2023.11.17 ON AIR

チタリン・サーキットのキング、ボビー・ラッシュ新譜!

Bobby Rush /All My Love For You

ON AIR LIST
1.I Want To/Bobby Rush
2.Running In And Out/Bobby Rush
3.TV Mama/Bobby Rush
4.You’re Gonna Need A Man Like Me/Bobby Rush

自分が長いツアーをやっている時に思い出すのが「チタリン・サーキットのキング」と呼ばれる現役のボビー・ラッシュのことです。
その80才を過ぎたリヴィング・レジェンドのブルーズマン、ボビー・ラッシュが8月に新しいアルバムをリリースしました。今も現役でアルバムを出してくれるのは嬉しいですね。なんと29枚目のアルバムだそうです。グラミーを獲得した前のアルバム”Rawer Than Raw”はアコースティク・アルバムでしたが、今回は彼の看板でもあるサザン・ファンク・ブルーズなアルバムです。
まずはいかにもボビー・ラッシュらしいダウン・ホームなテイストのファンキーなブルーズ曲でハーモニカのソロもホビーならではの味わいのあるものです。

1.I Want To/Bobby Rush

この曲のプロモーション映像がyou tubeにアップされてるんですが、キラキラのラメの入ったジャケットに真っ白な靴という出で立ちで軽くステップを踏んで踊ってます。こういうイナタ・ファンキーなフィーリングがもう最高。
1933年にルイジアナに生まれたボビー・ラッシュはアーカンソー、シカゴと移り住みながらブルーズのスキルを磨き、64年にシングルデビューしてその後もろんなレーベルからシングルをリリースしましたがヒットには恵まれませんでした。79年になってやっと初アルバム”Rush Hour”をリリースしましたが、これも一部のブルーズ・ファンの評判になっただけでした。
でも、彼は南部の黒人クラブを毎晩ライヴして回るいわゆるチタリン・サーキットを続けその活動が途絶えることはなかった。映画「ロード・トゥ・メンフィス」で彼のツアーの様子が映し出される場面がありましたが、ステージだけではなく日程の調整からギャラの交渉、メンバーのケア、車の運転までやる彼が「B.B.キングとかバディ・ガイのようになれたら楽なんだけどなぁ」と少し弱音を吐くシーンがありました。でも、そういうツアーを続ける彼の姿が同じように日本でツアーを続ける私には励みになっています。

ジョン・リー・フッカーの「ブンブン」のようなイントロから始まる2ビートのトラッドなブルーズ・スタイル
ボビー・ラッシュのハーモニカは格別上手い訳ではないんですが、曲の味付けにすごくいい味を出しています。よくブルースを知っている人のハーモニカです。

2.Running In And Out/Bobby Rush

南部のブルーズの匂いがプンプンする曲でした。めちゃくちゃカッコええという訳でもなく、近所の目立ちたがりのちょっと歌のうまいおっちゃんが歌っているような感じがええんですわ。ファンクというてもジェイムズ・ブラウンみたいにビシビシ決める感じではなく、ジョニー・ギター・ワトソンのようにちょっと小粋な感じがある訳でもない・・まあイナたいんですね。

3.TV Mama/Bobby Rush

歌がめちゃ上手い訳でもなく、ハーモニカやギターがめちゃ上手い訳でもなく、何か斬新なことがある訳でもないのですが、ブルースのツボを心得ている人です。
もう1曲バラードを最後に「別れたいと言ったお前、わかってるよ街の向こうに住んでる男やろ。俺は仕事をふたつやって家に金を持って帰ってきたけどいつもお前はいなかった。全てをお前にあげたよ。でも、いつの日にかお前には俺のような男が必要になるのさ」

4.You’re Gonna Need A Man Like Me/Bobby Rush

日本のチタリン・サーキットをツアーしている僕にとってボビーは尊敬する、そして親近感のあるブルーズマンです。アルバムも出してツアーも続けて欲しいです。できれば来日してください。今日はボビー・ラッシュのニューアルバム ”All My Love For You”を聞いてもらいました。がんばってます、ボビー・ラッシュ。

