになりました。1975年にP-Vine レコードは設立され最初はブルーズのインデーズ・レーベルとして始まりました。現在はブルーズ、ソウル、ジャズ、ヒップホップ、ゴスペル、ワールド・ミュージックから日本のロック、歌謡曲、ポップス・・・とすごく広範囲なジャンルの音楽を提供しており、外国にも認知されもうインディーズと思ってない人もいます。それでその50周年を祝してP-Vine レコードの僕の好きなでもあまり知られていないアルバムを紹介しょうと思っています。
今回紹介するのはディープ・ソウル・シンガーのオーティス・クレイのアルバム”Got To Find A Way-The Beginning”
P-Vineからリリースされたのは1979年ですが、内容は65年から67年にシカゴのレーベル「ワン・ダー・フル」からリリースされたシングルをコンピレーションしたものです。
オーティス・クレイは78年の春に来日できなかったO.V.ライトの代わりに初来日公演が決まったのですが、ぼくも当時クレイのアルバムは持っていなくてコンピレーション・アルバムで2,3曲聴いたくらいでした。来日すると決まっていたO.V.ライトへの気持ちが強すぎて、はっきりオーティス・クレイにはそれほど期待していなかったのですが、幕が開くともう本当に一生懸命歌ってくれ真のソウルを聞かせてくれたクレイに最後は涙してしまった素晴らしいコンサートでした。そのコンサートで一曲目に歌ったのが60年代に「ワン・ダー・フル」に録音したこの曲でした。去っていった彼女に「君の愛なしで一人で生きるのに耐えられない。俺は君を取り戻すんだ」

1.Got To Find A Way/Otis Clay

今日もぼくのLPレコードから音源を取っているのでイントロなんかでノイズがありますが、ぼくはノイズさえ好きです。
この曲を一曲目に歌った来日公演のライヴ・アルバムも素晴らしいので聴いて欲しいのですが、今の「ワン・ダー・フル」レコードの録音は20代半ばの彼がショービジネスでこれから這い上がろうと頑張っていた頃の歌でパワフルでひたむきな歌声で好きです。
僕はオーティス・クレイが2度目に来日したときにお会いして一曲だけ一緒に歌ったことがあるのですが、とても優しくて誠実な紳士で彼の歌が心に届く理由がわかりました。決して超ビッグなソウル・シンガーではなかったけど与えられた場所で与えられた時間、彼はとにかく誠実な歌、つまりソウルを伝えようと懸命に歌う人出した。次の歌は彼女をたまらなく好きになってしまい、それが止まらなく大きく強くなっていく気持ちを歌ったものです。君を愛していることをぼくは証明してみせる。testifyというのは証言するとか立証するという意味です。

2.I Testify/Otis Clay

クレイは子供の頃からずっとゴスペルを歌っていていくつかのゴスペル・グループにも参加しています。ゴスペルを歌ってソウルに転向するシンガーは山ほどいるのでそこから有名になるのは大変なんですね。65年にソウルに転向して今日聞いているワン・ダーフルというレーベルからデビューしました。最初のヒットが67年の次の曲That’s How It Is。
好きになった女性に利用されて騙されていても、もう俺は普通ではないくらいお前を愛していると歌う切ないソウルです。

3.That’s How It Is/Otis Clay

もう歌の入力メーターを振り切ってるやろみたいなすごい勢いで歌ってます。
ワン・ダーフルを辞めてからはコテリオンそして70年代にはメンフィスのハイ・レコードへ。このハイ・レコードで”Trying To Live My Life Without You”が自己最高のチャート24位になり広く知られる存在になりました。日本に来た78年にはもうハイを辞めていたのですが、ステージで歌ったのはほとんどがそのハイ時代の曲とこのアルバムのワン・ダーフル時代の曲でした。
クレイ自身はハイのサウンドよりもシカゴのワン・ダーフルの音の方が好きだと言ってました。僕もこの若き日のクレイの歌声とちょっとゴツゴツした感じのサウンドがフイットしていて好きです。

4.I Don’t Know What I Do/Otis Clay

途中のドラムとベースと歌だけになるとこなんかほんまかっこええです。
P-Vineがこのワン・ダーフル時代の音源をアルバムにしてリリースしたのがクレイが来日して僕らを感動させた翌年の79年。すごくいいタイミングで僕らはクレイの若い頃の歌を聴くことができたわけですが、ブルーズ・バーやソウル・バーではこのアルバムが話題になっていました。ハイとワン・ダーフルとどっちが好きだとか盛り上がってました。

5.I’m Satisfied/Otis Clay

やっばり素晴らしいシンガーです。
70年代後半くらいからP-Vineレコードは大手のレコード会社がリリースしない、あるいはできないフィールドの音源やミュージシャンを独自の編集で積極的にアルバムにしてぼくらに提供してくれました。ライナーノーツも含めてそれらはすごく黒人音楽を知るための力になりました。前回の5 Dutonesもそうですがワン・ダーフルというシカゴのレーベルがいいブルーズやR&Bを出していると知ったのはP-Vineのおかげでした。
ただリリースの量が多すぎてとても買いきれませんでした。なのでまた再発してください。頼むよ、P-Vine!
P-Vineのサイトへどうぞ→P-Vine Records https://p-vine.jp

2025.07.04 ON AIR

祝50周年P-Vine Records!!!