2023.11.10 ON AIR

60年代にハーレムで誕生したグルーヴするリズム

Birth Of The Harlem Grooves On Fire(Fire/P-Vine 94045)

ON AIR LIST
1.Don’t Make Me Cry / Ti Mattison
2.People Sure Act Funny(When Thy Get A Lotta Money)/Titus Turner
3.Dig Yourself/Les Cooper & The Soul Rockers
4.The Squeeze(Part1)/Horace CooperAnd The Band
5.The Squeeze(Part2)/Horace CooperAnd The Band

今日ON AIRするアルバムはタイトルが”Birth Of The Harlem Grooves On Fire”
Birthは誕生でハーレムはニューヨークの黒人街、最後のFireはこのアルバムのレコード会社のレーベル名。つまり「ファイア・レコードが録音したハーレムでのグルーヴの誕生」ということになるのだが、ではグルーヴとは何かとなる。黒人音楽だけでなく最近は「この曲のリズムがグルーヴしている」とか「あのバンド、めちゃグルーヴしてる」とか言うようになりましたが、グルーヴとはまず「溝」という意味があります。そこからずっと続く溝から「うねり」つまり海の波のようなうねりだと僕は思います。そのうねりから音楽のビートのいわゆる「ノリ」も含めて、体が自然に動いて踊ってしまうようなリズムのことだと僕は解釈しています。つまりグルーヴしていないビートは僕なんかがやっている音楽ではダメな音楽ということになります。バンドのリズムが合っているだけでなく、そこに「うねり」がないとグルーヴしているということにはなりません。また、このグルーヴは演奏する人たち、バンドによって作られるグルーヴ感は違ってきます。グルーヴには素晴らしいという意味もあります。
まず、このアルバムの1曲目 1962年録音

1.Don’t Make Me Cry / Ti Mattison

実はこのアルバムはP-VineレコードのスタッフがFireレコードの音源からサックスのキング・カーティスやギターのコーネル・デュプリー、そしてドラムのバーナード・パーディが参加した、あるいはクレジットされてないがおそらく彼らであろう録音を選んだものです。その3人というのはソウル好きの方ならよく知っているアレサ・フランクリンのライヴアルバム「アメイジング・グレイス」の録音メンバーであり、60年代から黒人音楽に多大な貢献をした人たちです。
次は1962年の録音でシンガーとしてよりソングライターとして名前の通っているタイタス・ターナーが歌った曲。
ドラムはバーナード・パーディ、ギターはコーネル・デュプリー

2.People Sure Act Funny(When They Get A Lotta Money)/Titus Turner

この曲ようなラテンリズムのテイストが入った曲が1955年リリースのレイ・チャールズの”I Got A Woman”の大ヒット以降たくさん作られたのでしょう。レイの”I Got A Woman”のヒットは後の大大ヒット”What’d I Say”に繋がっていきます。タイタス・ターナーさん、曲調も歌い方もレイ・チャールズの影響が感じられる。レイ・チャールズがソウル・ミュージックを作ったひとりと呼ばれる所以もわかる。それにしてもパーディのこのラテンビートのドラムはすばらしい。
そしてレイ・チャールズの”What’d I Say”の影響を受けている曲が次の曲で、解説にはアイズレー・ブラザーズの”Shout”の影響もあると書いてあるが確かにその二つの大ヒットをミックスしたような曲。歌も歌うピアニスト、レス・クーパーとソウル・ロッカーズといういかにもなB級バンドの名前。こういうB級感が好きになれないと黒人音楽の本質にはなかなか迫れない。一流はもちろん一流で素晴らしいのは間違いないのですが、「これってパクリやないの」みたいなB級感が黒人のストリート・ミュージックでたくさんあります。これもドラムはバーナード・パーディ

3.Dig Yourself/Les Cooper & The Soul Rockers

50年代60年代はインストルメンタルのダンス・ナンバーのヒットがたくさんありました。ビル・ドゲットというオルガン・プレイヤーが大ヒットさせた曲で”Honky Tonk”というのがあります。この曲はオルガン奏者だけではなくギターやサックスでも演奏されるほど幅広く売れた曲でした。僕がこの曲を知ったのはブルーズ・ギターの名人、ロバートJr.ロックウッドが演奏したヴァージョンでした。クラブやダンス・パーティではシンガーが休憩する間の時間にそういうインストのダンスナンバーが不可欠でした。Honky Tonkとは安酒場という意味ですが、その”Honky Tonk”のメロディをギターで入れ込んでそこにキング・カーティスのサックスが強烈にブロウした曲が次の.The Squeeze。果物のレモンなんかを搾るスクゥーザーという調理器具がありますが、まさにエロティックな意味も備えた絞る、きれいにいうと抱きしめるという意味。ブルーズの歌詞にはよくSqueze Meというのもあります
これがパート1,2とあるのですが、キング・カーティスの炸裂するサックスを聞いてもらいたいので両方続けてON AIR!

4.The Squeeze(Part1)/Horace CooperAnd The Band

5.The Squeeze(Part2)/Horace CooperAnd The Band

ファンキーでグルーヴしてます。ギターソロもいいんですが、ギターのリズム・カッティングもたまりません。

50年代半ばから60年代にかけてブルーズがR&Bからソウル、ファンクになっていく時代に今日聞いてもらったようなダンサブルな、まさにグルーヴした音楽が黒人たちの間で流行っていました。つまり、踊れるようなリズムのグルーヴがあるというのがダンス・ミュージックの必須。
今日はファイア・レコードのハーレムでのグルーヴの誕生Birth Of Harlem Grooves On Fireでした。このアルバムなかなか面白いです。年末の宴会、パーティのBGMとしていかがでしょうか。ではまた来週、Hey Hey The Blues Is Alright

2023.11.03 ON AIR

カウント・ベイシーが楽団がブルーズをスイングさせたニューアルバム

Basie Swings The Blues/Count Basie Orchestra(BSMF 5122)

ON AIR LIST
1.I’m A Woman/Count Basie Orchestra((Featuring Shemekia Copeland,Buddy Guy
2.Let’s Have A Good Time/Count Basie Orchestra(Featuring Mr.Sipp)
3.The Midnight Hour/Count Basie Orchestra(Featuring Robert Cray)
4.Boogie In The Dark/Count Basie Orchestra(Featuring Bobby Rush)

1936年に創設されたジャズの名門オーケストラ「カウント・ベイシー・オーケストラ」は、84年にベイシー亡き後も受け継がれ現在はトランベッターのスコッティ・バーンハートがバンマスとなり演奏活動を続けている。現在はメンバーが18人程度ということ。こういう大所帯のオーケストラを維持して行くのは大変ですが、日本はじめ世界中にカウント・ベイシー・オーケストラのファンは根強くたくさんいる。そのオーケストラが今年10月になんとニューアルバム”Basie Swings The Blues”をリリース!
色々なブルーズが多彩なゲストを迎えて録音されている。ジャズ・オーケストラとしては元々ブルーズ・テイストの強い楽団で、かってはジョー・ターナー、ダイナ・ワシントンはじめ多くのジャズ・ブルーズ・シンガーがこの楽団をバックに歌いました。
まずは変わらぬパワフルな歌を聴かせてくれる女性ブルーズ・シンガー、シメキア・コープランド。ハーモニカのチャーリー・マッセルホワイトが参加し途中のギターソロはバディ・ガイ。

1.I’m A Woman/Count Basie Orchestra(Featuring Shemekia Copeland,Buddy Guy)