第2回目60年代ハード・ドライヴィング・R&Bバンド”5 DU TONES”

ON AIR LIST
1.Get It/ 5 Du Tones
2.Soul/ 5 Du Tones
3.Shake A Tail Feather/5 Du Tones
4.Please Change Your Mind/5 Dutones
5.Dont Let Go/5 Dutones

自分のバンド、blues.the-butcher-590213もアルバムを出している日本のP-Vine レコードが今年で50年を迎えることになりました。1975年にP-Vine レコードは設立され最初はインディペンデント・ブルーズ・レーベルつまりブルーズのインデーズ・レーベルとして始まりました。しかし、現在はブルーズ、ソウル、ジャズ、ヒップホップ、ゴスペル、ワールド・ミュージックから日本のロック、歌謡曲、ポップス・・・とすごく広範囲なジャンルの音楽を提供しており、外国にも認知されもうインディーズと思ってない人もいます。それでその50周年を祝して私の好きなP-Vine レコードのいかにもP-Vineらしいアルバムを紹介しょうと思っています。
今日第2回目は1979年にP-Vine レコードがコンピレーションしてリリースしたシカゴのグループ「ファイヴ・ドュ・トーンズ」アルバム・タイトルが”Shake A Tail Feather”
この番組HPに出している彼らのアルバム・ジャケット写真を見て欲しいんですが、ファイヴ・ドュ・トーンズなのにメンバーが6人います。なぜかはわかりません。とにかく顔だけ見ると五人はなんか悪いことやってそうなストリートの匂いプンプンしてます。とにかく生きのいいグループでパーティ・バンド的なテイストが強くてそのB級感がまたたまらない魅力なんですけどね。
では5 Du TonesのLPレコードA面の1曲目。彼らのショーの始まりのような曲です。

1.Get It/ 5 Du Tones

いいですよね、このパーティ感。ラフでタフ。汗だくだくのライヴ感。若い人でこういうのカバーする人いないですかね・・はい、いませんね。
次の曲は同じシカゴのグループで、カーティス・メイフィールドが率いてヒット曲も多いインプレッションズがやってそうな曲です。ファルセットも入っているし曲調もインプレッションズ風ですがやっぱりどこかワイルドでラフ。でも、そのB級感、ホームパーティのバンドっぽいところがこの 5 Du Tonesの魅力だと思います。

2.Soul/ 5 Du Tones

ファルセットも入ったコーラスの曲でやりようによってはもっとオシャレになるところですが、オシャレにならんとこがいいです。
いま、インプレッションズのことを話しましたが、シカゴというとまずマディ・ウォーターズやハウリン・ウルフで有名なシカゴ・ブルーズの街ですが、実はチャイタウン・ソウルとも呼ばれるソウルのメッカでもあり50年代から60年代はタイロン・デイヴィス、シル・ジョンソン、オーティス・クレイなどのディープなソウルシンガーと洒落たバラードを売りにしていたコーラス・グループのザ・スパニエルズ、デルズ、フラミンゴス、そしてインプレッションズとなかなか多彩でした。その中でこの5 Du Tonesの存在はちょっと異色だったと思いますが、彼らはR&Bの歴史に残る次のハード・ドライヴングな、かっこいいダンス・ナンバーを残しました。1963年にチャート28位まで上がったヒットです。

3.Shake A Tail Feather/5 Du Tones

R&RとR&Bの感覚を両方持ったこの曲は最高で、ヒットするのも納得です。いまの曲で思い出した方もいるかもしれませんが、ブルーズ・ブラザーズの映画の中で楽器屋のオヤジ役をやっていたレイ・チャールズが劇中で歌ったのがいまの”Shake A Tail Feather”。映画「ヘア・スプレー」でも使われてました。あとジェイムズ&ボビー・ピュリファイ、アイク&ティナ・ターナーなどカバーも多いです。僕も一度歌ってみたいなと思ってる魅力的な曲です。5 Dutonesはいろんなタイプの曲をやっているのですが、次の曲はどう考えてもJame Brownの大ヒット曲”Please Please Please”をちょっとパクったやろという曲です。僕はそういうB級感覚も好きなんですが、ジェイムズ・ブラウンの当時の影響力というのも感じますね。

4.Please Change Your Mind/5 Dutones

こういうシングルを集めたコンピレーション・アルバムはやはりその音楽をよく知っている人が選曲、編集しなければいけないし、ヒット曲ばかり集めるというのは安易だし、そのグループの特徴を拾い出すセンスが必要です。70年代終わりにそんなに有名でもない、でも面白いグループをリリースできたのはやはりP-Vineレコードだったからだと思います。
では最後も彼らのハード・ドライヴ・ダンス・ナンバーです。

5.Dont Let Go/5 Dutones

今や日本が世界に誇るインディペンデント・レーベル「P-Vineレコード」の50周年を記念してシリーズでお送りしている「祝50周年P-Vine Records!!! 」の第2回目は60年代半ばのファンキーなR&Bグループ「5 Dutones」を聞いていただきました。
P-Vineのリリースカタログはこちら→P-Vine Records https://p-vine.jp