私のバンド、ブルーズ・ザ・ブッチャーの新しいアルバムを持っている方なら「おっ、この曲」と思ったかも知れません。今の曲はマディ・トリビュートの今回の僕らのアルバム”Feel Like Going Home”に録音したマディの”Mannish Boy”が元歌だ。”I’m A Man”と歌うところを女性なので”I’m A Woman”にして歌詞も変えています。オーケストラ用にアレンジが加えられていますが、ホーンアレンジも良かったし何よりシメキアの歌がしっかりしているので聞き応えがあります。バディ・ガイのギターよりチャーリーのハーモニカをもっと出した方がよりブルース・テイストになってよかったかも。

次の曲は今回このアルバムで初めて知った気に入ったミュージシャン。1曲目のLet’s Have A Good Timeでフィーチャーされている Mr. Sipp。本名はカステロ・コールマン。1976年生まれですからまだ47歳。両親とも音楽をやっていて彼はずっとゴスペル・フィールドでギターを弾いていたそうだが、B.B.キングに強い影響を受けてブルーズを始めたということ。
全くノーマークで知らなかった人ですがいいブルーズマンだと思います。偉そうですが・・。

2.Let’s Have A Good Time/Count Basie Orchestra(Featuring Mr.Sipp)

ミスター・シップはマラコ・レコードからリリースされた最新のアルバムでは南部色の強いソウルを歌っているが、ジョニー・テイラーやリトル・ミルトンのようないわゆるブルーズン・ソウル・シンガー。歌もギターもすごくいいのでまだまだ期待できます。いい曲といいプロデューサーに出会えればもっと話題になり売れるミュージシャンになるでしょう。

次は今やすっかりブルーズ界の大御所になったロバート・クレイ。調べたらもうクレイも70歳。こういう大編成のオーケストラをバックにしたクレイの歌もなかなかいい。というか、こういうオーケストラをバックにしたジャズ・ブルーズ・アルバム出して欲しいです。ギターも相変わらず快調でそろそろ来日も。
「真夜中に寂しい、不幸せな気分だ。愛する女に全て捧げたのに愛も残さず彼女は行ってしまった」

3.The Midnight Hour/Count Basie Orchestra(Featuring Robert Cray)

今の曲のオリジナルは1961年にリリースされたThe Genius Sings the Blues というレイ・チャールズのアルバムに入っています。

このアルバムには共同プロデューサーとしてドラマーのスティーヴ・ジョーダンの名前が入っているが、共同プロデューサーってなんだ?いう感じですが、ドラムは叩いていなくてミュージシャンを選んだり、曲を選んだりそういう参加の仕方みたいだ。参加ミュージシャンはあとケブ・モ、ジャズギターのジョージ・ベンソンとシンガーのジェイミー・デイヴィス、女性シンガーのベティ・ラヴェットなど。
次は大好きなボビー・ラッシュ。彼のニューアルバム ”All My Love For You”も再来週あたりにON AIRする予定。こういう企画もののコンピレーションにも彼が呼ばれているのはファンとして嬉しい。

4.Boogie In The Dark/Count Basie Orchestra(Featuring Bobby Rush)

バンド・リーダーであり今回のアルバムのプロデューサーでもあるトランぺッターのスコッティ・バーンハートは、制作するにあたりブルースの生まれたアメリカ南部のミシシッピを旅したということです。ブルーズのもつディープなところを知りたかったのでしょう。それでミシシッピ・ブルーズの偉人チャーリー・パットンの名前をつけた「パットン・ベイシー・シャッフル」というオリジナルのインストルメンタル曲も収録されている。
このアルバムは10/20に日本のBSMFレコードからリリースされています。こういうオーケストラをバックにしっかりしたホーン・アレンジで演奏されるブルーズも最近少ないので是非聞いてもらいたいオススメの一枚です。
Basie Swings The Blues!

2023.10.27 ON AIR

ブルーズ・ライヴ名盤 vol.9

ブルーズ&ソウルの名歌手、リトル・ミルトン渾身の刑務所慰問ライヴ!

Live At Westville Prison/Little Milton (Delmark/P-Vine)

ON AIR LIST
1.I’d Rather Drink Muddy Water / Little Milton
2.Medley: How Could You Do It to Me~Part Time Love~Somebody’s Sleeping in My Bed~I Got to Love Somebody’s Baby~Walking the Back Streets and Crying~Little Bluebird~Drowning on Dry Land
3.That’s How Strong My Love Is / Little Milton

ブルーズ・ライヴ名盤 の9回目
今回聴くブルース・ライヴ名盤はリトル・ミルトンが1983年にインディアナ州のウエストヴィル刑務所で慰問ライヴしたものです。刑務所の慰問ライヴというのを黒人ブルーズマンもよくやっていたようでB.B.Kingのクック・カウンティ・ジェイルでの素晴らしいライヴ録音なども残されています。今回のリトル・ミルトンもすごく力の入ったいいパフォーマンスをしています。
聴く前にちょっとリトル・ミルトンの紹介を。リトル・ミルトンはいわゆるブルーズン・ソウルと呼ばれるシンガーで、ブルーズとソウル両方を歌うシンガーです。ギターはB.B.キング、歌はボビー・ブランドなどモダン・ブルーズを作ったレジェンドの影響を受けてますが、O.V.ライトのようなソウル・シンガーの影響もあります。60年代半ばに”We’re Gonna Make It”という大きなヒットを出してから黒人サークルでは絶大な人気があり、70年代半ばにスタックス・レコードに移ってからは完全にブルーズン・ソウルというスタイルを築きました。
まずはライヴの幕開け、一曲目はルー・ロウルズやジョニー・テイラーなども歌っているジャズ・ブルーズ系のスタンダード曲

1.I’d Rather Drink Muddy Water / Little Milton

素晴らしいキーボード・プレイはラッキー・ピータソン。リトル・ミルトンの歌のパワーすごいです。バンドはバンマスのラッキー・ピータソン(オルガン、キーボード)を中心のドラム、ベース、ギターというこぢんまりしたコンボですが、不足はありません。ミルトン自身も時折ギターを弾きますが、ここではシンガーとしての存在感がどっしりあります。
途中でスロー・ブルーズのメドレー7曲というのがあり全部聞いてしまうと番組が終わってしまうので途中まで聞いてみましょう。歌っている曲は・・自分のヒット”Walking the Back Streets and Crying”も入ってます。

2.Medley: How Could You Do It to Me~Part Time Love~Somebody’s Sleeping in My Bed~I Got to Love Somebody’s Baby~Walking the Back Streets and Crying~Little Bluebird~Drowning on Dry Land (8分?FO)

実はこの日の慰問ライヴは男の囚人だけを入れてやる予定だったのですが、ミルトンが女性の囚人にも聞かせたいと急遽二部制にして女性の囚人だけの第二部が作られました。次のバラードはやはり女性の囚人向けに歌われたような気がします。
偉大なソウル・シンガー、O.V.ライトのバラード「この強き愛」。
ブルーズ&ソウル・シンガーとしての実力を発揮したこのライヴの最後のこの曲にウルッと来るものがあります。

3.That’s How Strong My Love Is / Little Milton

昔、来日した時も素晴らしい歌を聴かせてくれたリトル・ミルトンですが、ほぼ歌だけで貫き通しギターをあまり弾かないスタイルはやたらブルーズ・ギターが好きな日本の聴衆には人気がありませんでした。せっかくいいライヴだったのにお客さんの入りもいまいちでした。今となってはリトル・ミルトンも天国へ行き今日聞いたライヴ・アルバムのようなライヴも聞くことはできません。残念です。
今日のブルーズ・ライヴ名盤はリトル・ミルトンの1983年のライヴ”Live At Westville Prison”でした。見つけたら買い!

2023.10.20 ON AIR

ブルーズ・ライヴ名盤 vol.8

イギリスのブルーズ・ブームの火に油を注いだ「アメリカン・フォーク・ブルーズ・フェスティバル」のライヴ

The Best Of The American Folk Blues Festival (P-Vine)

ON AIR LIST
1.Matt’s Guitar Boogie-Matt “Guitar” Murphy
2.Crazy For My Baby/Willie Dixon
3.Sonny Boy’s Harmonica Blues/Sonny Boy Williamson [II]
4.Five Long Years/Muddy Waters

前回のブルーズ・ライヴ名盤シリーズではでは1962年にアメリカの黒人ブルーズマンたちがヨーロッパに渡ってコンサート・ツアーをした「アメリカン・フォーク・ブルーズ・フェスティバル」のライヴ・アルバムを聞いてもらったのですが、そのコンサートの評判が良くてこの「アメリカン・フォーク・ブルーズ・フェスティバル」が毎年開催されることになりました。
今日はその翌年1963年の「アメリカン・フォーク・ブルーズ・フェスティバル」のライヴを聞いて見ようと思うのですが、シリーズ化されたこのイベントの音源は毎年録音されて残っているのですが、ぼくが初めて聞いたのはこの1963年のものでした。
最初に驚かされたのはギターのマット・マーフィのこのインストルメタル曲でした。

1.Matt’s Guitar Boogie-Matt “Guitar” Murphy

前回の「アメリカン・フォーク・ブルーズ・フェスティバル」の評判が良かったせいだと思うのですが、この2回目は渡欧メンバーも豪華になっています。前回のメンフィス・スリム、ウィリー・ディクソンに加えてサニー・ボーイ・ウィリアムスン、マディ・ウォーターズ、オーティス・スパン、ロニー・ジョンソンなどかなり豪華になってます。
多分、前回来たウィリー・ディクソンあたりがヨーロッパ各地ですごく歓迎されたことや、客の反応が良かったことなどをアメリカに帰ってからブルーズマンたちに話したと思います。しかもアメリカよりも人種の差別は少ないですから。彼らにとっては過ごしやすく、楽しいツアーだったと思います。
そして恐らくステージ上でのプロデューサー、デレクター的な役割をしたのがそのディクソンだったと思います。そのディクソンも歌っています。

2.Crazy For My Baby/Willie Dixon

次はサニーボーイ・ウィリアムスンが一人でソロ・ハーモニカ・プレイを披露するという珍しいパフォーマンスをやっています。
どんどん熱が上がっていろんな技を披露するサニーボーイがめちゃめちゃ受けています。

3.Sonny Boy’s Harmonica Blues/Sonny Boy Williamson [II]

フレイズの多彩さ、ハーモニカの音色の素晴らしさ、そして何よりそのビートの素晴らしさ、ハーモニカ一つでバックがなくてもみんなを踊らせてしまうような本当に素晴らしいハーモニカ・プレイです。
サニーボーイは演奏がウケたこともあったのでしょうが、特にロンドンが気に入ってロンドンに住みたいと言っていたそうです。

この二回目の「アメリカン・フォーク・ブルーズ・フェスティバル」はバック・バンドがベースにウィリー・ディクソン、ピアノがオーティス・スパン、ギターがマット・マーフィ、ドラムがビル・ステップニーという鉄壁の布陣でどの曲もいいのですが、僕は初めて聞いた時にマディ・ウォーターズの次の曲がすごく気に入ってしばらくカバーしていました。
五年間好きな女性のために製鉄工場で働いたけれど、その愛は報われなかったというブルーズ。

4.Five Long Years/Muddy Waters

この第二回の「アメリカン・フォーク・ブルーズ・フェスティバル」のコンサートは1963年。イギリスでは前年からビートルズの人気が沸騰し、その後をアニマルズ、ストーンズなど黒人ブルーズに感化されたバンドが次々とデビューしましたが彼らもこのコンサートを観に行っていたそうです。そしてそれらがイギリスのブルース・ブームの大きな火種になったことは間違いないでしょう。
日本のブルーズ・ブームももう10年早ければサニーボーイやリトル・ウォルター、サン・ハウスなども見れたかもしれません。
この「アメリカン・フォーク・ブルーズ・フェスティバル」のシリーズはまだあるのでまた紹介したいと思います。